THE BOHEMIANSの8枚目のアルバム『DELICIOUS』が完成した。今年2017年で現メンバーとなってから10周年を迎え、紆余曲折を経ながらも自らが信じるロックンロールを鳴らし、歩み続けてきた彼らが辿りついた現在地。「『DELICIOUS』には楽しさしかない」と断言するメンバー5人に、これまでの悲喜こもごもを振り返ってもらいつつ、最新型のTHE BOHEMIANSを詰め込んだ会心作『DELICIOUS』についてたっぷり訊いた。

――THE BOHEMIANSは2017年に、現メンバーになって10周年を迎えたわけだけど、この10年、THE BOHEMIANSというバンドを振り返ってみてどう?

平田ぱんだ(Vo):エンジンかかるの遅いんで、間に合わせで作ってきたような、本当はあんまり聞きたくないような質問からしてみて下さい。

一同:へ!?

――あははは。じゃあ、そこまで興味ないけど、みんなの最近のマイブームは(笑)?

平田:最近、カップ焼きそばに侵されてます! カップ焼きそば中毒なんですよ。毎日やめなくちゃって思ってるんですけど、やめられないんです。銘柄は日清の「ソース焼そばからしマヨネーズ付き」。粉ソースでチープな味がして美味いんですよ。

千葉オライリー(と無法の世界)(Dr):粉ソースなんだ。

平田:そう。粉ソースじゃないと、俺、嫌なの。液体ソースで許すのは明星「一平ちゃん夜店の焼そば」だけ。

星川ドントレットミーダウン(Ba):日清は粉なの?

平田:いや、そういうわけではない。

本間ドミノ(Key):ひとメーカー1種類じゃないからね。いろんな焼きそば出してるから。

星川:あ、そうなの? そっか、日清は「UFO」もあったね。

――冒頭から焼きそばの話とは……。で、ぱんだはエンジンかかった?

平田:まだっす。徐々に上げていって、最後マックスになって、感動! っていう感じがいいかと。

――他のメンバー4人はもうエンジンかかってるから、そろそろ本題に行きたいんだけど。

平田:みんなエンジンかかってるの? やっぱりコイツ等とは気が合わない(笑)。

――あははは。そんな気が合ないメンバーと10年もバンド続けているんだから、気が合ないとは言わないんじゃない?

平田:いや、仕方なくですから(笑)。

千葉:あははは。仕方なく(笑)。

星川:仕方ないっていう言い方もあるかもしれない(笑)。

本間:行くも地獄、引くも地獄(笑)。

――喧嘩ってないの? この10年。

平田:喧嘩したら終わりっすね。

星川:どっちかって言ったら、喧嘩したら終わりなタイプですね。

本間:大声で喚き散らすみたいな喧嘩はしたことないですね。みんなそういう性格じゃないというか。

平田:すべてにおいて食い違ってるんですけど、しゃぁないんで。

星川:それぞれやりたいことがあって、その中で5人でできる事を一緒にやってるって感じですね。

――なるほどね。今回のアルバム『DELICIOUS』でもそうだけど、作詞作曲が全部各メンバー1人で完結されているでしょ? デビュー当時はそうではなかったよね?

平田:もともとは、作詞作曲を1人で完結させるっていうスタイルだったんですけど、メジャーに行って、売れなくちゃダメとか、そういうしがらみみたいなものができ始めて、いろんなことを考えるようになって、曲を作る人と歌詞を書く人と別れたりしてた時期があって。でも、何周かして、またもとの自分達のスタイルに戻ったというか。だから、いますごく自然体なんです。

――そうなんだね。メジャー時代にそんな葛藤があったのは、いま初めて聞くね。

平田:ぶっちゃけ、メジャー時代の後半2枚のアルバムは、楽しくはなかった。4枚目の『BOHEMIANS FOR LIFE』は、本当にそんな気持ちの葛藤が強かった。当時はそんな気持ちの葛藤を表に出す事は一切しなかったけど。

