今季は2年ぶり8度目の日本一、戦力層は充実

 今季2年ぶり8度目の日本一に輝いたソフトバンク。その戦力層は充実した陣容となり、弱点を探すのが難しいほどだ。2008年以降のドラフト指名選手を見ると、10年間で支配下、育成合わせて計92人が指名されている。チームの核となる選手が輩出されている一方で、1軍の舞台に立つことなくチームを去った選手も多い。

 常勝軍団となり、12球団でも屈指の、能力の高い選手が揃っていることもあり、そのチームの中でチャンスを得るだけでも、ハードルの高さは相当高い。“育成上手”と言われるソフトバンクだが、ドラフト指名した選手はどれだけ成長しているだろう。過去10年のドラフト実績を見ていこう。

※は現時点でのNPBでの現役選手

○2008年
1位・巽真悟 投 近畿大 24試1勝4敗0S0H 防御率7.50
2位・立岡宗一郎 内 鎮西高 253試202安2本40点30盗 .253※巨人へ
3位・近田怜王 投 報徳学園高 1軍出場なし
4位・有馬翔 投 日南学園高 3試0勝0敗0S0H 防御率7.50
5位・攝津正 投 JR東日本東北 275試77勝45敗1S73H 防御率2.92※
6位・金無英 投 福岡レッドワーブラーズ 89試2勝2敗0S6H 防御率2.88
7位・鈴木駿也 投 山形中央高 1軍出場なし
育1位・内田好治 投 大阪産業大 1軍出場なし
育2位・二保旭 投 九州国際大付高 52試6勝1敗0S5H 防御率3.46※
育3位・柳川洋平 投 福井ミラクルエレファンツ 8試0勝0敗0S0H 防御率1.29
育4位・猪本健太郎 捕 鎮西高 16試3安0本2点 0盗 .120 ロッテ移籍後2017年に戦力外
育5位・堂上隼人 捕 香川オリーブガイナーズ 8試2安0本0点0盗.250

 2位で入団の立岡は2012年にトレードで巨人へ移籍し、現在では1軍の戦力としてプレーしている。5位の攝津は1年目からリリーフとして活躍し、先発転向後は5年連続2桁勝利をマーク。ここ2年は結果を残せておらず、復活が待たれている。

2009年は今宮、2010年は柳田と球界を代表するスター選手が入団

○2009年
1位・今宮健太 内 明豊高 851試694安41本264点56盗 .245※
2位・川原弘之 投 福岡大附大濠高 3試0勝0敗0S0H 防御率4.50※
3位・下沖勇樹 投 光星学院高 1軍出場なし
4位・中原恵司 外 亜細亜大 1軍出場なし
5位・豊福晃司 内 鳥栖高 1軍出場なし

 1位の今宮は5年連続ゴールデングラブ賞を獲得するなど、守備の名手として球界屈指の遊撃手にまで成長。ただ、この年に指名された選手で支配下契約で残っているのは今宮のみ。川原は育成契約で在籍している。

○2010年
1位・山下斐紹 捕 習志野高 37試12安0本1点0盗 打率.250※楽天へ
2位・柳田悠岐 外 広島経済大 710試754安114本400点118盗 .314※
3位・南貴樹 投 浦和学院高 1軍出場なし
4位・星野大地 投 岡山東商高 11試0勝1敗0S0H 防御率4.73 2017年戦力外
5位・坂田将人 投 祐誠高 1軍出場なし 2017年戦力外
育1位・安田圭佑 外 高知ファイティングドッグス 1軍出場なし
育2位・中原大樹 内 鹿児島城西高 1軍出場なし
育3位・伊藤大智郎 投 誉高 1軍出場なし 2017年戦力外
育4位・千賀滉大 投 蒲郡高 123試29勝14敗1S20H 防御率2.52※
育5位・牧原大成 内 城北高(熊本)116試31安0本10点6盗 .199※
育6位・甲斐拓也 捕 楊志館高 118試49安5本19点4盗 打率.230※

 4球団競合で早大・斎藤佑樹を外して山下斐紹を1位指名。だが、正捕手の座を掴めないまま、今オフに楽天へとトレードとなった。柳田はもはや説明不要。トリプルスリーも達成して球界屈指の打者へと成長を遂げた。この年は育成選手の台頭が驚異的だ。千賀はWBCに出場し、甲斐は今季、正捕手に近く活躍を見せた。

