アガサ・クリスティの傑作ミステリーを映画化した新作『オリエント急行殺人事件』(日本公開12月8日)で主人公の名探偵ポアロ役&監督を兼任したケネス・ブラナーが来日中。先日、続編としてクリスティの「ナイルに死す」映画化が進められていると海外メディアで報じられていたが、ケネスは同企画にかなりの意欲を見せた。

 かの有名な原作を、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルスら現代のオールスターで映画化し、話題となっている本作。製作費5,500万ドル(約60億5,000万円)に対し、全世界興行収入で約2億3,820万3,041ドル(約262億233万4,510円)を稼ぎ出す好成績を収めている(数字は Box Office Mojo 調べ、1ドル110円計算)。

 それだけに、続編について大きく報じられたが、ケネスが関与しているかについては明かされておらず。しかし、現在来日中のケネスは「(続編は)本当だよ」と認め、「僕はアイルランド人で迷信深いタイプだからね(笑)。いま取り組んでいて、とても光栄なことだから喜ばしい。本作が世界的に興行成績も上手くいっていて、イギリスでは本当にたくさんの人が本作を観に足を運んでくれているんだ。他にも優れた作品がたくさん公開されている中で、4~5週間も劇場公開されているなんて奇跡だね。それに劇場には年配の方だけでなく、若者もいる。それがすごくうれしかったよ。20代前半の姪がいるんだけど、彼女はストーリーを知らなかったもんだから、観終わったあと『ハッ!』ってあっけにとられていたよ。あんな結末が待っているなんて、本当に信じられなかったようだったね!(笑)」と意気揚々。

 「しばらくの間ずっとこういう映画をつくりたかったんだ。1作、2作、3作(作りたい)とかって考えていたけど。ハイレベルな映画づくりでむずかしいのは、ハイレベルというのは予算といったことを含めてだけど、何かをつくってそれが成功したら、次の作品でも全く同じものをつくろうとしてしまうことなんだ。サプライズを入れ込むことをしなくなる。僕は入れ込むのが好きなんだけど。とくに、こういった、何度も映像化されている原作では、“これが僕たちの作品だ”というように、違いを明確にしていくのが大事だからね」とも語り、続編でもチャレンジ精神に富んだ作品になることをうかがわせた。

 そんな次回作の原作「ナイルに死す」について「ちょうど数日前に、(本作の脚本家で続編も担当する)マイケル・グリーンの面白い記事がロサンゼルス・タイムズ紙に載っていた。彼はアガサ・クリスティのことが大嫌いだったとつづっているんだ。『ナイルに死す』がいかに怖すぎたかってね。その原作は、とても情熱的でセクシーだから面白い。異常なほどの愛について描いているからね。それほどまでに強い感情を持つことの危険性について、ロマンチックな恋愛が暴力的なまでに誤った方向に進んでしまうことについて描いている」とその魅力に触れ、「僕たちはそのことについてもよく話し合った。マイケルと働くのはすごく楽しいんだ。本作でポアロというキャラクターをどうつくりあげていくかについてはかなりの時間を割いた。実際、彼とは2、3作にわたってポアロを描くとしたらどうなるかを考えていたんだ。ポアロの口ひげにまつわるストーリーを描いても面白いだろうね。そう言うと、ばかげているように聞こえるだろうけど」と笑顔を見せつつ、何やらすでに良いアイデアを練っているようだった。豪華キャストの共演や65mmフィルムで撮影された圧巻の映像だけでも心躍る本作だが、ケネスふんする名探偵ポアロの徹底したつくりこみは、これからの壮大な物語をも感じさせる域に達している。(編集部・石神恵美子)

映画『オリエント急行殺人事件』は12月8日より全国公開

次回作「ナイルに死す」映画化では口ひげにも迫る!? - (C)2017Twentieth Century Fox Film Corporation