◇首脳会議の議長声明案で、ほとんど触れられず

 【マニラ西脇真一、福岡静哉、ジャカルタ平野光芳】14日閉幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議で、ミャンマーの少数派イスラム教徒「ロヒンギャ」が難民化している問題が取り上げられた。ミャンマーの対応を批判してきたナジブ・マレーシア首相は「4月の首脳会議と違い率直に議論できる。明らかな前進だ」とブログに掲載。ただ、首脳会議の議長声明案ではほとんど触れられず、内政不干渉を原則とし結束を重視するASEANでは、敏感な問題であることを印象づけた。

 ブログによると、ナジブ氏は13日の首脳会議で「世界中がASEANの対応を見守っており、組織としてこれ以上黙っているわけにはいかない」と強調。「難民は過激派組織『イスラム国(IS)』影響を受ける可能性もある」と、早急な対応が必要だと訴えた。インドネシアのジョコ大統領も「問題の複雑さは良く理解しているが、黙っているわけにはいかない」と述べた。両国ともイスラム教徒が多数派を占める。

 こうした声にミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相は、難民の帰還に向けバングラデシュと交渉しており、近く覚書に署名できる見通しであることや、国内での取り組みを説明。また、テロに関する情報交換の必要性も訴えた。

 これまで批判の急先鋒(せんぽう)に立っていたナジブ氏は「とてもよく説明してもらった」と記した。

 ただ、声明案は朝鮮半島問題のように「重大な懸念」を示すわけでもなく、ロヒンギャが暮らす西部ラカイン州への支援活動が必要だと指摘するにとどまっている。

 ASEANは9月、国連総会に出席中の外相らが意見を出し合い、議長国のフィリピンがロヒンギャ問題に「懸念」を示す声明を発表した。だが、マレーシアは「現状を誤解している」として反論の声明を出した。

 ASEANは南シナ海問題でも中国と領有権を激しく争ったフィリピンやベトナムと、親中国の国との間に亀裂が生じたことがある。今回も声明などで大きく取り上げると、結束が揺らぐ可能性もあるため、取り扱いに慎重になったようだ。

 ミャンマーはロヒンギャに国籍を与えず、不法滞在者扱いしている。また「ロヒンギャ」と呼ぶのを嫌い「バングラデシュからの人々」という意味で「ベンガリ」と呼んでいる。

 ASEANのレ・ルオン・ミン事務局長は14日、一部日本メディアの取材に応じ、質問が「ロヒンギャ」に及ぶと顔をしかめた。「その表現は使わないようにしましょう。それは受け入れられた名称ではないからです」と述べ、ASEANの中でロヒンギャ問題が慎重に取り扱われていることを示唆した。