信州には毎年全国から20万もの人が訪れる桜の名所があることはご存じだろうか。廃藩置県によって取り壊されて、明治8年に公園となり、荒れたままになっていた高遠城址。その高遠藩の旧藩士達が「桜の馬場」から桜を移植したことをきっかけに「天下第一の桜」と称される桜の名所となり、現在では「桜の日本三大名所」として全国的に有名な観光スポットとなっている。

【写真を見る】白いソメイヨシノとは一味違う華やかな風情を漂わせるタカトオコヒガンザクラ

春に開催される「さくら祭り」の時期には、毎年約20万人もの観光客が訪れて大きな賑わいをみせる。また、秋には約250本のカエデの紅葉を楽しめる他、菊花展などのイベントが好評の「高遠城址もみじ祭り」も開催。

■ さくらの名所100選にも選ばれる固有種の桜

約1500本が植えられているタカトオコヒガンザクラは、この地にしかない固有種。中には樹齢140年を越える老木もあり、県の天然記念物に指定されている。小ぶりで赤みを帯びた可憐な花を咲かせるのが特徴で、満開時には公園全体がピンク色に染まり、360度見渡す限りの桜を満喫できる。平成2年には日本さくらの会の「さくら名所100選」にも選ばれた。見頃となる4月上旬~中旬には「さくら祭り」が開催され、地元の郷土芸能奏などのさまざまなイベントが催される他、日没からはカラーライトアップやプロジェクター投影による「夜桜ライトアップ」も行われ、日中とはまた違った幽玄な雰囲気を楽しめる。なお、入園が有料となるのは、桜の開花宣言翌日から散り終わりまでの期間のみ。

公園内には、登録有形文化財に指定された高遠閣をはじめ、問屋門、太鼓櫓、新城藤原神社、高遠公園碑、無字の碑、靖国招魂碑などの歴史的建造物がたくさんあり、古き時代に思いを馳せながら園内の散策が楽しめる。

「高遠のさくら」といえば、以前は道路が渋滞するイメージもあったが、渋滞緩和対策によって比較的スムーズにたどり着けるようになった。桜の時期は歴史に思いをはせつつ、薄紅色の可憐な花に包まれてみよう。 【東京ウォーカー編集部】(東京ウォーカー)

馬の姿が桜の花に埋もれて隠れたという、高遠の桜の馬場から移植された桜が咲き誇る