○2011年
1位・武田翔太 投 宮崎日大高 100試48勝26敗0S0H 防御率2.89※
2位・吉本祥二 投 足立学園高 1軍出場なし 2017年戦力外
3位・塚田正義 内 白鴎大 31試6安3本4点2盗 .143※
4位・白根尚貴 内 開星高 15試3安1本2点0盗 .176※DeNAへ
5位・嘉弥真新也 投 JX-ENEOS 155試5勝3敗0S20H 防御率3.41※
育1位・釜元豪 外 西陵高 3試0安0本0点0盗 打率.000※
育2位・亀澤恭平 内 香川オリーブガイナーズ 264試190安2本30点20盗 .268※中日へ
育3位・三浦翔太 投 岩手大 1軍出場なし
育4位・清水貴之 投 群馬ダイヤモンドペガサス 1軍出場なし
育5位・新崎慎弥 内 日本文理大 1軍出場なし
育6位・笹沼明広 捕 全足利クラブ 1軍出場なし
育7位・飯田一弥 捕 高知ファイティングドッグス 1軍出場なし

 ローテの一角を担う武田翔太が1位指名で入団し、5位の嘉弥真は今季、左キラーとして重要な働きを果たした。その一方で白根、亀澤はいずれも他球団に移籍。育成選手の規約により自由契約公示され、そこでそれぞれ亀澤は2015年から中日へ、白根は2016年からDeNAでプレーし、亀澤は中日の主力となっている。

2012年の東浜は今季最多勝を獲得、2013年の上林も今季急成長

○2012年
1位・東浜巨 投 亜細亜大 65試31勝16敗0S0H 防御率3.05※
2位・伊藤祐介 投 東北学院大学 1軍出場なし
3位・高田知季 内 亜細亜大学 198試79安3本23点8盗 .219※
4位・真砂勇介 外 西城陽高 9試1安1本1点0盗 .083※
5位・笠原大芽 投 福岡工大城東高 6試0勝0敗0S0H 防御率4.32※
6位・山中浩史 投 Honda熊本 71試14勝22敗0S1H 防御率4.20※ヤクルトへ
育1位・八木健史 捕 群馬ダイヤモンドペガサス 1軍出場なし
育2位・大滝勇佑 外 地球環境高 1軍出場なし
育3位・飯田優也 投 東農大北海道オホーツク 96試3勝6敗0S10H 防御率3.20※
育4位・宮崎駿 外 三重中京大 1軍出場なし

 1位の東浜はついに今季覚醒。16勝をマークして最多勝を獲得し、チームの柱の1人となった。高田、真砂、笠原、飯田は1軍でもプレーしているが、確固たる地位を掴むには至っていない。6位の山中はトレードで移籍したヤクルトで戦力となっている。

○2013年
1位・加治屋蓮 投 JR九州 4試0勝0敗0S0H 防御率8.53※
2位・森唯斗 投 三菱自動車倉敷オーシャンズ・233試15勝9敗2S83H 防御率2.98※
3位・岡本健 投 新日鐵住金かずさマジック 27試1勝0敗0S1H 防御率3.90※
4位・上林誠知 外 仙台育英高 163試126安15本58点12盗 .264※
育1位・石川柊太 投 創価大 34試8勝3敗0S1H 防御率3.29※
育2位・東方伸友 投 浜田商高 1軍出場なし 2017年戦力外
育3位・曽根海成 捕 京都国際高 2試0安0本0点0盗 打率.000※
育4位・張本優大 捕 佛教大学 1軍出場なし※

 1位の加治屋は1軍戦力にはなりきれていないが、2位の森がプロ入りから4年連続50試合登板と中継ぎに不可欠な戦力に。岡本も1軍での出場を増やしつつあり、上林は外野の定位置を奪うまでに急成長。育成1位の石川も今季、先発と中継ぎでフル回転し、上々の成果を残している年と言えるのではないだろうか。

2014年
1位・松本裕樹 投 盛岡大附高 16試2勝4敗0S0H 防御率4.85※
2位・栗原陵矢 捕 春江工高 3試0安0本0点0盗 .000※
3位・古澤勝吾 内 九州国際大付高 1軍出場なし※
4位・笠谷俊介 投 大分商高 3試0勝0敗0S1H 防御率0.00※
5位・島袋洋奨 投 中央大 2試0勝0敗0S0H 防御率0.00※
育1位・幸山一大 外 富山一高 1軍出場なし※
育2位・齋藤誠哉 投 磐田東高 1軍出場なし※
育3位・山下亜文 投 小松大谷高 1軍出場なし※
育4位・堀内汰門 捕 山村国際高 1軍出場なし※
育5位・柿木映二 投 柳川高 1軍出場なし 2017年戦力外
育6位・金子将太 外 大間々高 1軍出場なし
育7位・河野大樹 内 NOMOベースボールクラブ 1軍出場なし
育8位・中村恵吾 投 富山サンダーバーズ 1軍出場なし

