コンビニチェーンのミニストップが、来年1月から「成人誌」の取扱を中止することを発表し、出版業界に波紋が広がっている。

 ミニストップの発表では「女性がコンビニを利用する機会が増えているのを受け、中食・内食商品の強化やWAON POINTカードの導入など女性により利便性の高いコンビニエンスストアへの変化」を進めてきたとし「成人誌の陳列対策に取り組んでいた千葉市からの働きかけをきっかけ」として、取扱の中止を判断したとしている。

 千葉市では今年2月、大阪府堺市が一部コンビニで実施している施策と同様に、陳列棚の成人誌に不透明のフィルムを巻いて、表紙の一部を隠す取り組みを試験的に行う方針を発表。しかし、6月になって打診を受けたセブン-イレブンが、この取り組みを断っていたことが明らかになっていた。

 これを受け、筆者の取材に応じた千葉市こども未来局こども未来部健全育成課の小倉哲也氏は「ほかのチェーン店……イオン系列のミニストップさんなどとも話はしている」と、フィルム包装以外の取り組みを企図していることを明らかにしていた。

 千葉市が模倣を目論んだ堺市のフィルム包装は、大阪府が青少年健全育成条例で行っている規制と、出版社側の自主規制を逸脱した施策だと批判の対象になり、日本雑誌協会と日本書籍出版協会が「図書を選択する自由を奪い『表現の自由』を侵害する行為。大阪府の青少年健全育成条例も逸脱している」として繰り返し批判しているもの。そうした批判を知りながらも同様の施策を行おうとした背景には、なんらかの形で目に見える「規制」の成果を挙げたいという意図が見え隠れしている。

 千葉市の熊谷俊人市長は、この件に関して自身のTwitterでコメント。ここで熊谷市長は、次のように記している。

 これまで、出版業界ではコンビニに陳列される「グレーゾーン誌」に2点シール止めを施すなど、さまざまな自主規制を実施している。熊谷市長の「業界の自主改革を期待します」という言葉には、こうした取組の積み重ねが理解できているのか疑問を感じるところだ。

 日本雑誌協会編集倫理委員長の高沼英樹氏は、熊谷市長のツイートに憤りを隠さない。

「熊谷市長のツイートは、上から目線。民間の判断とはいうが、権力の介入ではありませんか」

 高沼氏が問題点として指摘するのは、ミニストップがリリースで記している「成人誌」の基準だ。リリースでは「成人誌」の基準として、日本フランチャイズチェーン協会のガイドラインを「参考」として掲げている。

 

「成人誌」の定義
※(社)日本フランチャイズチェーン協会の自主基準(ガイドライン)より抜粋

1.各都道府県の指定図書類及び出版倫理協議会の表示図書類は取り扱わない。

2.それ以外の雑誌については、各都道府県青少年保護育成条例で定められた未成年者(18歳未満者)への販売・閲覧等の禁止に該当する雑誌及びそれらに類似する雑誌類を「成人誌」と呼称する。

 

 ここで問題となるのは、2の部分だ。

「このガイドラインでは、どの雑誌が成人雑誌に該当するか基準が曖昧です。『FLASH』(光文社)のような一般週刊誌から『ヤングマガジン』(講談社)のようなマンガ雑誌までもが対象になりかねません」(高沼氏)

 高沼氏が危惧は、すぐにはないとしても、この曖昧な規制がやがて一般誌まで広がっていくことにある。

「条例でやると<表現の自由>にひっかかるから、あくまで民間からという形で、動きを規制したにすぎません」と、実態としては公権力の規制であるとする高沼氏。ミニストップの記者会見は熊谷市長も同席し共同で行われたもの。これを「民間の取組」とするのには、無理がある。

 新たな形の規制強化に、どのような対応をしていけばよいのか?
(文=昼間たかし)

イメージ画像(Photo By Yuya Tamai from Flickr)