去る9月18日にKYOTO CMEXの一環として、DoGAが開催した国対抗インディーアニメ団体戦「CGアニカップ2017」。日本と韓国のクリエイター達が一堂に会し対戦した。
 昨年から今年にかけ、『君の名は。』の新海誠監督、『けものフレンズ』のアニメーションを手がけたirodoriのたつき監督などの活躍も記憶に新しいCGアニメコンテスト出身のクリエイター達だが、このアニカップには次世代のCGアニメコンテスト出身のクリエイター達が日本代表として参加し、韓国のインディーズアニメのトップクリエイター達と対戦。勝負は、観客の拍手の大きさと審査員のジャッジにより勝敗判定がなされ、日本2対韓国3で韓国チームが優勝した。対戦後に両チームは互いに親交を深めた。

 前回の記事では、DoGA代表の鎌田優氏に自主制作CGアニメへの想い、そしてそれが置かれている現状について伺ったが、今回はアニカップに参加した日韓両チームの参加クリエイターを招いて行われた座談会の様子をお届けする。日韓のクリエイターの置かれているそれぞれの状況、作品にかける想いから、韓国のアニメに社会的なテーマを持つ作品が多い背景、そして作品発表の場としてのネットやスマホが登場したことで何が変わったのか?等々、熱く語り合った。

取材・文:サイトウタカシ

関連記事:
新海誠監督、たつき監督を送り出したCGアニメコンテストの代表に、自主制作CGアニメの現在と課題を聞いてみた

すべての写真付きでニュースを読む

日韓両チームのCGアニカップの感想

 今回の座談会には、クリエイターとしてCGアニカップ日本チームから『東京コスモ』の岡田拓也氏、『VOYNICH』のWaboku氏、『ゾンビ入門』の多田文彦氏、韓国チームからは『シルム』のクァク・ギヒョク氏、『Before & After』のカン・ミンジ氏、さらに2016年に開催された「第27回 CGアニメコンテスト」に『ROBBER'S COMPANY』で入賞したSTUDIO UGOKIの高尾圭氏が参加。そして韓国インディペンデントアニメーション協会(KIAFA) 事務局長のチェ・ユジン氏と花開くコリア・アニメーション 東京事務局の三宅敦子氏には通訳も務めていただいた。

──まず、これから座談会を始めるにあたって、皆さんに今回CGアニカップで印象に残った作品など教えてください。

Waboku:
 Wabokuと申します。ネネネユナイテッドという会社に所属のアニメーション作家として、制作をしております。アニカップで印象に残ったのは、カン・ミンジさんの『Before & After』と、クァク・ギヒョクさんの『シルム』。元々アート系のアニメーションに僕自身憧れているところがあったので、『Before & After』は特殊な技法を使った挑戦的な映像作りをしていて特に印象に残りました。そして『シルム』は物量がすごくて、描きづらい筋肉を果敢に妥協を一切せず描き続けて、アニメーション1本にしているというところに感動を覚えました。

岡田拓也(以下、岡田):
 『東京コスモ』の岡田です。印象に残った作品は、『鹿の花』(キム・ガンミン)です。インパクトのある映像というか、描かれているのが一般的な韓国の文化というわけではないのでしょうが、惹きつけるテーマ性があり、映像にパワーがあって印象に残りました。あと、近いタイトルですけど『マイ・ディア・フレンド』(コ・スンア)。これは個人的には凄かったと思いました。トリップ感があって好きでした。
 日本チームでは『夜明け前のレゾナンス』(百舌谷)を音楽付きでちゃんと全部見たことがなかったので、すごく刺激になりました。風呂上がりのレモンスカッシュ的なイイ気持ちになれたので、僕はこういう作品好きですね。

多田文彦(以下、多田):
 『ゾンビ入門』を作った多田文彦です。よろしくお願いします。僕は本業はアニメーション作家ではなくてイラストレーターなんですけれども、アニメーションは趣味で作っております。今回の一番は前評判でDoGAの鎌田さんからも聞いていたんですけれども、相撲の『シルム』。この作品が向こうのトップだという話を聞いていたので、団体戦になる時に捨て石じゃないけど僕の『ゾンビ入門』を当ててやろうかという話をしていました。とにかく筋肉の動きが恨めしい。僕は個人でやっているので、表情というか動きやカット数が想像もつかないような作業なんだろうなと思いました。

高尾 圭(以下、高尾):
 STUDIO UGOKIの高尾です。僕は今回のアニカップには出てないんですけれども、印象に残った作品は『Jonney Express』(ウ・ギョンミン)。単純に楽しめて、パッと見て普通に面白かったところが良かった。キャラも結構自分の好みなので特に印象に残りました。日本チームの作品は、僕も岡田さんと同じで『夜明け前のレゾナンス』が他の作品と毛色が違い、単純に気持ちイイなと思ったんです。対戦の最後だったので、エンディングみたいな感じでそれが心地よかったなと感じました。

──では韓国チームのお二人にも感想をうかがえれば。

カン・ミンジ(以下、ミンジ):
 私は日本の作品では、『ひとりぼっちのヒーロー』(若井麻奈美)が感動的でした。日本人の繊細な感じとか、心の動きみたいなものが、一人の子供の感情として具体化されわかりやすく表現されていてよかったと思います。

クァク・ギヒョク(以下、ギヒョク):
 普段から日本のアニメーション結構見るんですけれども、全体的に日本チームの作品には、日本の情緒のようなものが凄く見ることができて良かったです。他の作品も良かったんですけれど、印象的だったのは『東京コスモ』と『ひとりぼっちのヒーロー』。落ち着いた感じなんだけれども、インパクトのある作品で面白かったです。

次のページ »韓国のクリエイターが文化的・社会的な題材のアニメーションを作る理由