日本を代表する洋画家のひとり熊谷守一(くまがいもりかず)。明治13年に岐阜で生まれ、昭和52年に東京で没した彼の人生は、大地震や戦争、家族の死などに直面しながらも絵を描き続けるというものだった。東京で久々となる本展には代表作を含む油彩画やスケッチなど二百点以上の作品が一堂に並ぶ。

 愛らしい猫や鳥、花や虫など身近なものを小さな画面に丹念に描き出した守一。明るい色彩にくっきりとした輪郭線でシンプルに表されるその絵は、一見純粋無垢な子供の絵のよう、とも言われる。

 しかし、実際には画家は色彩の効果を追求し、構図を繰り返し研究していた。本展では画家として守一がいかに理知的に作画に取り組んでいたかにスポットをあてる。

 97歳で亡くなるまで絵筆を握った守一は、70歳を過ぎて自身のスタイルを確立した。観察と探求を重ね生まれた深遠な絵の世界。時間をかけてゆっくり味わいたい。

INFORMATION

『熊谷守一 生きるよろこび』
~3月21日 東京国立近代美術館 月休 03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://kumagai2017.exhn.jp/

(林 綾野)

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