サーロー節子 反核運動家
「核兵器は必要悪ではなく、絶対悪です」
朝日新聞デジタル 12月10日

 10日、ノルウェーのオスロで行われたノーベル平和賞の授賞式で、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の運動をリードした一人である被爆者のサーロー節子氏が受賞講演を行った。

 サーロー氏は受賞講演の中で原爆が落とされた当時の様子を回想しながら、「核兵器と人類は共存できない」「核兵器は必要悪ではなく、絶対悪です」と主張。世界の指導者たちに向けて「核兵器禁止条約に参加し、核による絶滅の脅威を永遠に除去してください」とメッセージを発した。

 ICANのノーベル平和賞受賞について、菅義偉官房長官は「国際社会の核軍縮・不拡散に向けた認識や機運が高まる」とコメント。「日本政府のアプローチとは異なるが、核廃絶というゴールの共有であると思っている」と語った(TBS NEWS 12月11日)。

 また、菅氏は日本が参加していない核兵器禁止条約について、「我が国のアプローチと異なるものであり、署名・批准は行わない考えだ」と発言した。安倍晋三首相は今年の「原爆の日」式典で「非核三原則を堅持し、核兵器国と非核兵器国双方への働きかけを通じ国際社会を主導する」と語ったが、核兵器禁止条約には言及していない(日本経済新聞 8月6日)。9日のイベントに出席したサーロー氏は会見で「日本政府は尊敬と信頼を失っています」と語っている(TBS NEWS 12月9日)。

 核兵器に関する議論は終わりがない。前大阪市長の橋下徹氏は「核兵器が地球上からなくなることが理想」としながらも、「核兵器が廃絶されても大戦は勃発しないという論証が必要」と核兵器廃絶を主張することに否定的な見解を示した(プレジデントオンライン 12月13日)。安倍政権とも関係が深い右派団体「日本会議」の田久保忠衛会長は「安倍首相は核武装の議論も始めるべき」とストレートに主張している(『SAPIO』11・12月号)。

 一方、長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎氏は、「米国の巨大な核戦力をもってしても、北朝鮮の核攻撃を『抑止できない』」と指摘。「『核抑止依存』の安全保障政策を転換するべき」であるとして、日本が核保有国と非核保有国の橋渡しを務める「核外交」を行うことを提言している(現代ビジネス 12月10日)。

 核兵器は悪いもの。当たり前のようだと思っていたことが、いつの間にか当たり前じゃなくなっていた。そんな中、世界に発せられた「核兵器は絶対悪」という言葉は重い。

アントニオ・グテーレス 国連事務総長
「夢遊病のように紛争に突入することを避けなければならない」
朝日新聞デジタル 12月14日

 来日したグテーレス国連事務総長は14日、日本記者クラブで会見を行い、「夢遊病のように紛争に突入することを避けなければならない」と警告。「軍事的な解決策はひどく否定的な結果をもたらすだろう」と語った。

 また、グテーレス氏は「非核化の達成は外交によるものでなくてはならない」と強調。対立を深める米朝両国に釘を刺した形だ(産経ニュース 12月15日)。

 一方、安倍晋三首相はグテーレス氏と2時間強にもおよぶ会談を行い、圧力を最大限まで高めて北朝鮮に路線転換を迫る日本の方針を説明。「(15日に行われる)安保理閣僚級会合では圧力強化に資する力強いメッセージをともに発出したい」と呼びかけた。それに対して、米朝の対話仲介に意欲を示すグテーレス氏は安倍首相に外交努力の必要性を訴えた(時事ドットコムニュース 12月14日)。

 安倍首相は今年9月、国連総会で「対話による問題解決の試みは一再ならず、無に帰した」「必要なのは対話ではなく圧力だ」と演説している(朝日新聞デジタル 9月21日)。日本が選ぶべき道は、「対話」か「圧力」か。

