本格スタートが2018年4月に迫った、有期労働者の「無期転換」。民間企業では、人手不足を背景に前倒しする社もある一方で、大学では、対応が進んでいないとされる。

12月4日、都内で大学職員らによる、緊急集会が開かれ、各大学の教職員組合が取り組みを発表した。全国大学高専教職員組合(全大教)の長山泰秀書記長は、「国立大学は、法律の趣旨をしっかり理解して、公的機関・教育機関として恥じない行動をとってほしい」と力を込めた。

●東北大では合格率84%の「選抜試験」…組合は「見せかけの数字」と批判

2013年4月に施行された改正労働契約法では、同じ職場で5年働いた有期雇用者からの希望があれば、無期雇用に転換しなければならない(5年ルール)。しかし、大学では法改正に合わせたルール変更が散見されるという。

東北大学では、法改正後の2014年、有期雇用の上限が5年になり、5年ルールが適用できなくなった。今秋、有期雇用者を対象とした、無期での採用試験があり、11月に応募821人中、690人が合格したことが発表されている(合格率84%)。

合格率が高く見えるが、同大職員組合の高橋京書記長によると、本来の受験資格者は来年通算5年を迎える人に限っても約1100人、全体では3000人以上。一部の採用枠で受験条件とされていた部局や教授の推薦がもらえず、そもそも試験を受けられなかった人がいるという。さらに、合格者のうち約6割は、プロジェクトの終了や教授の退職とともに雇い止めされる。組合によると、宮城労働局はあらかじめ解雇要件を定めた無期雇用として問題視していないそうだが、組合は「事実上の有期雇用だ」と批判している。そもそも、試験を課すことが脱法行為との立場だ。

東京大学でも、今後1万人を超える有期雇用者が雇い止めされる危機があるという。同大教職員組合の佐々木彈執行委員長は、「金がないから無期転換できないという都市伝説がある」と発言。「無期転換しても、待遇は改善しなくて良いから、金はかからない。慣れた人を雇い止めしても、結局新しい人を雇う。誰の得にもならないことが周知されていない」と力説した。

このほか、名古屋大学の職員組合は、大学と交渉した結果、選抜試験が中止され、一部条件はつくものの無期転換の学内ルールが作られたことを報告した。

集会に出席した今村幸次郎弁護士は、「無期転換権はリーマンショックの非正規切りの反省から生まれた」と述べ、理念を骨抜きにするような雇い止めについては、「今後、裁判で戦う場面も出てくる」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

2018年問題迫り「無期転換」求める国立大職員「金がないからできないは都市伝説」