’17年10月の衆院選で、希望の党との合流を巡って民進党(当時)内が割れるなか、「一人カラオケに行きたいよ。(欅坂46の)『不協和音』を歌うんだ」という発言が話題となった枝野幸男氏。その直後の民進党分裂、立憲民主党結党を予期するような歌詞に、曲自体も注目を集めた。かねてから「AKB48では竹内美宥推し」と公言するなど“アイドルオタク”な一面を併せ持つ彼に、過去のアイドル遍歴から、政治とアイドルの接点、ロスジェネ世代の政治意識まで、縦横無尽に語ってもらった。

◆リリース情報は『日刊スポーツ』でチェックしてます

――最近、SNSで「秋元康さんのおかげでハッシュタグの意味がわかった」とつぶやいていましたが、AKB48の「#好きなんだ」を聴いて知ったということですか?

枝野:その通りです。あの曲は王道のアイドルソングとして完成度が高い。もうカラオケでも歌いましたよ。AKB48と乃木坂46、欅坂46の新曲はいつもチェックしています。自宅では毎朝『日刊スポーツ』を芸能面から読むのが日課なので、自然と新曲のタイミングもわかるんです。

――新曲まで常にチェックするアイドル好きの原点はどこですか?

枝野:世代的に、テレビを家族みんなで見るのが当たり前のテレビっ子でした。歌謡番組が全盛で、『スター誕生!』にも出てみたいと思っていましたね。最初に買ってもらったレコードは山口百恵さん。あまのじゃくだったので、先に売れていた桜田淳子さんではなく山口さんが好きだったし、おニャン子クラブ全盛期にも、少し陰がある岡田有希子さんに魅力を感じていました。

――大のカラオケ好きとのことですが、野党第一党の代表として忙しいなか、いつ歌いに行くんですか?

枝野:やっぱり夜遅くになりますね。国会議員や野党クラブの記者と一緒に行くことが多くて、先週は2日連続で21時半から23時半までいったこともありました。今日も、会食の二次会でカラオケに行けそうな気がする(笑)。アイドルの曲をよく聴くのは、あくまでカラオケで歌うため。「東海林太郎から欅坂46まで」が信条ですから。紅白歌合戦しばりで歌うこともあります。以前、歴代紅白の曲を全部歌う企画にチャレンジして、確か昭和37年から平成3年くらいまでやったのかな。

◆「不協和音」発言は本当に歌いたかっただけ

――そんなカラオケ愛から、新党結党前に「一人カラオケに行って『不協和音』を歌いたい」とつぶやいたことが、大きな話題となりました。

枝野:あれは党を立ち上げる記者会見の前日で、どうしようかと一番煮詰まっていたときでした。無意識で口にしてしまったんですが、「あ、これは政治的な意味にも取れてしまう」と、すぐに気づいて。この曲が出たときは「リズムが細かすぎてついていけない、歌うのはスルーかな」と思ったけれど、歌詞を見てやはりこれも覚えなきゃいけないな、と。

――「僕には僕の正義がある」「一度妥協したら死んだも同然」だと。

枝野:そう。大きな流れに流されちゃいけないというのは、僕らの仕事そのもので、しっかりと異論を主張していくのは、自分のキャラでもある。秋元さんが私を想定して曲を作ってくれたんだな、と思うくらいぴったりとハマった(笑)。

――欅坂46の「サイレントマジョリティー」も、メッセージ性が強い歌詞ですが。

枝野:まさにあれこそ政治のメッセージです。誰も気づいていないのですが、私は演説の中に「サイレントマジョリティー」の歌詞を潜り込ませているんですよ。「声を上げないものたちは、賛成していると思われるんですよ」と。演説のなかにあっても、全く違和感がない歌詞なんです。世代を超えてみんなが知っている流行歌は、ただ消費され流されていくだけではなくて、時代を象徴しているものだと思っていて。秋元さんは、欅坂46にその役割を負わせようとしていると考えています。

【枝野幸男】
’64年、栃木県生まれ。’93年に日本新党から衆院選で初当選。’96年に民主党の結党に参加、与党時代は経済産業大臣、内閣官房長官などを歴任。’11年の東日本大震災当時は不眠不休で対応に当たった。’17年10月、民進党の解体後に立憲民主党を結党、代表に就任

取材・文/森 祐介 撮影/井上太郎
※このインタビューは1/9発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです。

AKB48の推しメン・竹内美宥のうちわを持って満面の笑みを見せる枝野氏(写真のアイドル雑誌、うちわは編集部で用意したもの)