STI平川社長インタビュー エンジニアを育てることで商品性が上がり量販に繋がる 後篇

前編では平川社長の改革は、エンジニアを育て、商品を通じてユーザーとの絆を深く、太くしていきたいという想いを聞かせて頂いた。そうした、想いを乗せたSTIの商品群は市販され世界中に拡散さていくのだが、2018年はSTI30周年でもあり、ビジネスに関してもお話を伺ってきた。<レポート:編集部>

STI平川良夫社長にお話を伺った

■STIブランドの展開 近未来

さて、レース活動を通じてエンジニアの育成をし、ユーザーとの絆を深めていくクルマ造りの姿勢も見えてきた。こうした社長としての想いは当然、事業の成長に欠かせないものであり、2018年以降のスバルSTIはどのような事業展開をしていくのだろうか。

ーー平川
「2014年あたりから、STIのコンプリートカーは単に走りだけを追求しただけのモデルではなく、誰が乗っても、助手席に乗ってもクルマ全体の質感を感じる方向に大きくシフトしてきました。また、スバルのカーラインの中のトップエンドとしてのSTIモデルということの布石として、味付けして分かりやすくもしてきました。
 ですからスバル車にSTIモデルを追加していく開発を強烈に今、行なっています。レヴォーグSTIスポーツ、BRZのSTIスポーツは、STIとスバルがコラボレーションし、キチンと楽しさを高めた商品で、今後育てていくことに注力しています。
(年度末のインタビューのため)今、四半期の第3Q、第4Qの現状で、S208の生産だけでなく、北米向けBRZのSTIスポーツの生産もあり、合わせてWRXのタイプRAの生産を始めている段階です。スバルのカーラインは9つあってインプレッサ、XV、フォレスター、レヴォーグ、S4、B4、アウトバック、クロスオーバー7などがあって、1/3を超えるくらいのカーラインにSTIモデルを用意しています」

より高性能なコンプリートカーにも期待が膨らむ

これらの話から2018年以降、順次STIグレードが増えてくることがわかる。スバル車のトップグレードは「STIスポーツ」であり、その性能やイメージをリードするのがSTIのコンプリートカーという位置づけだ。

ーー平川
「コアなユーザーからはもう少し研ぎ澄まされた、切れ味のいいものが欲しいという声も上がってきているので、それに応えるようなモデルも用意していこうかと考えている最中です。
 SGP(スバルグローバルプラットフォーム)になって、ベースのレベルが上がりました。したがって進化の領域がもっと広げられることになるわけです。今まで以上に、期待に応えられるモデルが提供できるようになったわけですから。ぜひ、期待してほしいですね」

まさに市販車のレベルアップを約束してくれたわけで、次の10年のために、多角的な捉え方ができる思考を続けていけば優秀なエンジニアが育つという自信でもあるわけだ。さすればSTIの製品はレベルアップするし、グレードも価値観も上がる。そしてユーザーが何を期待しているのか?ということを作り手側が理解する能力は高まり、とどのつまり、ユーザーの期待により深く応えられるようになってくるという超絶技巧でもあるわけだ。

平川社長は、「そうなれば、ユーザーはSTI、スバルの製品を使うことによって、楽しさと誇りを持つことにもなるし、そうしたことをお客様にちゃんと約束できるように自分たちが成長していかないとダメだということです」と語る。

一方で、欧州への販売はいつ、どうやって広げていくのだろうか。スバルSTIは、2016年にオーストラリアでSTIモデルを複数車種導入している。また17年度から北米大陸に複数車種の供給を開始した。ただ、もう少し北米での車種を増やしていきたいという考えがあり、それから欧州へ手を付ける予定だという。

2018年度はSTIの30周年にあたる。それに向けて、STIを愛するコアなユーザーや北米のユーザーに向け、平川社長は

「30周年に向けて、そのコアなお客様をもっともっと大切にして、可能な限り双方向で絆を深めていく取り組みをやらなければならない。まだまだ17年度の第3Qなので、足元のS208をしっかりお届けすることが大事です。
 北米や国内でBRZのSTIを用意しましたので、生産をきっちりと立ち上げ、品質をきちんとしてお客様にお届けすること。そしてアメリカ向けにWRX STIのRAという、STIが作ったエンジンを搭載したモデルも生産がはじまったばかりだ。したがって、北米市場にきちんと計画通りにお届けすることが重要です。
 まずは、目の前のやるべきことをやって、お客様の期待に応えることが大事で、それから30周年に向けて、お客様との絆を太く、深めていくことをコンセプトに施策を作っていくということをしなければならないと考えています」

レヴォーグSTIにつづきBRZにもSTIグレードが追加。さらに拡大していく

インタビューで見えてきたものは、国内でのSTIグレードの充実、北米向けへの増産あたりだ。ただ、平川社長の目指す未来は、商売を繁盛させるには、開発者の多角的思考とスキルを磨くことでユーザーとの絆が深まり、そうした背景から量産に繋がるのだと言っているようにも聞こえる。平川社長の成長戦略は、エンジニアのマルチタスクと多角的思考、そして忖度、感受性を鍛えるということかもしれない。

*敬称略

STI平川社長インタビュー前編「レース活動を通じ、ユーザーとの絆を深く、太くする」
特集 2018レースカーから探るSTIの先端技術