Blizzard EntertainmentFPSOverwatch」の公式リーグOverwatch League」が,日本時間1月11日9:00から,南カリフォルニアバーバンクにある専用アリーナで開催されている。その模様は,Twitchの専用サイト開中だ。

 「Overwatch League」については,イベントとしての体系がゲームイベントというよりもプロスポーツに近いということを,筆者の連載でも紹介したが,結果として推定約20億円とも言われる「バイイン」(チーム登録費用)を行う投資が12チーム分集まったというのは驚きだ。
 これらのチームに所属するプレイヤーには,最低5万ドル(約560万円)という年給も保されており,彼らは少なくてもプロ契約を果たしている間は,プロスポーツ選手と同様に専属プレイヤーとして活動していくことになる。


 栄えあるリーグの初戦は,同じカリフォルニア州に拠点を持つSan Francisco ShockとLos Angeles Valiant突する。「Overwatch League」(以下,便宜上第1シーズン)は,4つのステージに分かれており,それぞれのステージが6週間にわたって行われる。そして,第4ステージ6週の最終日が6月16日となっており,翌日の6月17日よりプレイオフスタートする。
 すでにHPIntelリーグ運営大口スポンサーになることも発表されているが,すでに優勝賞最低でも100万ドル(約1億1200万円),そして350万ドル(約3億9000万円)の「パフォーマンスボーナス」(放映料の割り当てやグッズ販売の対価)が用意されている。

 こうして書いていくと,Overwatch LeagueにはBlizzard Entertainment以外からも驚くような資が集まっていることが分かるが,過去にここまでe-Sportsプロ化に取り組んだ組織は存在しなかっただろう。第1シーズンに参加する12チームに登録されている選手は総勢117人となり,さらにそれぞれのチームにはコーチチームマネージャーが存在する。コーチの役割りは,どちらかと言えば相手チーム情報収集や,チームメンバーや相手に合わせたメタ構築などに重点が置かれていると思われる。

 さらに,それぞれのプレイヤーはまるでサッカー野球でいうポジションのように,タンク,オフェンス,サポートというロールに専門職化されている。複数こなせるプレイヤーはフレックスと規定されているが,Seoul Dynastyのように11人のメンバーの中にフレックス選手が3人含まれているチームもあれば,まったく存在しないチームもあるなど,チームによって戦術が異なる様子。とくに,異なるサーバープレイしてきた外拠点のチームが,シーズン中にどのようなパフォーマンスを見せるのかも気にあるところである。

 特筆しておきべきことは,少なくともこれらOverwatch Leagueの選手たちは,7月までの期間,ロサンゼルス地域の北部にある衛星都市バーバンク近辺に滞在し,同に用意されたOverwatch Arenaで戦っていくということだ。つまりは,アメリカ人選手を含めるすべてのアスリートたちが,Overwatch Leagueの専属プレイヤーとなり,ほかのトーナメントにエントリーすることはない。


 彼らの中には仕事を辞めたり,休学して参加している人たちもいるだろうが,上記した5万ドルという最低補償年給が,例えばメジャーリーグプロ野球選手たちの,登録24人から漏れた一軍選手で5万3000ドル(2017年度)であることを考えると,決して安くないといえそうだ。しかも,宿泊施設も用意されている。詳しい給与については開されていないものの,ほかの地域から参加したプレイヤーの中には,それ以上の給与をもらっているスターアスリートも存在するはずだ。

 ここまで優遇しなければならないのは,ほかのトーナメントで活躍すれば,それなりの賞をもらえるプレイヤーたちを,Overwatch Leagueに引き込むためのものであるというのは疑いないだろう。
 7月まではみっちりスケジュールが組まれていて,共同生活の住まいや食費のほとんどは負担してくれるのだから,5万ドルのほとんどは使われることもなくシーズンが終了するまで手元に残りそうな気配。今回のメディアデイで行われたチームカンファレンスにおいては,将来の就学のために溜め込むという選手や,海外旅行を楽しむといった抱負をる選手たちがいたが,こうしたサクセスストーリーが見ているゲーマーを触発し,将来的にはプレイヤー人口やプロ志願者の増加につながっていくことになるのだろう。


