昼間は静かな鶴岡市昭和通りの一角にある「雲ノ糸」。飲み屋街にあるラーメン店は、日が暗くなった18時頃に、看板に明かりがともる。ここは、庄内のG系ラーメンの店として広く認知される「ラーメン風林火山」が手がけた新たな店で、メニューは煮干し一本である。煮干しラーメンは、ここ数年、全国的にも広く知られ、専門店の数も増えている。

【写真を見る】雲ノ糸の屋号は、芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」をヒントに名付けた

山形でも増加傾向だが、煮干しラーメンだけという店はそれほど多くはない。「狭い店だし、そんなにたくさん出せないから」と笑うのは、店を任されている店長の本間憲一さん。もともと入れ墨の彫り師をしていたという異色の経歴を持つが、以前からラーメン好きということもあり、この店で腕を振るうことになったという。

■ 香ばしい背脂と煮干しは相性が抜群のゴールデンコンビ

メニューは「煮干し中華」が基本となるが、カスタマイズができる。まず小(160g・700円)、中(220g・750円)、大(330g・850円)と麺量が3種類、そして、細麺か太麺かの選択、さらにはあっさり、こってりかを選べる。オープンからさほど月日は経っていないが、酔客の人気ナンバーワンは、平打ちの縮れ太麺で味わうこってり。

香ばしい背脂と煮干しの相性はとことんいい。やや濃いめの醤油ダレとたっぷり煮干しを投入したスープに、庄内豚の上品で香ばしい背脂が加わると、劇的ともいえる化学反応が起こり、風味が格段によくなる。旨味あふれる庄内豚のチャーシューもよいアクセントになっている。

煮干し&背脂のゴールデンコンビに、食欲を刺激されること間違いなしの秀逸な一杯で、飲んだあとのシメに食べたくなるラーメンである。

■ラーメンデータ<麺>中太・平打・縮れ+手もみ/製麺所:自家製麺・220g<スープ>タレ=醤油・仕上げ油=なし/濃度:こってり○○●○○あっさり/種類:魚介(煮干)

■ 旨さのポイント

ウルメイワシ、カタクチイワシなど季節によって産地を変える煮干しでダシを取ったスープが味の決め手。内臓を丁寧に下処理した煮干しで旨味を取るからこそ、えぐ味や苦味が少ないスープが完成する。

ラーメン風林火山とは、まったく別のコンセプトで作られた自家製麺は、煮干し用に開発された麺。スープの旨味をがっしり受け止める力強さがある。大盛りの場合330gとなるが注文する客は多い。

こってり、あっさり、どちらにもファンがいて、「どっちがおすすめ」となかなか言えないと話す、店長の本間さん。「1人でも多くの人に煮干しのおいしさを知ってもらいたいですね」と、鶴岡全域に普及できる店を目指している。【ラーメンウォーカー編集部】(東京ウォーカー・編集部)

煮干しの味がダイレクトに伝わる、煮干し好きにおすすめしたい「煮干し中華・中(細麺・あっさり)」(750円)