12月9日深夜放送分で第10話を迎える『フリンジマン~愛人の作り方教えます~』(テレビ東京系)。

「最終章突入!」と謳われた今回だが、たしかに定例の会合場所である雀荘へ集まる「愛人同盟」の顔ぶれがいつもと違う。田斉治(大東駿介)、満島由紀夫(淵上泰史)、坂田安吾(森田甘路)の3人のみなのだ。

“愛人教授”の異名を持つ井伏真澄(板尾創路)はどこへ行った? 不思議がる田斉と坂田に、井伏と同じ職場に務める満島が答えた。どうやら、井伏は出張中らしい。
「と言っても、カラ出張だ。“愛人の原石”探しの旅に出てる」
「年に何回かあるんだよ。全国の愛人巡りをしに、渡世人モードになる時が」

これは逆に言えば、今まで学んできた”愛人作り”の腕を試すチャンスなのでは? 何しろ、3人は雀荘で知り合った桐野夏美(MEGUMI)から生徒募集中の料理教室を紹介されたのだ。
「出会いを求めて入会する女性の人、多いんだって」(夏美)
「(決断は)教授が帰ってきてからにしよう!」と2人を制止する田斉であったが、満島と坂田に押し切られ、彼らは料理教室受講を決意。

そして、いざ教室に入ると、そこにいたのは麗しき女性たちばかりであった。

“愛人教授”から学んだテクニックをこれでもかと駆使する「愛人同盟」
ここから3人は、井伏から教わったテクニックを存分に活用していく。

まず彼ら、自らのネクタイを妙な角度に曲げたまま「よろしくお願いします!」と入学の挨拶を行っている。
●ネクタイの法則(第5話にて登場)
ネクタイを不自然でないギリギリの角度で曲げ、女性の前に現れる。すると、稀にネクタイを直接直しに来る女性がいるが、その人は“愛人の原石”である。

しかし、さすがに初対面でいきなりネクタイを直しにくる女性はいなかった。ならば、次の手を打つのみだ。

●乾杯の法則(初出)
「飲み会などで乾杯する時、あえて女性陣とグラスが当たらない位置に席を取ってください。決して、自分から乾杯をしに行ってはいけません。その中に、こんな女性がいるはずです。グラスが当たるまで、あなたのグラスを追いかけてくる女性が。その人が“愛人の原石”です」(井伏)

ワインのテイスティングを兼ね生徒全員で乾杯した時、真っ先に田斉のグラスを追いかけてきたのは阿川久利栖(板野友美)であった。しかも彼女、続けて満島と坂田にもグラスを当てに行くのだ。
ということは久利栖、田斉と満島と坂田の3人に“愛人の原石”だと思わせてしまったことになるな……。

そんな中で坂田は、久利栖の次にグラスを当てに来た湊谷かなえ(濱野りれ)をターゲットとすることに決定。真っ先に坂田は洗い物をしているかなえの近くへ行き、「手伝います」と立候補している。
●疑似不倫体験の法則(第1話にて登場)
「“愛人の原石”が見つかったら、その人とは世間話をしてください。必ず、二人きりで。わずかな時間でも、そのシチュエーションによって“疑似不倫体験”を作り出すことができるのです」(井伏)

一方、満島は田辺恵子(華子)をターゲットに絞ったよう。恵子から「ワインを選ぶ時、何を重要視します?」と問われた満島は「俺は、マリアージュかな」と一言だけ返している。

●赤べこの法則(第8話にて登場)
「ターゲットのツボを押さえたキーワードを用意します。それっぽい言葉を投げ掛けておけば、ターゲットが一人で勝手にしゃべっていてくれます。あとは頷いているだけで良いのです、赤べこのごとく」(井伏)
事実、満島の返答を受け止めた恵子は「マリアージュって、結婚っていう意味ですよね。つまり、大事なのは相性ってことですか? わぁ~、たしかにワインは料理で味が変わりますもんねぇ。そう考えると、ワイン単体でどれが美味しいか比べるのなんてナンセンスってことですか?」と、一人で言葉を勝手に次々と放っていくのだ。それを聞く満島は「そのとおりだよ」と言いながら、赤べこのごとく頷くのみだ。

そんな中、一人佇む久利栖の姿を田斉は発見。どうやら彼女、あまりワインが得意ではないらしい。すると田斉、見事なシェーカーの腕前で彼女のためにワインを作ってみせた。「すごぉ~い、カクテル作れるんですね!」と久利栖を感激させた田斉であったが、実は彼はこのカクテルしか作れない。
「でも、これでいい!」(田斉)

●張り子のサーベルタイガーテクニック(第8話にて登場)
「愛人作りの過程で、楽器の演奏が必要な時があります。ギター以外にも、ピアノやサックスも弾けるようにしています。ワンフレーズだけですが」(井伏)
各分野の一部だけ修練を積み、その一部のみ披露することで“達人”だと相手に思わせるテクニック。しかし、修練を積んだ“その一部”のテクニックは「張り子の虎」どころのレベルではない。「張り子のサーベルタイガー」と呼ぶにふさわしいほどの域である。