レックス・ティラーソン 米国務長官
「前提条件なしで北朝鮮との最初の会議を開く用意がある」
産経ニュース 12月13日

 トランプ政権が北朝鮮への対応をめぐって揺れている。米国のティラーソン国務長官がワシントンで講演し、「前提条件なしで北朝鮮との最初の会議を開く用意がある」と発言した。米国はこれまで北朝鮮が非核化の意思を示すことを対話の前提としてきたが、ティラーソン氏は「非現実的だ」との見解を示している。

 ティラーソン氏は米国としてあらゆる事態を想定して軍事的な選択肢も準備していると強調したが、「圧力」一辺倒だったこれまでの方針からは大きな変化が見られる。ロシアのプーチン大統領はトランプ米大統領との電話会談でティラーソン氏の発言に触れて、「非常に良い兆候だ」と評価した(時事ドットコムニュース 12月15日)。

 一方、米国務省のナウアート報道官は13日の記者会見で、ティラーソン氏の発言について「新しい方針を打ち出したわけではない」と述べ、政策転換との見方を否定している(共同通信 12月14日)。

小野寺五典 防衛相
「最速のスケジュールで導入できるよう、協力をお願いしたい」
毎日新聞 12月13日

 生活保護の引き下げ、年900億円と見られる所得増税、既定路線となった「消費税10%」と、国のお金のやりくりが大変な状況になっていることは明らかだが、その一方で景気良く使われるのが軍事費だ。日本の弾道ミサイル防衛(BMD)システムは、約15年間で累計の整備費が2兆円を超える見通しとなった。

 冒頭の言葉は、小野寺防衛相が今月1日、マティス米国防長官に電話で陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の早期配備に協力を求めたときのもの。ところが、日本のBMDが実戦でどこまで対応できるかは未知数とされている。空自の元航空支援集団司令官の永岩俊道氏は「BMDシステムは万能ではなく、いくら予算を使ってもキリがない」と指摘している。

 日本経済新聞の高坂哲郎編集委員は、MD(ミサイル防衛)の導入理由が「行き当たりばったり」であり、「『こちらが迎撃できるミサイルを北朝鮮が発射してくれるはずだ』との実に甘い想定で陸上型イージスに巨額の税金を投じようとしている」と辛辣に批判している(日本経済新聞電子版 9月14日)。日本の防衛政策立案者は「ギャンブル依存症」のようだと言う高坂氏。たしかに、お金をどんどんつぎ込まないと不安になるんだろうな……。

萩生田光一 自民党 幹事長代行
「与えた恩を石に刻ませるくらいの迫力で外交をやらないと国際社会で日本への支持は得られない」
時事ドットコムニュース 12月10日

 自民党の萩生田光一幹事長代行は、10日に大阪市で開かれた党大阪府連大会であいさつし、政府開発援助(ODA)について上記のように述べ、「『俺が払った』と言い続けないと、他の人は理解してくれない」と続けた。

 また、歴史問題については「戦後72年たっても、72年ちょっと前の歴史をつまみ出されて日本が批判され、国際社会の中で時には袋だたきに遭う。おかしなことだと思わないか」と語っている。具体的な事例には触れていないが、慰安婦問題などをめぐる対日批判に不満を示した格好だ。

 ODAなどについての事実は事実として先方に認めてもらうことが重要だが、「与えた恩を石に刻ませる」とは何とも格好悪い。「かけた情けは水に流し、受けた恩は石に刻め(懸情流水 受恩刻石)」という仏教の教えはどこかへ行ってしまったようだ。また、歴史問題についての「袋だたきに遭う」という発言については、歴史学者の住友陽文氏が「言うまでもなく萩生田氏のような人物が政権にいて時計の針を昔に戻すからだ」と指摘している(ツイッターより 12月10日)。日本が世界から尊敬される国になれば、「与えた恩を石に刻ませる」とすごまなくても相手には伝わるんじゃないでしょうかね。

(大山 くまお)

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