 ドラフト1位の松本は今季途中に先発ローテに加わり、プロ初勝利を含む2勝をマークした。2位の栗原も1軍デビュー。来季は鶴岡が抜け、捕手の枠が1つ空くことから、ここに入る筆頭候補になるだろう。同様に左腕の笠谷も1軍デビューを果たし、非凡な能力の一端を披露した。来季以降、戦力になりそうな期待のある面々だ。

数年かけて選手を育てるホークス、2015年以降はまだ1軍戦力にはなれず

2015年
1位・高橋純平 投 県岐阜商高 1試0勝0敗0S0H 防御率12.00※
2位・小澤怜史 投 日大三島高 2試0勝0敗0S0H 防御率13.50※
3位・谷川原健太 捕 豊橋中央高 1軍出場なし※
4位・茶谷健太 内 帝京三高 2試1安0本0点0盗 .500※
5位・黒瀬健太 内 初芝橋本高 1軍出場なし※
6位・川瀬晃 内 大分商高 1軍出場なし※
育1位・野澤佑斗 投 つくば秀英高 1軍出場なし※
育2位・児玉龍也 投 神奈川大学 1軍出場なし※
育3位・樋越優一 捕 東京農業大学北海道オホーツク 1軍出場なし※
育4位・中村晨 投 ルーテル学院高 1軍出場なし※
育5位・渡辺健史 投 飯塚高 1軍出場なし※

 3球団競合の末に高橋を引き当て、この年は支配下で指名した6選手全員が高校生。長期的なスパンでの育成を念頭に置いた指名だった。高橋、小澤が1軍マウンドを経験し、茶谷も1軍デビューし初安打も放った。来季、再来季に何人かが1軍戦力になるよう育成している最中と言えるだろう。

2016年
1位・田中正義 投 創価大学 1軍出場なし※
2位・古谷優人 投 江陵高 1軍出場なし※
3位・九鬼隆平 捕 秀岳館高 1軍出場なし※
4位・三森大貴 内 青森山田高 1軍出場なし※
育1位・大本将吾 外 帝京第五高 1軍出場なし※
育2位・長谷川宙輝 投 聖徳学園高 1軍出場なし※
育3位・田城飛翔 外 八戸学院光星高 1軍出場なし※
育4位・森山孔介 内 藤沢翔陵高 1軍出場なし※
育5位・清水陸哉 外 京都国際高 1軍出場なし※
育6位・松本龍憲 内 崇徳高 1軍出場なし※

 5球団競合を引き当てて1位指名した田中正義は1年目、右肩の故障に苦しみ、2軍でもほとんど登板出来ず。2位の古谷は最速154キロを誇る左の好素材。シーズン終盤に初の1軍昇格を果たしたが、登板機会はなかった。まだ、全選手1軍出場はないが、将来性は豊かで、数年かけて育てていくことになる。

2017年
1位・吉住晴斗 投 鶴岡東高
2位・高橋礼 投 専修大
3位・増田珠 外 横浜高
4位・椎野新 投 国士舘大
5位・田浦文丸 投 秀岳館高
育1位・尾形崇斗 投 学法石川高
育2位・周東佑京 内 東農大北海道オホーツク
育3位・砂川リチャード 内 沖縄尚学高
育4位・大竹耕太郎 投 早稲田大
育5位・日暮矢麻人 外 立花学園高
育6位・渡邉雄大 投 新潟アルビレックスBC

 12球団でも屈指の戦力層を誇るソフトバンク。現在のチーム方針では、ルーキーが即1軍で起用されることはほぼなく、まずは体作りと3軍戦に出場して、2軍戦出場を目指すことになる。2軍戦でアピールして、初めて1軍が見えてくる。2013年ドラフトの上林、石川が今季になって1軍定着を果たしたように、ソフトバンクの新人は数年間、じっくりと育てられている。

 また、育成選手を数多くチームに迎え入れており、千賀や甲斐、石川といった選手が、原石から磨き上げられていったところも特徴だろう。その一方で、獲得選手が多いために表舞台に立つことなく、チームを去った選手も数多くいる。(広尾晃 / Koh Hiroo)

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】