性交後に急に体調が悪くなった、自慰をしたら風邪を引いたというような経験はないだろうか? 割と誰にでもあることかもしれないが、世界には性交や自慰によってインフルエンザのような強烈な体調不良に陥ってしまう奇病が存在する。最近この稀な病気に関する論文が発表され、話題となっている。サイエンスメディア「Science Alert」が報じている。

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■POISとは?

 オーガズム後症候群(Post-Orgasmic illness syndrome: POIS)は性交や自慰行為後に極度の疲労に陥り、急な発熱や発汗、鼻づまりや目のかゆみ、筋肉の痛みなどインフルエンザにも似た症状を引き起こす奇妙な病気だ。この病は2002年に初めて報告され、これまでに全世界で50件ほどの報告がなされている。名前の通り、射精後に起こる男性の病である。

 インフルエンザのような症状は射精の直後から始まり、その後数分から数日の間続く。視界がぼやけたり言葉に詰まったり、時には記憶障害を起こしたりすることもあるという。2〜7日で症状は自然と収まり、後遺症などは残らない。POISの特徴として遅漏があり、患者のおよそ50%に遅漏の傾向があるという。

 前述の通りPOISは世界でもたった50症例しかない稀な病気であり、アメリカの国立衛生研究所でも希少疾患の一つとしている。だが、最近発表された論文は潜在的なPOIS患者が思いの外多くいる可能性を示した。これは非常に単純な話で、多くの男性が性交や自慰後の体調不良を経験しているのにもかかわらず、それをPOISだと認識していないということだ。POISの診断には、性交や自慰を射精前に中止してみるテストが有効だという。このテストにより、多くのPOIS患者は射精をしなければ不快な症状が起きないことに気づくそうだ。


■原因と治療法は?

 POISの原因として考えられているものの一つが、精液アレルギーである。精液に含まれる何らかの物質がアレルゲンとなり、皮膚など体の他の場所に付着した時にアレルギー反応を起こしているというのである。つまり、自己免疫疾患の一つではないかという仮説だ。実際、皮膚プリックテストで自分の精液に反応する患者は多いという。もし精液がアレルゲンとなるなら女性にもPOISのような症状が起こる可能性があるが、女性の精液アレルギーと見られる症例もたった一例だが報告されているという。また別の説として射精後に脳内の化学物質のバランスが崩れて何らかの異常が起きているという可能性も指摘されている。

 POISの有効な治療法はいまだ確立されていない。ただし、一部の患者ではあるが抗ヒスタミン剤やSSRIなどの投与で改善がみられたという報告もある。また、精液アレルギー説を基に、少しずつアレルゲンに慣れさせる減感作療法も試みられているという。

 ある意味、男性の人生を大きく狂わせる奇病・POIS。だがその研究はまだ始まったばかりである。

(吉井いつき)


※イメージ画像:「Thinkstock」より

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