 それでは,以下に参加12チームの基本情報を紹介しておこう。これから6か近く繰り広げられる戦をTwitchで観戦し,気になるチームプレイヤーがいるという人であれば,フォローしておくと良いかも知れない。そうしてプレイスタイルや戦術を盗み,「Overwatch」の競技プレイ立った成績を残せば,ひょっとしたら来シーズン以降の補生として,プロチームからがかかるかも知れない。



Boston Uprising

本拠地:アメリカマサチューセッツ州ボストン
所属:大西ディビジョン
オーナー:Robert Kraft氏
チームカラー//レモン
公式サイト:https://uprising.overwatchleague.com/

 オーナーKraft氏は,大手食品メーカーKraftの会長であり,NFLプロチームであるニューイングランド・ペイトリオッツオーナーでもある人物。チームは,競技プレイシーンではそれほど有名ではない若いプレイヤーで構成されており,プレシーズンではShanghai Dragonsを3-2で破るものの,New York Excelsiorには1-3で負けており,まだ不安定さが残る。


Dallas Fuel

本拠地:アメリカ・テキサス州ダラス
所属:太平洋ディビジョン
オーナーTeam EnVyUs,及びKenneth Harsh氏
チームカラー/水色/
公式サイトhttps://fuel.overwatchleague.com/

 Chipshajen選手,Mickie選手,Custa選手など,地元で活動していた「Overwatch」の競技プレイヤーを中核とするチーム。「コール オブ デューティ」などのe-Sportsで名を馳せるプロチームTeam EnVyUsが体となっている。
 Overwatch League参戦に対しては地元の油田産業で財を成したハーシュ一族から3500万ドルにも及ぶ融資を受けており,チーム名の“フューエル”も油田に由来している。


〇Florida Mayhem

本拠地:アメリカ・フロリダ州マイアミ・オーランド
所属:大西ディビジョン
オーナーMisfits
チームカラー//
公式サイトhttps://mayhem.overwatchleague.com/

 「Counter-Strike: Global Offence」「League of Legends」そして「ハースストーン」など,幅広いジャンルで専属チームを輩出するプロチームMisfitsがチームオーナーとなる。もともとMisfitsが,スウェーデンの「Overwatchプレイヤーサポートしていた流れで,メンバーにはスウェーデン選手が多く,中でも2017年11月の「Overwatch World Cup」にスウェーデン代表として参加していたTivQ選手がスター選手の1人として注されそうだ。


〇Houston Outlaws

本拠地:アメリカ・テキサス州ヒューストン
所属:大西ディビジョン
オーナーOpTic Gaming
チームカラー/グリーン/
公式サイトhttps://outlaws.overwatchleague.com/

 Coolmatt選手やJake選手など,「Overwatch World Cup」でアメリカ代表として出場した経験を持つプレイヤーが集う強チーム。「Overwatch World Cup」においては,Seoul Dynastyの中核となる韓国代表に手も足も出なかったため,シーズンを通しての対戦でどれだけ成長していくのか,アメリカファンには注している人が多い。昨年11月には,コーチに内定していたDennis Hawelka氏が事故死するという不幸があるなど,何かとドラマの多いチームになりそうだ。


London Spitfire

本拠地:イギリスロンドン
所属:大西ディビジョン
オーナーCloud9
チームカラー:水色/オレンジ/
公式サイトhttps://spitfire.overwatchleague.com/

 ロサンゼルスベースにするプロチームCloud9スポンサーとなるチームロンドンを拠点にしているが,メンバーはすべて韓国人となっており,それがファンベースの構築にどのような影をもたらすのかは気になるところ。チームメンバーGC Busanに所属していたプレイヤーが多く,ソウル地域でまとまったSeoul Dynastyライバルになることは間違いなさそうだ。現在,さまざまな年齢のファンたちも集えるバーガーショップバーを共存させた専用アリーナロンドンに建設中とのこと。


