ロシアに五輪参加禁止処分が下る直前、アスリート代表としてIOC理事会に出席

 国際オリンピック委員会(IOC)は、国を挙げたドーピング問題の可能性が取り沙汰されているロシアに、来年2月に開催される平昌五輪の参加禁止処分を課した。ロシア人選手に関しては厳格な条件下での出場を認めると発表しているが、この決定直前に、フィギュアスケート世界女王のエフゲニア・メドベージェワがロシア代表の五輪参加を求めて“母国愛”を訴えていた。米スケート専門メディア「icenetwork」が報じている。

 右足中足骨にヒビを負い、グランプリファイナル出場を辞退したメドベージェワは5日、スイスで行われたIOC理事会にロシアオリンピック委員会で唯一の現役選手として出席。クリーンなアスリートの代表として、ロシア選手団の五輪参加を求める“魂のスピーチ”を披露した。

 コメント全文は以下の通り。

「親愛なる会長、親愛なる理事会のメンバーへ。私はここにいることを栄誉に感じています。ロシアのアスリートの代わりに挨拶できる機会をいただき、ありがとうございます。

私はロシアスポーツ界のネガティブなニュースにギリギリまで注意を払わないように努めてきました。我々、クリーンなロシア人のアスリートには心配するものはありません。もしも、誰かがアンチドーピング・ルールを犯していたとしても、それは我々と全く関係ないものです。

(ソチ五輪が行われた)2014年、私は14歳でした。代表チーム入りできる年齢に達していませんでした。個人的には平昌はオリンピックという独特の雰囲気に飛び込む最初の機会になるはずです。私とロシアのチームメイトがなぜこのチャンスを失うことになるのか、理解できません。

私は数多くの大会に参加していました。2つの世界タイトルにこの上ない誇りを抱いています。しかし、オリンピックは夢なのです。あなたたちは自分自身の夢を達成するチャンスをすでに手にしたかもしれません。私にも同じチャンスをください! 平昌後の私のスポーツ人生で他の大会に参加できるのか、分からないのですから」

国を背負うプライド…「オリンピックで国を代表することは偉大な栄誉」

「私はオリンピックで戦うチャンスは氷上での戦いで決まるべきだと常々信じていました。不運なことに、自分ではどうにもならない状況から、私はこの機会を失うかもしれないことは理解しています。

私はロシア国旗ではなく、中立国のアスリートとして五輪の試合に出場するという選択肢を受け入れることはできません。私の国を誇りに思っています。オリンピックで国を代表することは偉大な栄誉なのです。パフォーマンスでも強さと刺激をもたらしてくれます。

加えて、自分にとっては個人競技と団体競技もオリンピックでは等しく重要です。国旗なしに演じるということになれば、チームとして戦うことはできません。同時に私のライバルたちはこのチャンスを手にすることになるのです。オリンピック憲章では、全てのアスリートは等しく機会を手にすべきとあります。そして、この問題において、平等性は存在しないかもしれません。

親愛なる理事会のメンバーへ。もしも、平昌での五輪で私が出場することになれば、みなさんを落胆させないように最善を尽くすことを約束します。自分の国とオリンピックの活動全体を十分に代表的するつもりです。傾聴、ありがとうございました」

“無所属”での参加か、不参加か…世界女王が下す決断に世界中が注目

 ロシアは2011年から4年間、国家ぐるみのドーピングを行い、30競技で1000人以上のアスリートが手を染めていたと報じられている。14年のソチ五輪に参加したロシア選手団の25人は五輪参加資格を剥奪された。

 メドベージェワは、ロシアのアスリートたちの想いと祖国愛を熱弁した。しかしその後、IOCからロシアに対して平昌五輪の参加禁止処分を科すことが発表され、銀盤の妖精の願いは叶わなかった。

 IOCの決定を受けては「まだ時期尚早」と出場の明言は避けたが、世界女王不在となれば、フィギュア界が追うダメージは計り知れない。“無所属”での参加か、不参加か――。メドベージェワは今後、大きな選択を迫られることになる。

ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer

エフゲニア・メドベージェワ【写真:Getty Images】