Image: Zoo Hluboka / Wikimedia

イエティ伝説の終焉?

ヒマラヤ山脈に住む謎の生物イエティの正体が実はヒマラヤヒグマだったと「強く示唆」するDNA分析の結果が出ました。

伝説上の生物の起源を突き止めるため、国際的な研究チームがクマとイエティのものとされるDNAサンプルを調べることに。その結果はイエティが超常現象的なものでも不思議な生命体でもないことを示しただけでなく、ヒマラヤに生息するクマたちの実態把握にも一役買ったのです。

同研究の著者でありニューヨーク州立大学バッファロー校の生物学の教授であるCharlotte Lindqvist氏は、「奇妙で新しい雑種のクマや類人猿のような生物の発見には至りませんでしたが、この地域のクマは希少でこれまでに発表された遺伝学的データは少なかったので彼らについてもっと学べる機会にワクワクしました」と米Gizmodoで語っています。

忌まわしい雪男とされるイエティは、野生の類人猿のような原人で、長きにわたってヒマラヤ山脈に伝わる伝説の題材となっていました。以前行なわれた研究では、「イエティのものとされる毛のサンプルはホッキョクグマの雑種あるいは新種」とされましたが、研究者たちは異論を唱えていたのです。

今回、英国王立協会紀要に掲載された論文によれば、「サンプルはヒグマのものだという可能性を排除しなかった」とのこと。

Lindqvistと彼女のチームは、現地や博物館などから収集した排泄物、毛、皮膚そして骨などのクマあるいはイエティのものとされる、24個のサンプルを分析。イエティのサンプルは確かにクマ、しかも現存するヒマラヤヒグマのものだったのです。「この研究は、特異な、あるいは伝説的な「原人」のものだと思われるサンプルの、これまででもっとも精密な分析であり、イエティ伝説の生物学的根拠がその地域に生息するヒグマとツキノワグマに見られることを強く示唆する」と論文を締めくくっています。

ネコ科の古代DNAを調査するイギリスのダラム大学の研究員Ross Barnett氏は米Gizmodoに対し、「この研究には説得力がある」と語っています。「この研究は他のヒグマの個体群、あるいはアトラスヒグマのような最近絶滅した種についてのデータから恩恵を受けられたかも」とも指摘しています。しかしそれでも、いかにしてヒグマたちが世界中に分布するようになったのかを理解するために「研究者たちが作ったデータセットを、他のグループも活用してくれたら」とメールで米Gizmodoに伝えています。

著者であるLindqvist氏に、「この研究における読者の収穫は何なのか?」そして「イエティ伝説は消えてしまうことになるのか?」と質問したところ、彼女は「そうは思っていない」と答えました。「科学はそういった神話とその生物学的なルーツを調査するのに役立ちますが、それらはどんな文化の中においても生き続け、重要であり続けると確信しています」とのこと。

それにこの研究は、超自然的なイエティという生物の存在を完全に排除しているわけではありません。「未確認動物の存在を示す証拠がなくても、そのような伝説が存在する場所に彼らが生きているあるいはかつて生きていたということを完全に排除するのは不可能です。それにみんな伝説が大好きですからね!」



Image: Zoo Hluboka / Wikimedia
Source: Googleブックス, Mongabay, Proceedings of the Royal Society B
Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文

(たもり)