科学技術振興機構(JST)は1月10日、卵の白身から高強度のゲル材料を開発したと発表した。押しつぶす力に耐えられる強度(圧縮強度)は、ゆで卵の白身の150倍以上。研究成果を他のタンパク質に応用すれば、体内に残留せずに一定期間後に吸収される医療用素材や、新しい食感の食べ物の開発に役立つという。

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 タンパク質から作る材料は、金属やセラミクスに代わる次世代材料として活用が進んでいるが、一般にタンパク質は微生物や細胞の培養で生産するため時間や費用がかかる。研究グループは大量生産でき、安く手に入る食品タンパク質に注目。鶏卵の白身を加熱すると、水を含んだゲルになって固まる現象(加熱ゲル化現象)を応用した新材料開発に取り組んだ。

 ゲル化した白身の強度は低く、そのままでは材料として利用できない。強度が低いのは「ゲル化した白身の構造が不均一だから」と考えた研究グループは、卵白タンパク質を一定間隔に集積させた上で加熱することで、均一な構造で強度の高いゲル材料を作った。完成した新材料は、最大34.5メガパスカル(1円玉に1000キログラムの圧力をかけている状態)の力に耐えるという。

 この強度は通常のゆで卵の白身の150倍以上。卵白から作った物質としては世界最高で、化学合成した高強度ハイドロゲル材料とも引けを取らないという。新材料は荷重をかけると17分の1の厚さへ潰れるほどの柔らかさや、微生物に分解される性質を持つことも分かった。

 研究成果は英科学誌「NPG Asia Materials」(オンライン版)に1月5日付(現地時間)で掲載された。

卵白タンパク質凝縮体ゲル