高校3年の夏ごろから、バイトを強く意識していた。12月半ばに推薦受験し、合格通知が届いた翌日から教習所に通い始め、バイトも決めた。はっきり言って、受験よりバイトに対する意識のほうが大きかったと思う。1日も早く自分の車を手に入れるという最大の目的があったからだ。

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観賞用の自動車雑誌

最近は若年層の車離れが目立つようだが、筆者が大学に入った80年代初頭は、男子がバイトする理由の90%は車を買う頭金を作ること、そして月々の月賦の支払い金と維持費を生み出すためだったにちがいない。

 

ある程度お金が貯まったら、どんな車を買うかという選択肢がより現実味を帯びてくる。ネットがなかった時代の情報収集の媒体として信頼できるのは、中古車販売専門誌だ。週刊誌を何種類か買って、気になる車種の年式や最低価格をグラフにして検討したりしていた。そういうプロセスで車を選び、大学1年の夏休みに入った直後、人生初のマイカーとなったいすずジェミニのクーペを買った。

 

中古車専門誌は実用本以外の何物でもない。その一方、筆者が鑑賞用として位置付けていた雑誌がある。それが『ル・ボラン』――フランス語でハンドルを意味する言葉――だ。当時のキャッチは確か、“ファッショナブルな男のカーマガジン”だったと思う。

 

表紙の手触りも他の雑誌とはちょっと違って、独特の高級感があった。それは、ヨーロッパ車に軸足を置いた編集方針とも無関係ではなかった気がする。

 

最新号特集は絵になるポルシェ

そして今回、その『ル・ボラン』の最新号(ル・ボラン編集部・編/学研プラス・刊)をひさびさに手に取った。表紙もふくめすべてが高級感あふれる手触りだ。いや、高級感を軸にすればグレードアップしている。版型もかなり大きくなった。

 

昔も毎月かなり読み込んだ記憶がある総力特集は、“まるごとポルシェ!”。タイトル通り、新型モデルのレビューから歴代モデル乗り比べといったポルシェだらけの構成だ。もちろんポルシェのオーナーになったことはない。でも、さまざまな思い出が甦る。

 

たとえば、トム・クルーズ主演の『卒業白書』(1983年)では、トムが演じる高校生の父親の車がポルシェ928だった。ハリウッド映画で使われるのだから、公開当時は人気車種としてアメリカでも確たる地位を築いていたことがうかがわれる。

 

1990年から放送されていた『ビバリーヒルズ高校白書』。メインキャストの一人ディラン・マッケイ――なだぎ武さんがモノマネしていたあのキャラだ――の愛車が、ポルシェの旧車である356Aスピードスターの黒だった。

 

『卒業白書』でも『ビバリーヒルズ高校白書』でも、重要な役回りで使われていたのがポルシェだったのだ。いい車は、ハリウッド映画でも人気テレビシリーズでも独特の存在感を放っていた。

 

リアルなポルシェ体験

2005年から3年間ほど、カリフォルニア州のアーバインに住んでいた。ディズニーランドがあるアナハイムから車で20分くらいのところにある町だ。やたらキレイな道路や家並みが目立つこの町でやたら見かけた車が、2002年に発売が始まったポルシェ・カイエン955だ。

 

SUVブームの中発売されたこのモデルは、本当にしゅっとしていた。メタリックブラックもパールホワイトもカッコよかったが、一番好きなのはバーガンディーだ。ワインレッドよりも落ち着いた渋い色調で、あずき色と表現するのが一番近いかもしれない。

 

見出しに“リアル”と書いてはみたものの、筆者のポルシェ体験のレベルは残念ながらこの程度でいっぱいいっぱいだ。

 

タイムスリップの媒体

執筆陣による“911について語ろう”はとても読み応えがあった。1960年代から現在に至るすべてのモデルを徹底比較して、ベストワンを決めるという趣向。その流れで最新モデル911GT2 RSの試乗レポートと併せ、全車種徹底研究もよかった。筆者としては、もちろん新型カイエンのレポートをお勧めしたい。

 

『ル・ボラン』は、とてもスタイリッシュな雑誌だ。そして、ものすごく車に詳しいわけではない筆者でも引き込まれる記事が多い。最新号を読んでいて、高校を卒業する前の半年くらいの間の思い出が甦った。背表紙を見たら、通巻490号と書いてある。筆者と同じ思いにとらわれる人たちは、たくさんいるだろう。

 

懐かしいついでに、探したいものがある。1980年代、主にラジオで流れていたル・ボランのCM音源だ。あのジングルみたいなCMソング、覚えてる人いないかな。

 

 

【著書紹介】

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ル・ボラン 2018年1月号

著者:ル・ボラン編集部
出版社:学研プラス

ドイツ車をはじめとする輸入車を軸に、クルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信する月刊自動車雑誌。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があるほか、欧州車を中心とする独自の現地取材企画は高い人気を誇る。

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