ユーザーがニコニコ動画に投稿した動画の中から、その年、最も素晴らしかった作品を表彰する「動画アワード」。大人気のボーカロイド「初音ミク」の動画から、「AV」(アニマルビデオ)といわれる動物動画まで、さまざまなジャンルの動画が注目を集めてきたが、根強い人気を誇るのが「ニコニコ技術部」と呼ばれるカテゴリだ。

 ニコニコ動画内にある「作ってみた」動画のなかでも、電子工作やソフトウェアなど理系少年的な動画が、ニコニコ技術部に集まっている。ユーザー発の一般のタグとしてスタートし、2009年からカテゴリタグに昇格した。何らかの技術的な方法で初音ミクにネギを振らせる動画や、アニメのキャラクターを立体で再現した工作など二次元に登場する存在を具現化する作品が人気を集めている。

 ニコニコ技術部にはまた、「才能の無駄遣い」と呼ばれるタグが合わせて使われていることがある。高い技術力を惜し気なく使ってばかばかしい発明品を作ってみたり、とにかくローテクを駆使して完成度の高い作品を作ったりしている作者に対する、賞賛の意味が込められているのだ。たまに残念な結果に終わることもあるが、ニコニコ技術部を知っていれば、ニコニコ動画が楽しくなること間違いなし。愛すべき "マッドサイエンティスト"や職人達をご紹介しよう。

(ニコニコニュース編集部)

■芸術の域へ 想像を絶する才能と手仕事に驚嘆

 まずご覧いただきたいのは、「ニコニコ技術部」のジャンルで、現在約150万回再生とランキングトップに輝く作品「コマ撮り実験アニメ『6566/6566』【Bad Apple!! PV【影絵】アレンジ】」だ。人気の同人ゲーム音楽に合わせ、キャラクターたちの影絵をコマ撮りアニメにしたもので、3分半の間に使用されたコマは、実に6566枚にも及ぶ。ひたすら忍耐強く、昔ながらのアナログな手法で作り上げられた作品は、もはや芸術品と呼ぶにふさわしく、「動画アワード2010」ではグランプリを獲得している。

・[ニコニコ動画]コマ撮り実験アニメ「6566/6566」【Bad Apple!! PV【影絵】アレンジ】 - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9519847

 同じく、地道な手仕事で制作されたのは、「【刺繍】ダブルラリアット縫ってみた【手縫いPV】」。人気のボーカロイド曲「ダブルラリアット」に登場するキャラクターを刺繍で縫い、さらにアニメーションにしてしまったという驚きの一作だ。刺繍も極めればエンターテイメント。その発想はなかったと、目からウロコが落ちる動画である。

 一針縫うごとにコマ撮りしたと思われる細かい作業だ。制作に2年もかかったと言うのも、うなずける。その熱意が認められ、第4回動画アワードでは、「ニコニコ手芸部」のカテゴリで、人気投票第一位の「MVD」を獲得。全カテゴリ総合でも、「マキシマム ザ ホルモン ダイスケはん&ナヲ賞」と「ビデオカウボーイ賞」を受賞した。

・[ニコニコ動画]【刺繍】ダブルラリアット縫ってみた【手縫いPV】 - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16418363

 続いては、木製の部品を丁寧に組み合わせ作られたロボットアームを紹介した「木のロボットアーム2009 Wooden robotic arm」。息子の7歳の誕生日に、忙しいお父さんが半年かけて仕事の合間にコツコツ制作したという、心温まるエピソードも素敵だ。「お父さんを僕にください!」というユーザーの声が多く寄せられている。

・[ニコニコ動画]木のロボットアーム2009 Wooden robotic arm - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8781130

 想像を絶する手仕事に驚嘆する一方、ニコニコ技術部には、デジタル系の技術を駆使した動画も多い。例えば、「交通事故・渋滞シミュレータつくってみた」は、AI(人工知能)技術を応用、運転手が乗った自動車の動きを再現し、「交通渋滞がなぜ発生するか?」をわかりやすくシミュレートしたソフト。その再現性のリアルさに、「自分も車を運転するときは気を付けよう」と、思わず反省してしまう。

・[ニコニコ動画]交通事故・渋滞シミュレータつくってみた - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16238908