東幹久の登場に、板尾創路への信頼は崩れかける
3人が通う料理教室には、男子受講生があと一人だけいる。江戸川雷人(東幹久)なる男が、妙に田斉に協力的なのだ。

それまでは恵子をターゲットに設定していた満島が、田斉と久利栖だけの空間に急に割り込んできた。「あの子は俺にも乾杯してきた。俺の“愛人の原石”の可能性もある」が、満島の言い分である。そこに助けの手を差し伸べたのが、江戸川だった。
「田斉さん、久利栖さん狙ってるんでしょ? 僕がアシストします」(江戸川)
江戸川は久利栖を別のキッチンへ呼び寄せ、田斉を含めた3人でラタトゥイユを作ろうと提案したのだ。それだけではなく、3人で食事する席のセッティングまで成功させている。

この男、只者ではない。久利栖を誘うために、密かに独自のテクニックを駆使していた。

●ミラーリング効果
「誰しも自分と同じ思考を持つ人には親近感を持ちます。彼女がラタトゥイユを作ってることはわかりました。だから『同じものを作る』と言えば、誘いに乗ると思って」(江戸川)

「この人、まるで教授みたいだ!」と驚く田斉に、江戸川は驚愕のセリフを放つ。
「僕、思うんですよ。不倫には愛が必要だと」(江戸川)
“愛人教授”井伏の持論「愛人に愛は必要ありません」とは真反対を行く考え方だ。しかし、江戸川の協力で田斉はチャンスを得たばかり。どちらを信じればいいのだろう……。田斉の心は揺れる。

板野友美のどストレートなキスシーン
江戸川がセッティングした食事の席に、なんと江戸川は来なかった。田斉と久利栖を二人きりにするため、始めから江戸川に行くつもりはなかったのだ。
江戸川 ちなみに、僕は行きませんから。3人なら彼女は警戒せず、誘いに乗ると思ったんです。僕は「遅れてくる」ということにしておいてください。
田斉 江戸川さん……。あなた、凄いですね!

しかも江戸川、店の周辺にある雰囲気のいい場所を田斉に教えている。そのスポットへ二人で行くと、周辺には恥ずかしげもなくディープキスするカップルで溢れていることが判明!

●クンブ・メーラ(世界最大の全裸祭り)
「参加者1億人とも言われている、世界最大の全裸祭りです。服を脱がなければならないというルールはありません。しかし、参加者が次々に脱ぐと脱がざるを得なくなる。集団心理がそうさせるんです。……(小声で)そこねぇ、キスしてるカップルだらけです。集団心理働いて、絶対に彼女もキスをしたくなるはずです」(江戸川)

この説に半信半疑の田斉であったが、久利栖の方を見ると目をつむって唇をとがらせている。なんと、田斉にキスをねだっているのだ!
「えええぇーーーーーっ! こんな簡単にキスが!? 江戸川さんは教授とは……一味違う!」(田斉)

料理教室へ通うことを一人で反対していた田斉であったが、いつしかそこで知り合った江戸川に一人で心酔してしまっている。

愛人作りに“愛”は必要ある? 必要ない?
久利栖とうまくいった田斉であるが、こうなると満島と揉めるのは必至。会合の席、二人が一触即発の状態になったところで、旅から井伏が戻ってきた。

もはや江戸川の虜になってしまった田斉は、井伏へ詰め寄る。
田斉 改めて聞きたいことがあります。愛人作りに愛は必要ですか?
井伏 田斉さん。あなたは今まで、一体何を学んでいたんですか? 愛人作りに愛は必要ありません。感情を捨て、マシーンになれと教えたはずです。
田斉 でも、ある人が言ったんです。「愛人作りに愛は必要だ」と。その人のおかげで、僕は愛人ができそうです。教えてください。愛人作りに愛は必要ですか?
井伏 くどい。
田斉 わかりました。僕はもう、あなたに従うことはできない。

ここで、週刊ヤングマガジン(2017年10月23日号)に掲載された、板尾創路インタビューの一部をご紹介したい。

──本作への出演を決めた理由とは?
板尾 原作が面白かったんですよ。(中略)なにより「全体的な世界観がバカ」っていうところ。男達が集まって、全員で間違った方向に、真剣に突っ走っているわけじゃないですか。それを外から見るのって、面白いですよね。「ここが」とかじゃなく、「すべてが」間違ってる。例えば井伏が、愛人同盟の連中に対して一番最初に「愛することも愛されることも禁ずる」とか言ってますよね。間違ってるじゃないですか、絶対(笑)。

開戦! 「板尾創路vs東幹久」
田斉が去った後、満島と坂田から事の顛末を聞いた井伏。どうやら以前から、井伏は江戸川のことを知っていたらしい。それどころかあの冷静な井伏が、江戸川の名前を聞いて表情を一変させたのだ。
「江戸川雷人! 忘れもしません。通称“毒蜂料理人(バズ・コック)”。その男のせいで、私の友人の一人が逝ってしまった。バズ・コックは蜂蜜のように甘い言葉で近付き、猛毒を打ちます。そして、全てを崩壊させる」(井伏)

何度も言うが、この10話から“最終章”がスタートした『フリンジマン』。今まで“高みの見物”のポジションを崩さなかった井伏が、初めて主役として進むストーリー展開を期待せずにはいられない。いわば、「板尾創路vs東幹久」である。全くタイプは違うものの、両者ともに濃いなあ……。

10話からドラマの空気感が少し変わりつつあるように感じられるので、ファンとしては驚きを禁じ得ない。あと、あまりにもストレートな板野友美のキスシーンにも衝撃を受け、思わずのけぞってしまった。嬉しくて。
(寺西ジャジューカ)

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