[AP通信] 米航空宇宙局(NASA)は地球から約130億マイル(210億キロ)先を飛行中の無人探査機でエンジンテストを実施した。

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 NASAの地上管制官は11月末、現在地球から最も遠く離れたところを飛行中の無人探査機「ボイジャー1号」に対し、軌道修正用の4基のバックアップエンジンを噴射させる指令を送信した。ボイジャー1号が土星に最接近して以降、これまで37年間使われずにきたエンジンだ。

 喜ばしいことに、長らく休眠状態にあった4基のエンジンはNASAからの指令を受け、正常に動作を開始した。この朗報を伝える信号は、米カリフォルニア州パサデナのNASAジェット推進研究所(JPL)で結果を待つ専門家チームの下に19時間以上かけて届けられた。

 エンジンテストの目的は、4基の軌道修正エンジンを使ってボイジャー1号の通信アンテナを地球の方向に向けられるかどうかを確認することにあった。通常、機体の姿勢は別のエンジンで制御するが、その姿勢制御用エンジンが劣化しつつあることから、軌道修正エンジンを代用する案が浮上した。4基の軌道修正エンジンは2018年1月に姿勢制御を引き継ぐ予定だ。この切り替えによって、ボイジャー1号の寿命は2〜3年延びることになるという。

 1977年に打ち上げられたボイジャー1号は現在、太陽系圏外の恒星間空間を飛行している唯一の人工物だ。姉妹機「ボイジャー2号」は現在地球から約110億マイル(177億キロ)離れたところを飛行中だが、今回のテストの成功を受け、NASAはボイジャー2号についても同様のテストの実施を検討中だという。ただしボイジャー2号の姿勢制御エンジンはまだ問題なく機能しているので、すぐにテストが実施されることはなさそうだ。

 ボイジャーの制御チームは何十年も前の古いデータを掘り起こし、当時のソフトウェアを調べた上で、今回のテストに挑んだ。テストの各課題をクリアする度に興奮の度合いも高まった、と推進担当エンジニアのトッド・バーバー氏は語る。

 「長らく休眠状態にあったエンジンが、まるで少しも時間など経っていないかのように再び動き出してくれたのを確認できたときは、安堵と喜びと信じられないような気持ちが入り交じった気分だった」と同氏は声明で述べている。

 ボイジャー1号と2号は木星と土星の見事なクローズアップ画像を地球に届けてくれた。ボイジャー2号は天王星と海王星の撮影にも成功している。

(日本語翻訳 ITmedia ニュース)

(C) AP通信

飛行中のボイジャー1号想像図(Image via NASA)