毎年10月、「カレーフェスティバル」が開催される東京・下北沢。2017年には、地元の149店が自慢のカレーを出品した。そんなカレーの街・シモキタに、昨年末(12月20日)、新しく『三日月カリィ 侍.』が登場。

 北海道・札幌発のスープカレー専門店『侍.』が、“新しいカレーのカタチ”として、昨年夏に『スパイスラーメン 点と線』を下北沢に出店したことは、以前、食楽webで紹介した。その第2弾が、今回、ご紹介する『三日月カリィ 侍.』である。今回は“ラーメン”ではなく、カレーライス。

下北沢駅西口から徒歩7分ほどの路面店。雑貨ショップのような雰囲気の店だが、中に入ると、オープンキッチンで、店内にはスパイスの香りが充満している
下北沢駅西口から徒歩7分ほどの路面店。雑貨ショップのような雰囲気の店だが、中に入ると、オープンキッチンで、店内にはスパイスの香りが充満している
オープンキッチンの前と窓際の両方にカウンター席がある
オープンキッチンの前と窓際の両方にカウンター席がある

濃厚な甘みとコクながら、重たくないカレー

「濃厚バターチキンカリィ」(1,250円)
「濃厚バターチキンカリィ」(1,250円)

 メニューは「スパイシーチキンカリィ」(1,100円)、「濃厚バターチキンカリィ」(1,250円)、「赤ワイン仕立てのラムカリィ」(1,350)円の3種類。3つともスープカレーではなく、“普通のカレー”のカタチをしている。でも、見た目だけでも色とりどりで美味しそう。そして、食べてみると“普通ではない”ことがよくわかる。

「濃厚バターチキンカリィ」は、驚くほどコクがあってまろやか。ただし、いわゆるバターをたっぷり使った“重い”タイプの濃厚さとは違って、不思議なくらい軽やか。店長の山崎将也さんに聞くと、「大豆をすりつぶしてブイヨンスープ、スパイスと合わせたことによるコク」だと教えてくれた。カレーに大豆を使うとは面白い。

「赤ワイン仕立てのラムカリィ」(1,350円)。ラム肉は口の中でとろけるほど柔らかい
「赤ワイン仕立てのラムカリィ」(1,350円)。ラム肉は口の中でとろけるほど柔らかい

「赤ワイン仕立てのラムカリィ」は、ラム肉の風味が口に広がり、こちらも濃厚なデミグラスソースのような深い味わい。こちらは、水を使わずに赤ワインとラム、たっぷりの野菜を使って、コトコトと長時間炊いて作るスープがベースだという。

 どちらのカレーもスパイスの奥に確かに野菜の甘みを感じる。よく煮込まれたお肉は口の中でとろけるほど柔らかく、トロトロ系のカレーなのに、サラっと軽く、スルスルと食べることができるのだ。

 レンコンやジャガイモ、ブロッコリーといった揚げ野菜や、人参の白ワインビネガー&マスタード漬け、ピーマンの塩昆布漬けなど、アチャール(漬物)といった様々な野菜が、こくまろカレーの楽しいアクセントになっている。

スープカレー屋が“カレーライス”を作る理由

母体のスープカレー専門店で培った“野菜の使い方”が生かされている
母体のスープカレー専門店で培った“野菜の使い方”が生かされている

 人気スープカレー店『侍.』が作るカレーライスは、やっぱり“普通ではなかった”ことがよくわかった。ところで、なぜ、スープカレー店がカレーライス店『三日月カリィ』を出店することになったのか興味が湧き、山崎さんに聞いたら、面白いエピソードを教えてくれた。

 今から10年ほど前の2007年、札幌豊平区の住宅街で、14席の小さなお店からスタートした『路地裏 侍.』。そのスープカレーの美味しさが口コミで広がり、あっという間に広い店舗に移転、また支店をどんどん増やすことになった。現在は、全国に13店舗を展開しているが、最初の札幌の小さなお店を、実は3~4年前、スープカレーではなくいわゆるとろみのある “カレーライス屋”にしたのだという。

「スープやスパイスのノウハウを生かして、ひと工夫を加えたとろみのあるカレーライスを出したんです。ただ、札幌では、外食でカレーライスを食べる習慣があまりなく、やはりスープカレー屋が好まれるんです。納得がいく『侍.』らしいカレーライスを出していたのですが、土地柄的に難しいこともあって、あえなく閉店しました」と山崎さん。

 つまり“幻のカレーライス”になってしまったのである。そこで、東京・下北沢で、そのカレーを提げて挑戦しようということになった、というわけである。

 オーナーの実家が営む北海道の畑で採れた大豆や野菜、お米などを使い、下北沢の小さなお店で1から丁寧に作る“幻のカレーライス”。東京という土地の新しいスパイスも加わっているので、ぜひその渾身のカレーライスを味わってみて欲しい。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

三日月カリィ SAMURAI.下北沢店

店名:三日月カリィ SAMURAI.下北沢店

住:東京都世田谷区北沢3-34-2
TEL:03-6407-1080
営:11:30~15:00(LO)
  17:30~22:00(LO)
休:なし

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