「スポーツ界の名珍場面総集編」…7月のウィンブルドン敗戦後に見せた“王者の品格”

 2017年のスポーツ界を沸かせた名シーンを連日にわたって振り返る「名珍場面2017」。今回は7月にテニスのウィンブルドンでラファエル・ナダル(スペイン)が演じた「敗戦後の20秒の直立」だ。4回戦で世界ランク26位のジレ・ミュラー(ルクセンブルク)と対戦し、4時間48分に及ぶフルセットの死闘の末に惜敗。しかし、試合後に気高い“20秒の直立”によるスポーツマンシップを披露。大会公式ツイッターが「敗北の中にも品格」と動画付きで紹介し、称賛の嵐を呼んだ。

 これぞ、真の王者にふさわしい振る舞いだった。2セットダウンから追いついたナダル。最終セットは実に28ゲームという消耗戦の末に苦杯をなめた。敗戦後、ナダルはベンチで身支度を済ませた。コートを去る準備が整ったが、大番狂わせを喜んだミュラーはまだ整理が終わっていなかった。優勝候補にとっては大きい敗退。一刻も早くコートを立ち去ってもおかしくない。

 しかし、ナダルは驚きの行動を取った。ミュラーを見たナダルは、ベンチ前で直立不動したのだ。ウィンブルドンでは対戦相手を称えるため、選手は一緒にコートから去る慣例もある。昨年、世界ランキング4位のロジャー・フェデラー(スイス)が準決勝でミロシュ・ラオニッチ(カナダ)に敗れた後も勝者を待ってからコートを去っていた。

 ナダルは約20秒間、悔しさを必死に押し殺す表情で前を見つめ、勝者の荷物整理を待っていた。苦々しい敗北の後にもスポーツマンシップを体現するナダルには観衆からスタンディングオベーションが起きた。そして、ミュラーとともにコートを去るナダルは、左手を振りながら人々の大声援に感謝の意を表明。さらに、ファンの声を聞くと、再び驚きの行動に出た。

ファンにサインも…まさかの行動に称賛の嵐「最も品格のある選手」「だから彼を愛している」

 スタンドに自ら歩み寄り、そして、子供たちに丁寧にサインに応じたのだ。世界のトップ選手としての立ち位置を理解しているからだろう。こうして、ナダルは「4回戦敗退」という結果とともに、聖地を後にした。ナダルの示した一連のスポーツマンシップを、ウィンブルドンの公式ツイッターも動画付きで紹介した。

 敗北の中にも品格。巨大な激闘の後にも、ラファエル・ナダルは対戦相手のジレ・ミュラーとともにコートを去るために待った」と称賛し、全仏オープン優勝10度というテニス史にその名を刻むレジェンドというだけでなく、スポーツ界屈指の紳士としても知られているナダルのジェスチャーを紹介した。ナダルの行動を見たファンからも称賛の声が巻き起こった。

「ラファエル・ナダルは最も品格のある選手だ。ダントツだ」
「この男を尊敬しなければいけない。スポーツマンシップだ」
「彼を愛さなければいけない」
「これはすごい。彼はなんて謙虚なんだ」
「最後にサインもするなんて… 本物の紳士だ」
「だからこそ、私はこの選手を愛している。一切、苛立ちを見せなかった。純粋な気品だ」

 ウィンブルドンこそ4回戦で姿を消したナダルだが、8月の全米オープンを制し、グランドスラム2冠を達成。世界ランク1位でシーズンを終え、故障から復活を印象付けた。その裏では実力のみならず、気高い振る舞いも輝いていた。

ラファエル・ナダル【写真:Getty Images】