北朝鮮の継続的な弾道ミサイル発射と核実験で朝鮮半島の緊張が高まるなか、中国当局は、20年以上続けている中朝交換留学プログラムの停止を検討していることを明かした。別の中国政府関係者は、有事の際に北朝鮮にいる中国人留学生が人質になる恐れがあると、中国専門家からの取材に答えている。

英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト12月1日付によると、国家留学基金管理委員会で交換留学を担当する李剛(音訳)氏が11月に同紙のインタビューで「学生の安全を脅かすまで事態が悪化すれば、中国政府はいつでもプログラムを中止する」と述べた。

中国と北朝鮮は毎年3~4月に、それぞれ大学生60人を7カ月の期間で交換留学を行っていた。滞在費用は留学先の国が負担する。今年のプログラムに参加した中国人留学生は全員、12月中に帰国するという。

李氏によると、中国政府機関である留学委員会は、中国の情報機関から北朝鮮について情報を随時に受け取っている。しかし「ミサイル発射について知らされておらず、状況を懸念している」と述べた。

「情報機関から軍事衝突の危険性が高いと通知があれば、すぐに在平壌中国大使館を通じて、できるだけ早く留学生を退避させる」と述べた。

中国政府関係者「留学生が人質にされるのを警戒」

中国問題専門家の遠藤誉・筑波大学名誉教授は、中国政府関係者の取材記事を自身のYahoo!ニュース個人のブログに掲載。中国政府関係者は交換留学プログラムの停止について、北朝鮮に留学する中国人学生が人質になりかねないからだと述べている。

この中国政府関係者は、今年2月に金正恩氏の異母兄・金正男氏がマレーシアで暗殺されたとき、北朝鮮側が、マレーシアの実行犯を操る北朝鮮工作員を帰国させる交渉で、北朝鮮にいるマレーシア政府関係者が人質にとられたことを事例にあげた。

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また、北朝鮮問題の終結には今年3月に中国の王毅外相が提案していた「双暫停」を改めて最善策とした。これは、中国とロシアが北朝鮮と対話し、核開発とミサイル発射を停止させ、同時に日米韓は共同演習を停止する、というものだ。しかし、日米韓は拒絶している。

米韓両軍は4日、過去最大規模となる軍事演習を開始した。米軍からは約1万2000人が参加し、両軍は最新鋭ステルス戦闘機を含む約230機を投入するという。演習は、北朝鮮の弾道ミサイルの移動式発射台や、南北軍事境界線付近に集中配備されているロケット砲などの破壊手順の確認も行うとされる。8日まで24時間態勢で訓練は続くと、韓国メディアは報じている。

遠藤氏が、ロシアと共に対話しても北朝鮮が核ミサイル凍結を承諾しなければ、中国は石油パイプラインの停止するかとの問いに、この中国政府関係者は回答を拒んだ。

(編集・佐渡道世)

2017年 ロイター/KCNA via REUTERS