ホームパーティーや誕生日祝いなど、ちょっと特別な日の料理は腕を振るいたいもの。とはいえ、失敗のリスクを考えると、難しい料理に挑戦するのは少し気後れしてしまいますよね。そんなときこそ、「BONIQ(ボニーク)」の出番です。

 BONIQは、湯せんの温度を一定温度にキープできる低温調理機。2017年4月にクラウドファンディングサイトでプロジェクトを開始し、11月から家電量販店など全国約50店舗でも販売されています。価格は1万9,800円(税抜)と決して安くはない調理家電ですが、本当にそれだけの価値があるのでしょうか?

 今回は、公式のレシピブログを参照しながら、「ローストビーフの玉ねぎ赤ワインソース」「蒸し撮りのねぎ生姜ソース」「赤ワイン漬けまぐろのコンフィ」の3品を作ってみました。それではさっそくBONIQの実力をチェックしていきましょう。

食材に合った温度と時間を設定するだけでOK

 BONIQは、コンロの火を使うことなく、鍋の中のお湯の温度を循環させながら一定の温度を保てるようになっています。これは「真空低温調理法」に役立つアイテムで、フランス料理のフォアグラのテリーヌに用いられる調理法なんです。

 サイズは高さ37cm×最大幅10cm×最小幅6cm、重さは1.2kg。手元で扱う調理器具としてはちょっと大きいかと思いきや、使用時は鍋のふちに固定しておけるので、サイズが気になることはありません。鍋は付属しないので、少し大きめのものを用意しましょう。

本体は37cmあるので、思ったよりも大きい。パスタ鍋くらいのサイズの鍋と使うのがベストだ
本体は37cmあるので、思ったよりも大きい。パスタ鍋くらいのサイズの鍋と使うのがベストだ
先端にモーターが入っており、鍋の中のお湯を対流させて温度を一定に保つ。食材はフリーザーパックに入れて調理するので、水気を拭き取って乾かすだけでいい
先端にモーターが入っており、鍋の中のお湯を対流させて温度を一定に保つ。食材はフリーザーパックに入れて調理するので、水気を拭き取って乾かすだけでいい

 まずは鍋にBONIQをセットし、中に水を入れましょう。このとき、お湯を入れると早く調理に取り掛かれます。BONIQを電源につなぎ、青いボタンを押したら、手元のダイヤルを回して温度を60℃、時間を90分にセットします。しばらくそのまま放置しておき、その間に肉の準備に取り掛かりましょう。

上段に現在の温度と設定温度が交互に表示され、下段にタイマー時間が表示される。タイマー終了後は自動停止せず、アラーム音で知らせてくれる
上段に現在の温度と設定温度が交互に表示され、下段にタイマー時間が表示される。タイマー終了後は自動停止せず、アラーム音で知らせてくれる

 牛もも肉ブロック250gに塩こしょうを振り、強火にかけたフライパンで、表面をしっかり焼きます。このとき、中は生焼けで構いません。焼いた肉とローリエ1枚をフリーザーバッグに入れて、空気を抜いて密封すれば準備は完了です。

焼き目を付けた牛もも肉ブロックとローリエを密封する。このとき、できるだけフリーザーパック内の空気を抜いておこう
焼き目を付けた牛もも肉ブロックとローリエを密封する。このとき、できるだけフリーザーパック内の空気を抜いておこう

 鍋のなかのお湯の温度が指定した温度になるとアラーム音が鳴るので、フリーザーパックのままお肉を鍋に入れましょう。これでスタートボタンを押せば、調理が始まります。といっても、あとは完成を待つだけ。

肉にはタンパク質が含まれ、これが50℃辺りから変化し、70℃を超えると固く縮んでしまう。55~58℃あたりがミディアムレアの状態で、肉汁と旨みが残ったままで噛んだときに歯切れの良さが感じられるそうだ
肉にはタンパク質が含まれ、これが50℃辺りから変化し、70℃を超えると固く縮んでしまう。55~58℃あたりがミディアムレアの状態で、肉汁と旨みが残ったままで噛んだときに歯切れの良さが感じられるそうだ

 その間に、生姜1編、玉ねぎ1/2個をすりおろし、砂糖大さじ1/2、赤ワイン100mlと共に小鍋で煮詰めます。水分がなくなったらしょうゆ大さじ1杯を加え、火を止めましょう。

出来上がった肉をカットしてみると、どの部分もまんべんなく加熱されていることがわかる。こうした均一な加熱は低温調理ならでは
出来上がった肉をカットしてみると、どの部分もまんべんなく加熱されていることがわかる。こうした均一な加熱は低温調理ならでは

 BONIQのアラーム音が鳴ったら肉をフリーザーパックから出し、カットします。肉の断面はきれいなピンク色! これまで、フライパンでしっかり焼いたあとにアルミホイルとタオルで包んで予熱で保温したり、お湯を張った炊飯器で保温したりして作ったことはあるのですが、熱の通り具合にムラがあったので、ここまで美しく仕上がったのは初めての経験です。フリーザーパックに溜まった肉汁もソースに加え、再度温め直せば完成。あとは、ローストビーフの上にかけていただきましょう。

ローストビーフはできるだけ薄くカットしないと硬くて食べにくいイメージだったが、多少厚みのある部分でもしっかり噛み切れて、肉汁がしっかり感じられた
ローストビーフはできるだけ薄くカットしないと硬くて食べにくいイメージだったが、多少厚みのある部分でもしっかり噛み切れて、肉汁がしっかり感じられた

