日本のTwitterユーザーは4500万人を超えるなど順調な成長が続いている一方で、さまざまな議論も起きている。「身に覚えがないのに、Twitterアカウントを凍結された」と訴えるユーザーが増えているほか、加害者と被害者がTwitterで知り合ったとみられる殺人事件も起きた。

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 このほど来日したジャック・ドーシーCEOに、アカウント凍結問題や殺人事件への見解や対策、Twitterの今後について聞いた。

――日本では最近、「正当な理由なくアカウントを凍結された」と訴える人が増えています。アカウントの凍結は、誰がどのように行っているのでしょうか。

 凍結などのポリシーを作り、適用・施行するチームがあります。最近、ルールの内容と、適用・施行にギャップがあったと考えており、改善しなくてはならないと思っています。ルールに則った施行を十分できていなかったり、施行する際にミスがありました。ほかの国でもミスが起きています。

――凍結を判断するのは人間のスタッフですか? それとも、システムが自動で行っているのでしょうか。また、凍結に抗議した際の返信メールが画一的だという批判もあります。抗議への対応についてはどうでしょう?

 両方です。できるところは自動化してスケールアップし、特殊な場合は人間が管理しています。抗議への対応も、人間がやる場合と、自動化している場合があります。

――「Twitterの凍結担当者は、日本語や日本文化の理解が不十分で、謝った凍結判断をしているのでは」という見方をする日本のユーザーもいます。凍結を判断したり、凍結に対する抗議に対応するチームは、どこの国にあるのでしょういか? また、何人ぐらいいるのでしょうか?

 チームは世界のいろいろな場所にいて、異なる文化の文脈やコンテクストを理解できるようトレーニングされています。人数は非公開です。なぜなら、人力と自動化のバランスが大事だと思っており、自動化の進ちょくによって、人数はどんどん変わっていくからです。

 人間も、常に正しく判断できるわけではないので、ミスは起きると思います。ミスが起きている場合は迅速に対応したいと考えています。

 日本で、凍結について問題が起きていることは認識しています。ケースバイケースで対応・改善したいと考えており、ここ数週間、改善のために力を入れてきました。

――カスタマーサポート担当従業員が、最終出社日にドナルド・トランプ米大統領のアカウントを約10分間アクセス不能にし、英雄扱いされました。

 本来はユーザー自身が行う「アカウント削除」(30日以内に再アクセスすれば復活できる)を、カスタマーサポートが、本人になりすますような形で行いました。われわれはすぐに気づいて調査し、対応しました。

――トランプ大統領は差別的なツイートを行っていると批判もあります。アカウント凍結の可能性は?

 大統領かどうかにかかわらず、全てのアカウントに同じルールを適用するのがわれわれの考え方で、違反があれば凍結などの行動を取ります。ただ、公共のためだったり、ニュース価値がある場合は例外的に対応することはありますが、それはまれですね。

――トランプ大統領は例外なのですか?

 いいえ。彼はこれまで、ルールに違反していないという認識です。

Twitterで知り合った殺人事件……対策は?

――日本では、殺人事件の被害者と加害者がTwitterで知り合った事件が起きました。

 残念な事件だと思っています。われわれの責任は、Twitterをポジティブに、安全に使えるようにすることであり、できるだけ早く対策を考えていきます。この事件に対しては、1つの答え、1つのやり方だけで防ぐことはできないと考えており、一連の対策が必要だと考えています。

――対策として例えば、「自殺募集」のハッシュタグを禁止すると可能性はありますか?

 それも1つの答えかもしれませんが、1つの解決策では対応できないと考えています。より安心安全に使ってもらえるような方法を探っているところです。

 ただ、Twitterはパブリックなので、何が起きているかを他人が見ることができます。例えば、「自殺募集」のハッシュタグを見た人が会話に入り、自殺をしようとしている人の気持ちを変えることができるかもしれません。また、悩んでいる人を助けるところを紹介するなどの可能性も探っています。日々変化している問題なので、これからも注力したいと思っています。

――今回の事件をきっかけに、日本の政府がTwitter規制に言及しています。

 世界中の政府と常に話をしています。われわれは、透明性を高く保ち、常に正しいことしたいと考えています。また、自主的に規制することも大事だと思っています。まず自分たちで何ができるか考え、行っていきます。政府がわれわれと会話したいなら、オープンに対応します。

●「280文字拡大」「文字数カウント法変更」理由は

――Twitterは最近、ツイート文字数を280文字(半角英数は280文字、全角日本語は140文字)に拡大しました。その理由は?

 日本語は140文字でたくさんのことが言えます。英語やドイツ語は、140文字は不十分で、「ツイートしたいが、文字数の制約のためにやめてしまう」人も多いと分かりました。

 140文字という制限は、短くてシンプル、速いというメリットもありますが、280文字にしたからといって、それが失われることはないと考えています。多くの場合は280文字がフルでは使われず、140文字程度にとどまるのでは。必要な時に多くの文字数が使えるという意味で、280文字にしておくのはいいことではないかと思っています。

――ツイート投稿時の文字数カウントダウンの方法も変わりました。従来は140文字から1ずつ数字が減っていましたが、円形のゲージに変更されました。日本のユーザーからは不評の声もありますが、この狙いは。

 ツイートする際、文字数という「数字」にフォーカスするのではなく、メッセージにフォーカスしてもらいたいと考え、いまどれぐらい書いたかを、ビジュアルで分かるようにしました。

有料化の可能性は?

――Twitterのビジネスの状況はどうでしょう。赤字が続いており、日本のユーザーも心配しています。

 当社の決算を見てもらうと、利用者数だけではなく収益面も良くなってきていることはお気づきと思います。長期的に、利益を出す方向に向かっています。

――有料化の可能性についてはどうでしょうか? 日本には「有料でも使いたい」と言うユーザーもいますが。

 ご心配いただきありがとうございます。広告ビジネスはうまくいっています。われわれは自分達のビジネスを信じています。成長できるモデルであり、Twitterのユーザーエクスペリエンスにも貢献するものだと考えています。他にチャンスがあれば、検討はしますが。

――Twitterはすでに、世界中のユーザーに使われています。今後、どのようなサービスにしていきたいか、展望はありますか?

 Twitterの強みは、世界で今何が起きているかをすぐに知ることができることです。それを、より簡単に速く、より多くの人に提供できるようにしたいと考えています。そうできるよう、日々改善しています。よりシンプルに、より簡単に。それを実現するために、新しい技術も検討しています。

予告:ジャック・ドーシーCEOへのインタビュー記事第2弾『TwitterのCEOは「iPhoneだけ」で仕事する 「iPhone Xは最高」』を明日掲載します

来日したTwitterのジャック・ドーシーCEO