ターンブル豪首相は5日、更新された反スパイ法及び外国干渉防止法を公表した。新法案は、外国の政治献金を禁止し、他国のために豪州の内政を干渉する個人への監視対策を設けた。同国では、中国共産党とつながる企業や個人が政治献金をオーストラリアの政治を影響しているとの懸念が強まっている。

 見直された法案は、米国と英国の情報機関の協力も受けている。ターンブル首相は法案について「受け入れがたい内政干渉と、正当な影響力との線引きだ」「隠ぺい、強制、腐敗などの手法を取る外国の影響力ある活動を容認しない」と記者会見で述べた。

 新法案では、外国(政府)の代理人である個人は取り扱う情報についての告知・登録を義務付け、違反者には刑事責任を問う。また、豪州国内の政治献金のみを認め、外国政府に代わって豪州の政治決定・政治運営を影響を与えること、国家安全への危害など国家の利益を脅かす行為を犯罪とみなす。

 同国公共放送局、オーストラリア放送協会(ABC)によると、ターンブル首相は新法案について、「外国の勢力が前例のない巧みな手法で豪州の内外の政治政策を影響しようとしている」と述べ、政府はこうした脅威に真剣に対処していると強調し、新法案は特定の国(中国)を念頭にしたものではないとも説明した。しかし「中国からの影響力に関する憂慮するべき調査報告について、我々は真剣に受け止めている」と言及している。

 新法案は向こう1週間以内に上院に送られ可決される見通し。ターンブル首相は、新法案は反スパイ活動、政治献金問題をめぐる最大規模の改革だと会見で述べた。

 いっぽう、ABCの報道は、外国企業がオーストラリアで法人登録し国内企業になれば、その政治献金は規制されないという抜け道があることを指摘した。

 豪州の中国系住民はおよそ100万人(2016年の総人口2413万人)。近年、中国出身の富豪や実業家が政党などに巨額献金を行い、政治家に圧力をかけて中国政府に有利な働きかけを行わせるなど、経済力を背景にした中国による内政干渉が問題視されている。

元外交官に聞く中国共産党によるオーストラリアへの浸透工作(1)

元外交官に聞く中国共産党によるオーストラリアへの浸透工作(2)

元外交官に聞く中国共産党によるオーストラリアへの浸透工作(3)

 (翻訳編集・叶清)

オーストラリアのターンブル首相(Stefan Postles/Getty Images)