人生とは時に残酷なものだ。1998年に開催された長野冬季オリンピックのスケート競技で銅メダルを獲得した植松仁容疑者(43)が先月30日、電車内で女性の足に体液をかけた暴行容疑で愛知県警に逮捕された。県警によると、同容疑者は4月14日午前8時ごろ、名鉄名古屋駅から知立駅に向かう電車内で、乗客の女性(21)の右足甲に体液をかけた疑いが持たれている。女性のストッキングに付着した体液を調べたところ、植松容疑者が浮上したという。

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 同容疑者は長野五輪のスピードスケートショートトラック男子500mで銅メダリストを獲得。スケート競技を退いたあとは、2000年に日本競輪学校に特別枠で入学し、競輪選手として活躍した。06年には競輪選手として上位クラスのS級に昇格。その後は肝臓疾患を患ったこともあり思うような成績を残せず、10年10月に引退したが、一流アスリートしての矜持は保った。

 そんな同容疑者が電車内で“ぶっかけ行為”に及んでいたのだから、驚き。しかも警察の調べに「(体液を)出したことは認めるが、かけるつもりはなかった」と前代未聞の供述を展開しているというから、情けない限りだ。

 社会部記者によると、同容疑者は数年前にアスリートのセカンドキャリア支援を目的とした企業を立ち上げ、全国で講演活動などを行っていたが「必ずしも順風満帆というわけではなかったようだ。仕事のストレスを“ぶっかけ行為”で発散していたのかもしれない」という。当局は満員電車を狙った計画性から余罪もあるとみて捜査している。

 同様の転落劇で言えば、陸上の世界選手権女子マラソンの元代表・原裕美子(35)の万引き事件も記憶に新しい。7月30日に栃木県足利市内のコンビニで化粧品や菓子パンなど8点、計2600円相当の商品を万引きした窃盗容疑で逮捕。11月に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。初公判で原は現役時代の厳しい体重制限により、暴食しては吐く摂食障害になったと告白。万引きした理由について「お金を払うのが惜しかった」と述べ、事件当時は強いストレス下にあり「早く捕まって楽になりたいと思った」と告白した。

 悲しい“最期”を迎えたのはサッカー元日本代表MFの奥大介さん(享年38)だ。1994年に入団したジュビロ磐田で黄金時代を担い、日本代表として国際Aマッチ26試合に出場。07年に引退後は東京・多摩大目黒高の監督やJ2横浜FCの強化部長を歴任したが、このころから情緒不安定となり、私生活にも影響が出始めた。13年6月には妻の女優・佐伯日菜子へのDVで逮捕され、同7月に離婚。その後は知人の家を転々としたが「自分がいては迷惑がかかる」と長くとどまることはなかった。

 そうした孤独のなか、奥さんは14年10月に沖縄県宮古島市で事故死。県警によると、宮古島市上野宮国の県道で軽乗用車を運転中、対向車線にはみ出して電柱と衝突したという。現場は見通しの良い緩やかな左カーブ。電柱を折った先の雑木林で大破して止まった車の運転席で、意識不明の奥さんが発見された。「県警の発表では事故死ということになっていますが…。自らアクセルを踏んで突っ込んでいったようにしか見えませんでした」とは当時取材した報道記者。

 五輪メダリストでも日本代表でも、引退後に人生が暗転するケースは多い。犯罪行為に走ることは決して許されることではないが、セカンドキャリアの支援は急務といえそうだ。

※イメージ画像は、「Thinkstock」より

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