 「自作音源で自作曲を演奏してみた」では、曲作りからプログラミング、実機の設計製作から演奏まで一人でこなす、超多才なユーザーが登場。そのマルチな才能の1つでも自分にあったら――と思った人も多いかもしれない。

・[ニコニコ動画]自作音源で自作曲を演奏してみた/半導体娘計画【新番組】 - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5042812

 また、音楽の授業でお馴染みのリコーダーを自動演奏するロボット自作した動画も話題になっている。「君の知らない物語をリコーダーが吹いてみた【RePRo】」が、第4回動画アワード「ニコニコ技術部」のジャンルで、人気投票第1位の「MVD」を獲得した。機械とは思えない流麗な指捌きには、一見の価値ありだ。

・[ニコニコ動画]君の知らない物語をリコーダーが吹いてみた【RePRo】 - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16657890

 一人でコツコツ作業は基本だが、「ニコニコ動画」をコミュニケーションツールとして活用し、離れて暮らすユーザー同士が結びついて共同作業をするのも、「ニコニコ技術部」の面白さ。同じような傾向の作品を作ったことがきっかけで知り合ったユーザー達が協力、小惑星探査機「はやぶさ」の実物大模型を作ってしまったのが、動画「探査機『はやぶさ』を作ってみた」だ。まさに「ニコニコ技術部」の真骨頂、ニコニコ動画だからこそ生まれた、スケールの大きな共同作業と言えるのではないだろうか。

・[ニコニコ動画]探査機「はやぶさ」作ってみた - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10757175

■失敗を恐れず、才能を無駄遣いするニコニコ技術部

 さて、ここまで紹介したのは、「やっていることはすごいけど、どこか間違っている」気がする、いわゆる「才能の無駄遣い」と呼ばれる動画だ。ほかにもニコニコ技術部では、あふれる才能を無駄遣いしているユーザーを輩出している。

 たとえば、夏になると食べたくなる「流しそうめん」。普通であれば「流してくれる人」がいないと成立しないのだが、お一人様でも楽しめるようにと「そうめん自動投入装置」を作ってみた人がいる。メリーゴーラウンドのようにカップが回転して、自動的にそうめんを流してくれるという優れ物だ。

 季節感とマッチしたのか、2011年夏の動画アワードでは、見事に「Yahoo!映像トピックス特別賞」を受賞した。審査員からは「自分が欲しい、自分のためだけに作るという姿勢が美しい!それが動画を通じて皆に共有されるのが気持ちよかった」と絶賛の声が上がっている。

・[ニコニコ動画]【お一人様】そうめん自動投入装置を作ってみた【ご案内】 - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15111069

 「工場をつくってみた」(動画アワード2011年秋・宍戸賞)では、レゴという子供の玩具を素材に複雑なマシンを組み立ててしまうユーザーの熱意と、無限にボールを循環させるだけのマシンの存在自体、理解に苦しむ。「フルメタル輪ゴム鉄砲『シルバーウルフ』」は、誰もが子供の頃に遊んだ割りばしで作った輪ゴム銃を、わざわざ鋼板から部品を切り出し、金属加工技術を駆使して作ってしまったという力作だ。連射が可能で威力も素晴らしいが、「でも、輪ゴムですよね?」と言いたくなる。
このような、個性としか呼びようがないフリーダムな世界も、「ニコニコ技術部」ならでは。

・[ニコニコ動画]【レゴ】工場をつくってみた【機械式】 - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15478542

・[ニコニコ動画]【自作】フルメタル輪ゴム鉄砲『シルバーウルフ』 - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4677951

 成功の裏には、失敗もある。最後に、何かを目指しつつ惜しくもそこへ行きつけなかった、もしくはあさっての方向へたどり着いてしまった作品についても紹介したい。ダイソンが販売する羽のない扇風機を作ろうとしたユーザー。かなり本気でチャレンジしたものの、残念な結果に。それでも、「ニコニコ技術部」のファン達は、その努力に惜しみない拍手を送っている。とにもかくにも、結果や他人からの評価を恐れないチャレンジ精神、それこそが「ニコニコ技術部」であり、ファンを引き付けてやまない魅力なのかもしれない。

・[ニコニコ動画]ダイソンのアレを作ってみた - 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8670470

<了>

◇関連サイト
・動画アワード2012 - 公式サイト
http://blog.nicovideo.jp/award/index.html

(ニコニコニュース編集部)

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