――でも、やりたくない音楽をやっていたわけではないでしょ? 本人たちが全然やりたくない音楽であったとしたら、すごく悲しいというか。正直なところ、私はデビューのタイミングでTHE BOHEMIANSの音と出逢い、“最高のロックンロールバンドに出逢えた!”って思ったし、1曲1曲に大きく心を動かされたからね。いま、それが偽りであり、まったくやりたくない音楽だったと言われたら、それはすごくショックだし、悲しい。でも、あの頃、周りがみんなでTHE BOHEMIANSを売ろうと考えていて、5人もそこに向けてすごく頑張っていた。私達媒体の人間も、THE BOHEMIANSの音と5人の人間性も含めたところで本当にいいと思ったから応援したいと思った。それは5人が放つ音が純粋に良かったからで、デビューから出逢って、過去作も聴いてみたくなって遡って、やっぱり最高に良かった。メジャーに行ったことで音が変わったとは思わなかったし、あの頃の曲はあの頃の曲で最高のロックンロールだと思ったし、THE BOHEMIANSにしかないロックンロールを感じていたから。そのTHE BOHEMIANSらしいロックンロールは、変わらず『DELICIOUS』の中に在る。だから、あの頃の音のすべてが偽りだったとは思えない。いろいろな制限があって楽しくないと感じていたことや、メジャーというシーンでのしがらみを感じていた窮屈さや葛藤の中で生まれていた曲だと言うなら、納得がいくし、むしろ、その葛藤の中で生まれてきた曲なのだと聞けば、尚更愛しい。根っこの部分が変わっていないと思えるから、だからこそ愛おしい。でも、“まったく自分達がやりたくない音楽だった”と言われると、悲しいかな。

平田:やってた音楽に嘘はないです。その頃の自分達の音を否定してるわけではないし。そこで出逢ってくれて、その頃の音を好きだと言ってくれたことに関しては、純粋に嬉しいし、その頃の音を楽しんでくれてるのも嬉しい。ただ、魂は売ってた。でも、魂なんていくらだって売る。魂を売っても、やりたい事は変わらないし、現に変わってないから。だから、売れるためなら、魂なんていくらでも売るって思ってた。でも、“こうしなくちゃいけない”とか、“そのために何かを変えていく”とか、そういうのがすごく嫌で。楽しくなかった。

THE BOHEMIANS/平田ぱんだ(Vo) 撮影=大塚秀美

THE BOHEMIANS/平田ぱんだ(Vo) 撮影=大塚秀美

魂を売ってもやりたい事は変わらないし、現に変わってない。今回『DELICIOUS』というタイトルを付けたのは、今が楽しくて仕方ないから。(平田)

――いままで音を鳴らすことが楽しいことでしかなかったのに、そこが苦しみに変わってしまった部分があったんだろうね。

平田:うん。まさに、いま居る場所は、そういうストレスは一切ない。だから、『DELICIOUS』には楽しさしかない。

――スピーカーから聴こえてくるTHE BOHEMIANSのサウンドと歌に、昔もあの頃も変わりはなかったけど、大きく違っていたのは、気持ちだったんだね。あの頃にそれを知っていたら、私はどう思っただろう? そんな葛藤を知らずに、純粋に受けとめていたから、すごく聴いていて楽しかった。でも、その頃にその葛藤を聞いていたら、きっと聴こえ方が違っていたのかもしれない。純粋に楽しめなかったかもしれない。でも、こうしていま、過去の話としてその葛藤を聴くと、その頃の曲がいままで以上に愛おしいけどね。その葛藤があってこその音でもあったと思うから。そう思うと、今の『DELICIOUS』の音は、10年という歳月が生んだTHE BOHEMIANSの音だと、改めて感じるよね。

平田:うん。あの頃から4年経って、今回『DELICIOUS』(※現在の所属レーベル名と同じ)というタイトルを付けたのは、今が楽しくて仕方ないから。そこにはポジティブな想いしかない。

――その話を聞けたことで、『DELICIOUS』がより立体的に感じるよ。すごくマニアックなロックンロールもあったし、THE BOHEMIANSにしか出せない心を締め付けられるロックンロールが共存しているからね、『DELICIOUS』は。

平田:うん。俺たち、大学の頃に出逢って、一緒にバンドやるようになったから、大学って4年でしょ。『BOHEMIANS FOR LIFE』も4枚目のアルバムでしょ。そんで、今回の『DELICIOUS』も移籍して4枚目のアルバムなんですよ。だから、4年周期だなと思って。なんか、バンドストーリー的な意味も込めて、THE BOHEMIANSは4周期で進んでいこうかなと。

――オリンピックみたいだね。

平田:そうっすね! オリンピックだ!

