中国・上海の西部に位置する水郷都市の烏鎮(Wuzhen)で、今年も第4回世界インターネット大会(World Internet Conference)が開催されています。このフォーラムに参加したAppleのティム・クック最高経営責任者(CEO)が登壇し、人間性の重要さについて講演を行っていたことが分かりました。

“自由の旗手”2人が初参加

世界インターネット大会は中国政府の呼びかけによって毎年烏鎮で開催されており、習近平主席も登壇してメッセージを発する重要なイベントです。言うまでもなく、習主席がいくらインターネットを「地球村」になぞらえたところで、インターネット検閲が厳しい中国にあっては、地球村も絵空事でしかありません。
 
このインターネット会議に今年は、“自由の旗手”とも言える2人が参加しました。Appleのティム・クックCEOと、Googleのスンダル・ピチャイCEOはともに、世界インターネット会議に初参加となります。
 
登壇したティム・クックCEOは、すべての国民が恩恵を受けられるような経済政策を推し進める中国のビジョンを我々も共有していると述べ、Appleが同国において複数のパートナーと協業できていることを誇りに思う、と述べました。また、Appleは中国で500万人の雇用創設に寄与し、180万人のアプリ開発者を生み出しているとも語りました。

中国政府当局への当てこすり?

しかし、プライバシーの尊重を声高に訴えてきたAppleとしては、中国の賛辞に終始するわけにはいきません。
 
クック氏は、デジタル化が進む今だからこそ、人間性(Humanity)がもっと必要とされると述べ、AIに絡めて「私は機械が人間のように思考することを心配していない。人が機械のように思考することを心配している」とチクリ。さらに「我々は皆、人間性や価値観をテクノロジーに注ぎ込んでいかなければならない」と、意味深な発言も忘れませんでした。

“価値観”と“実益”の板挟みにあうApple

ティム・クックCEOが中国のインターネット大会に参加した背景には、同国がAppleにとって重要な市場であるだけでな日増しに強まる中国政府当局からの圧力と決して無関係ではないでしょう。
 
中国ではiBooksやiTunes Movieが使えないほか、最近も国内Apple Storeから、海外サービスを自由に使えるVPNアプリや、米メディアNew York Timesのアプリが削除を余儀なくされています。Appleは「現地のルールに従ったまで」と述べていますが、アメリカの国内議員からはAppleのダブルスタンダードに疑問の声も上がっています。
 
AppleとGoogleの大会参加が、中国におけるインターネットの方向性を変えるきっかけとなるのでしょうか。
 
 
Source:Bloomberg,WIC
(kihachi)

ティム・クックCEO、中国政府主催のイベントで「人間性」の重要さについて語る