天皇、皇后両陛下は16日から、鹿児島県の屋久、与論、沖永良部の3島を訪問される。最終日の18日に沖永良部島で視察が予定されている「えらぶゆり」は、島民らが誇る郷土の花だ。

 「もしかしたら、あの時のことを覚えていてくださったのかも」。そう語るのは、毎年、皇居での勤労奉仕に参加している同島和泊町の元職員高橋奈緒子さん(39)=東京都青梅市=だ。奉仕の後には、毎回、両陛下からお声掛けがある。初めて参加した2003年、天皇陛下から「沖永良部からいらした方はどなたですか」と声を掛けてもらった時は、驚いて泣き崩れてしまい、次の年も「沖永良部はどうですか」と聞いてくれた陛下に、「梅雨入りしました」と答えるのが精いっぱいだった。

 「本当はえらぶゆりをご紹介したかったんです。そのことを島に帰って、ユリ農家の方に話したら、皇后さまの70歳を祝って球根をお送りしようということになって」

 しかし、そうした思いは、物品は受け取ることができないとの理由で宮内庁に断られた。代わりに、お祝いの寄せ書きとえらぶゆりの歴史について記した文書を送ったところ、無事届けられたとの連絡があったという。

 「えらぶゆりは、楚々(そそ)とした花を咲かせるんです。ぜひ、両陛下に見ていただきたい」。高橋さんは声を弾ませた。同島では視察に合わせて開花するよう準備を進めているという。