本間:あの頃を否定するわけではなく、すごく感謝はしているんです。

平田:そう。すごく感謝はしてる。そことはまた別というか。センスとか方向性の違いって、そことはまた別なものだから。

星川:すごく期待してくれてたのは分かったしね。本当に感謝はしてる。でも、生き急いでる感じがすごくしたなって思う、あの頃。空回ってたなって。

本間:いまが自分達にとってすごくいい環境だから、そこと比べると、っていう感じもあると思うんですよね。

千葉:現にあの頃の曲、自分達的にも大好きなんですよ。

平田:そう。あの頃の曲と歌は本当に好き。本当にあの頃の音楽はいまも好き。

星川:音楽と感情はきっと切り離せてたのかもしれないですね。

THE BOHEMIANS/ピートりょう(Gt) 撮影=大塚秀美

THE BOHEMIANS/ピートりょう(Gt) 撮影=大塚秀美

“俺っぽさ”が売れなかった理由なんでしょうね。本当に。本当にそう思いますよ。嘘でもなんでもなく。(りょう)

――りょうくん、随分おとなしくギター弾いてるけど(笑)。

ビートりょう(Gt):そうなんですよ! このギター新しく買ったんです!

平田:最近買ったから嬉しくて、ずっと自慢してるんですよ。片時も離さない。

りょう:そう。最近ずっと持ってます。靴みたいなもんです。このギターも僕です。僕の一部です! マイブームです!

千葉:おっ! 素晴しい! 話が繋がって戻ってる!

りょう:(静かにどや顔)。

――ビートりょう的にこの10年を振り返るとどう?

りょう:俺はずっと楽しかったですよ。

平田:嘘をつけーっ! 一番葛藤があったじゃないか! 一番辞めるとか言ってたじゃないかーー!

本間:あはははは。

星川:たしかに、“辞めたい問題”はあったね。

平田:3度も辞めたいって言ってたじゃないか!

千葉:3度もあったの!?

りょう:ふふ(静かに笑う)。

――でも、そこまでの葛藤があったのに、10年ずっと続けてこれてるっていうのは、やっぱり音楽なんだよね。5人はロックンロールで繋がってるってことなんだろうね。すごく純粋。

平田:俺たち、売れてたら解散してましたね、きっと。

星川:まだ売れちゃダメだったのかもなって思うかも、本当に。たしかに、あの頃に売れてたら、いまはなかったのかなって。なんか、すごくくだらないんですけど、あの頃は、“髭生やしちゃダメ”みたいな空気感出されてましたからね。そういうのも、ちょっと窮屈ではあって。

――そっかそっか。でも、ロックンロールは親父がやってこそ、深みと渋みが増すと思うしね。生き急ぐ必要はないと思う。

平田:分かってますねぇ~。ほんと、そこなんですよ! 早く歳取りたいっすもん。最近、鏡見てちょっと老けてきたりしてると嬉しいんですよ! “あ、ここにシワできた!”と思って!

――あははは。でも、10代20代に作った曲を、渋みが増してからやるって、すごく素敵だよね。それこそ聴こえ方がまた変わるし、愛おしさが増すと思う。そんな未来のTHE BOHEMIANSに会いたいよ。

平田:これからっすよ。本当にそう思います。これからが楽しみで仕方ないんですよ!

――そうだね。今回の『DELICIOUS』を聴いて、改めて思ったことがあった。みんなそれぞれの個性を感じるロックンロールで、やっぱり最高だったけど、胸が締め付けられるような初々しさを宿す“THE BOHEMIANSロックンロール”は、ビートりょうが作っているんだなって、感じた。

本間:本当にそのとおりだと思います。

星川:本当にそう思う。今回は僕以外、全員が曲を作っていて、中でもりょうくんが1番曲を書いているんだけど、PVになってる「ロミオ」とか、本当にりょうくんはTHE BOHEMIANSのロックンロールだと思うからね。これこそがTHE BOHEMIANSだって言える曲を作るなって思う。俺もりょうくんの作るTHE BOHEMIANSの曲、すごく好きなんです。

りょう:おぉ、ありがとう。