〈あらすじ〉

猫の街として知られるイスタンブールでの、猫と人間の交流を捉えたドキュメンタリー。子猫のために市場の食べ物を狙うサリ、撫でられるのが大好きなベンギュ、夫を尻に敷く嫉妬深いサイコ、市場のマスコットのデニス、遊び人のようなガムシズ、美食家のデュマンなど、7匹の野良猫はみな個性的だ。これが長編デビュー作となる監督は、この地に生まれ、幼い頃から猫と暮らしてきたジェイダ・トルン。長い年月をかけて、地上10センチの猫目線で彼らの暮らしぶりやキャラクターを撮影した。また、街の人たちは、猫との温かな交流や、猫のいる人生の豊かさを証言する。イスタンブールが猫の街となった歴史や、変貌する街における猫との共生も模索する本作は、外国語のドキュメンタリー映画として、アメリカ映画史上3位の興行収入を記録した。79分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆低い低いカメラワークでとらえた猫の生態。それぞれの個性も面白い。イスタンブールの街や人々の暮らしも程よく描写。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆派手な技はないが、人の温情と猫の安心が低く囁き合って心を和らげてくれる。路地と空地は猫にも映画にもやさしい。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆見慣れた猫視線でのドキュメントかと思いきや、生活者が語る猫との愛情が深く綴られ、猫の佇まいに一層人間臭さが。

森直人(映画評論家)

★★★★☆動物ものというより都市映画。有機的な共存空間を捉える撮影が見事。優れた寓話のようにも見えるドキュメンタリーだ。

洞口依子(女優)

★★★★★猫のように小さく賢く愛らしい映画。風景を情景に変える猫という被写体。思慮深い洞察力。柔らかで穏やかな気持ちに。

INFORMATION

「猫が教えてくれたこと」(トルコ)
シネスイッチ銀座ほかで公開中
監督:ジェイダ・トルン
出演猫:サリ、ベンギュ、アスラン・パーチャシ、サイコパス、デニス、ガムシズ、デュマン ほか
http://neko-eiga.com/

(「週刊文春」編集部)

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