名古屋大学(名大)は11月6日、加齢と認知症で加速する新たな神経細胞死を発見したと発表した。

同成果は、同大大学院薬学研究科の築地仁美 講師、服部光治 教授、同大環境医学研究所の山中宏二 教授と、理化学研究所、順天堂大学との共同研究によるもの。詳細は英国の学術誌「Scientific reports」電子版に掲載された。

前頭側頭葉変形症(FLTD)は、人格変化、反社会行動を伴う行動障害、認知機能障害などを特徴とする神経変形疾患であり、認知症のなかでは、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症に次いで患者が多い疾患だ。

近年の研究から一部のFLTD患者の脳における変性神経細胞では、核内や細胞質内に過度にリン酸化・ユビキチン化の修飾を受けたTDP-43を含む疑集体が蓄積することが判明したが、TDP-43の蓄積機構や神経変性機序はその多くが明らかになっていなかった。

今回の研究では、まず、FLTDのモデル動物として、野生型ヒトTDP-43を過剰発現させたマウスを作製した。このマウスは、記憶試験で異常をきたし、FLTD患者の症状の一部を再現していたため、FLTDのモデルマウスとして適切であると考えられた。

次に、認知症は加齢に伴う変性疾患であることを考慮し、加齢に伴う変化を探索。記憶障害をもたらす機構の解明のため、海馬領域での異常を免疫組織学的に解析したところ、この疾患モデルマウスでは高度ユビキチン化されたタンパクを含む微小顆粒が多数観測されたほか、この微小顆粒はTDP-43をほとんど含まず、TDP-43蓄積以前に起こる初期変化だであることを確認。さらに、この微小顆粒は抑制性介在ニューロンの死骸であることが判明したという。

また、これらの抑制性介在ニューロンの死骸は若齢マウスでは見られず、老齢マウスの脳内で死骸の数が増していることも確認。このことから、加齢やTFP-43の異常発現により抑制性介在ニューロンの死が起こること、FTLDの発症機構に抑制性介在ニューロンの細胞死が関与する可能性が示唆されたとしている。

なお、研究グループは、抑制性介在ニューロン死は、加齢や認知症の初期症状として神経の過興奮が起こることを説明できる可能性があるとするほか、この現象を抑えることが出来れば、脳のアンチエイジングや加齢に伴う神経疾患の治療法につながることが期待されるとしている。
(釣見駿)

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