江戸時代と言えば男性社会であり、遊郭もその範疇に入っていたかと思われがちですが、意外や意外、遊女や郭への扱いがひどい客人は様々なお仕置きを受けていました。その内容も様々で、『女装させる』『髷を切り落とす』『それらの姿をした男性をさらし者にする』など過激なものがありました。

そうした遊郭の掟でお仕置きをされても、粋人達も対応策を持っていました。本項では、それを紹介します。

浮気な悪い客には伝家の宝刀髪切り丸!もし髷を切られたら…?

吉原などの遊郭における客と遊女の関係を夫婦に見立てたのは有名ですが、それは約束を破れば男性側に容赦ない罰を与えることをも意味していました。疑似夫婦、それも女が強い立場である以上、自分以外の遊女と関係した男性客を罰するのは、当然の権利でもあったのです。

そうした不埒な客人をお仕置きするのに使われたのが、 “髪切り丸”でした。何だか刀のようにも思える名前ですが、これは浮気男を捕まえて髷を切るのに用いられたハサミです。当時の男性は髷を結うのが当たり前であり、髷を切られるのは武士・町人を問わず不名誉なことでした。

その上、お化粧や女物の衣服を着せられてさらし者にする“追加刑”もあったと言われており、確かにこんな屈辱を味わえば浮気などしたくなること請け合いですね。髷を切られた場合にはどうしたのか…それが、豆本多です。

床屋さんが腕を振るった、豆本多は浮気男の強~い味方!

さて、女装&お化粧を受けようとも受けずとも、髷を切られたザンバラは見っともないものであり、何とかしないと更に恥をかきかねません。川柳にも、
“頭巾でも 召してと茶屋は 笑止がり”
と詠まれ、頭巾で頭を隠すのがオーソドックスな手段でした。

無論、頭を丸めるのでもない限り、それ以降も髷は必要になります。そこで、浮気な粋人達は床屋に出かけました。遊郭内には色々なお店や施設があり、浮気をして罰を受けた人のため、髪を結い直すサービスをしてくれるお店もあったのです。床屋さんも、なかなかに心得ていますね。

江戸時代、優雅な遊び人の間では本多髷と呼ばれるちょんまげが人気でしたが、それを小ぶりにした豆本多と言うヘアースタイルがありました。この豆本多ならば切られて短くなった髪の分もごまかしが効きますし、決して格好が悪いものでもありません。恐らく、そんな性懲りの無い粋人達によって髪結いも繁盛したことでしょう。

このように、髷切りという厳しい制裁が設けられていても、江戸期の遊び人達はたくましく切り抜け、そうした人々を相手にする床屋も技術とサービスを磨いていました。お仕置きをされるくらいならば二股などかけねば良いだけなのですが、そうしたツッコミをしてしまうのも、“野暮”なのかもしれませんね。

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