『灯り』(ストレイテナー×秦基博)/『Windy』(CHEMISTRY)

 ストレイテナー×秦基博。そのどちらの作品も前に聴いた覚えは確実にあるのに、はて困った。それらがどのようなものであったか思い出せないのだ。寄る年波に勝てぬとはこういうことなのかしらん? あ、違いますよね。

 音源に添えられていた資料によれば、ストレイテナーは結成から来年でもう20年、メジャーデビュー15周年を誇る、堂々ベテランといって誰はばかることもない立ち位置にあるバンドだ。そんなことさえ知らなんだ俺も俺だが、この欄担当の若者も「あまり存じ上げません」。それでなんだか少し安心したりして(笑)。

 てな具合の『灯り』であるが、いまも述べた通り、これまでの活動の把握さえほぼしてもいないに等しいこの俺に、両者の音楽性に於ける共通項の有る無しであるとかいった議論など、正直ハッキリ申しあげて無理よ。ただ、コラボレーション曲を聴く限り、双方の基本的な表現美学には、さほど齟齬はないようにも思えた。どういった作業工程を踏んだのにせよ、結果ひとかたまりの音楽として、旋律も和声も、大変自然に繋がっているからである。

 ところで。先ほどの資料に、作曲中のエピソードとして、もともと4拍子だったのを秦基博のアイデアで3拍子に変更をしたという記述があった。

 なるほど聴いてみればたしかにこの3拍子、聴き手へのアピールを高めるのに一定の効果を持つというか、印象を強くする効き目はあるネ。これこそ“意義ある変更”というヤツなのかも。

 というのも、すっかり忘れていたのだがもう師走。業界はクリスマスに向け商品を整え始める時期なのである。

 すなわち。この3拍子の曲調には、クリスマスというものが本来持つ、厳かな方の側面の存在を思い起こさせるようなところがたしかにあるのだ。それは単純に『聖しこの夜』が3拍子だということからの連想に過ぎぬかもしれないが、これからの寒い夜などにこの曲がどこからともなく鳴っていたりする日本というのも悪くないなと。いい具合に“まじめに”クリスマスの季節の到来を感じさせてくれる音になっているのである。

 ま、そのあたりはあくまで個人的な印象の域を出ないものとして捉えておいていただきたいが、特筆しておきたいことがある。今時世界中でポップスといえば、おそらく新譜の99%が4/4拍子の筈だ。そうしたなか、敢えて――下手をすれば浮いてしまう――3拍子を選んだ。それはやはり勇気のいることであったと思うのだ。以前この欄でもその難しさに触れたはずだが、今回、出来上がってきた作品は、見事今の時代にふさわしい、決して古臭くない3拍子となっている。

 こうなれば、この曲に影響を受け、他の人間も3拍子のjpopを作り始めるなんてことになりゃしないかと、ちょい期待もしたくなってくる。

 CHEMISTRY。

 聴きながらかつて彼等の活躍したころを思い出していた。

(近田 春夫)

灯り/ストレイテナー×秦基博(ヴァージン)ストレイテナーのホリエアツシと秦による「冬のラブソング」。