 完成したローストビーフは、スーパーで買った普通の国産牛だったのですが、とにかくしっとり仕上がっており、火の通り具合はパーフェクトといってもいいぐらい。これまでの調理法でも十分おいしくできていると思っていましたが、柔らかさと肉のジューシーさ、そして手間の掛からなさはピカイチだと思います。これは他の料理も期待できますね。

日常的に食べる鶏肉の低温調理にも挑戦

 ローストビーフは少し特別な日の料理なので、もっと日常的に食べることの多い鶏肉のメニューも試してみます。今回作るのは「蒸し鶏のねぎ生姜ソース」。自宅に蒸し器がない場合は電子レンジで作ることになる蒸し鶏ですが、BONIQでどんな仕上がりになるのかが楽しみです。

 まずはBONIQを60℃、60分にセットします。続いて、皮を取り除いた鶏むね肉300gに塩こしょうをして、白ねぎの青い部分としょうがの皮、ごま油大さじ1杯と一緒にフリーザーパックに入れてよく揉みます。

今回はごま油を使ったが、オリーブオイルを使うとまた雰囲気が変わる
今回はごま油を使ったが、オリーブオイルを使うとまた雰囲気が変わる

 あとは、設定温度になった鍋に入れて60分間待ちましょう。フリーザーパックが浮いてくるときは、食器や鍋のフタなどを重石代わりにして沈めてください。

ネギが空気を含んでいるのでどうしても浮いてきてしまう。均一に加熱するためにも、できるだけ沈めるようにしよう
ネギが空気を含んでいるのでどうしても浮いてきてしまう。均一に加熱するためにも、できるだけ沈めるようにしよう

 待っている間にねぎ生姜ソースを作ります。生姜1片、白ネギ7cm程度をみじん切りにして、そこにサラダ油大さじ2杯、ごま油大さじ2杯を加え、塩こしょうで味を整えます。加熱を終えた蒸し鶏をスライスし、上からねぎ生姜ソースをかければ完成です。

胸肉とは思えないほどしっとりとした仕上がりに。今回はひと晩寝かしてから食べてみた
胸肉とは思えないほどしっとりとした仕上がりに。今回はひと晩寝かしてから食べてみた
ねぎと生姜とごま油を使っているので中華風。冷して食べても鶏肉の旨みがしっかり閉じ込められているのがわかる
ねぎと生姜とごま油を使っているので中華風。冷して食べても鶏肉の旨みがしっかり閉じ込められているのがわかる

 食べてみると、パサつきがちな鶏の胸肉がこの上なくしっとり仕上がっており、それでいて肉にしっかり味が染み込んでいることに驚かされます。コンビニのサラダチキンに似た感じもありますが、サラダチキンよりももっと肉質が柔らかいんです。

「シンプルなメニューなのに1時間もかかるのはちょっと……」と敬遠する人もいるかもしれませんが、鶏の胸肉をおいしく食べる調理法としては試す価値がありますよ。

肉だけでなく魚の低温調理にも大活躍

 手の込んだ魚料理を作る機会はなかなかないと思うのですが、簡単なのに手が込んでいるように見える魚料理も作れるのがBONIQのいいところです。今回挑戦したのは、「赤ワイン漬けまぐろのコンフィ」。そもそも自宅でコンフィを作った経験がない筆者でも、低温でじっくり加熱することの難しさは容易に想像できます。

 用意するのは、厚さ約2cmのまぐろの赤身の柵、しょうゆ大さじ1杯、火にかけてアルコールを飛ばした赤ワイン大さじ1杯。これらをフリーザーパックに入れて空気を抜いて密閉し、BONIQを46℃、30分にセットした鍋に入れます。

低温調理は時間のかかるメニューが多いが、漬け込み時間が不要で30分で完成するので意外と作りやすい
低温調理は時間のかかるメニューが多いが、漬け込み時間が不要で30分で完成するので意外と作りやすい
カットしてみると、ローストビーフのときと同様、きれいな断面が現れた。身が崩れやすいので丁寧にカットしよう
カットしてみると、ローストビーフのときと同様、きれいな断面が現れた。身が崩れやすいので丁寧にカットしよう

 完成して2cm幅にカットしたまぐろに、オリーブオイル、ハーブ、こしょう、ピンクペッパーをトッピングしたものがこちら。見た目にも華やかで、おもてなし料理としても活躍しそうです。

パッと見た感じはステーキのよう。質のよいエクストラヴァージンオリーブオイルを使えば、さらにまぐろの風味が際立つ
パッと見た感じはステーキのよう。質のよいエクストラヴァージンオリーブオイルを使えば、さらにまぐろの風味が際立つ

 肝心の味はというと、まぐろにしっかり味が入っており、スパイスやハーブが単調な味わいにアクセントを与えてくれています。まぐろの食感は、刺し身とソテーの中間のようで、とてもまったりした舌触り。パンに挟んでリッチなサンドウィッチにするのも良さそうです。

 今回作った3品は他のスタッフにも食べてもらったのですが、やはりコンフィが断トツ人気。こんなオシャレな料理が、ほとんどほったらかしでできるとは思いもしなかったそうです。

 最近では、他ブランドで並行輸入品の低温調理機も出ていますが、BONIQには1年間のメーカー補償がある点や、家電量販店で購入できる点が、大きなメリットかと思います。

 毎日の食事に使うにはやや面倒ではあるものの、BONIQがあれば家での食事が楽しくなることは間違いありません。家族や友人とのハレの日の食事をワンランクアップしたい人は必見の調理家電です!

●DATA

>>BONIQ

●著者プロフィール

取材・文/今西絢美

編集プロダクション「ゴーズ」所属。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好き。

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