〇Los Angeles Gladiators

本拠地:アメリカカリフォルニア州ロサンゼルス
所属:太平洋ディビジョン
オーナーStan Kroenke氏 Josh Kroenke氏
チームカラー//
公式サイトhttps://gladiators.overwatchleague.com/

 イギリスプレミアリーグに所属する名門アーセナルNBAのデンバー・ナゲッツ,そしてNFLのLAラムズなどのオーナーであり,スポーツマネージメントに長けたKroenke兄弟が設立したKsE-eSportsチームとなるLos Angeles Gladiators。
 しかし,今回のリーグスタートに合わせて,7人のチームメンバーしかえられていない。「Overwatch World Cup」で決勝まで駒を進めたカナダ代表のSurefour選手の,当時のコメント「個人的には,まあまあのプレイでしたね」(Played fine, personally)は,Overwatchプレイヤーミームになりつつある。


〇Los Angeles Valiant

本拠地:アメリカカリフォルニア州ロサンゼルス
所属:太平洋ディビジョン
オーナーNoah Whinston氏
チームカラー//ゴールド
公式サイトhttps://valiant.overwatchleague.com/

 若干22歳のオーナー,Whinston氏が率いるプロチームImmortalsは,「Overwatch League」への参加を表明したことで,資不足を懸念したRiot Gamesから「League of Legends」のトーナメント出場を取り消されるといった波乱万丈のスタートとなった。18歳になったばかりのAgilities選手や,カナダ出身で19歳のVerbo選手などが集まる非常に若いチームだが,こうした面で“アンダードッグ”としてのファンの寵を受ける可性は高そうだ。


〇New York Excelsior

本拠地:アメリカニューヨークニューヨーク
所属:大西ディビジョン
オーナーJeff Wilpon氏 / Starling VC
チームカラー//
公式サイトhttps://excelsior.overwatchleague.com/

 メジャーリーグニューヨーク・メッツCOOであるWilpon氏と,ベンチャー企業Starling VCが実質的なオーナーとなるExcelsiorは,韓国チームLW Blueに所属していたプレイヤーを中心に構成されたチームだ。
 スター選手は,Overwatch World Cupでもフレックスとしての才を開させて大活躍したFl0w3R選手になるのは間違いないが,リーグの規定によって18歳を迎える5月までは参加できないのが残念なところ。ちなみに,チーム名にある“エクセルシア”(上に昇る,と言う意味のラテン語)という意味だ。


〇Philadelphia Fusion

本拠地:アメリカペンシルニアフィラルフィ
所属:大西ディビジョン
オーナーComcast
チームカラーオレンジ//
公式サイトhttps://fusion.overwatchleague.com/

 アメリカの大手メディアComcast体にする「Overwatch League」専用チーム。タンクを務める韓国人SADO選手は,銭と引き換えにほかのゲーマーアカウントを借用してレベル上げをする”ブースティング“という不法行為に携わったことで一時出場停止を受けるなど,昨年12月のプレシーズンには参加できないという,憂きにあった。そのために,チームとしてのまとまり,そして潜在には未知の部分が多い。


San Francisco Shock

本拠地:アメリカカリフォルニア州ベイエリア
所属:太平洋ディビジョン
オーナーAndy Miller,Shaquille O'Neal,Jeniffer Lopez,Marshawn Lynch各氏
チームカラーオレンジ/色/ゴールド
公式サイトhttps://shock.overwatchleague.com/

 プロバスケットサクラメント・キングの共同オーナーであるMiller氏に,スポーツ界や音楽界のスーパースターが投資する形で発足させたNRG Esports18歳誕生日を迎える3月まではプレイできないsinatraa選手には,おそらくリーグ最高給になる15万ドルの年給が支払われると報じるメディアもある。


Seoul Dynasty

本拠地:韓国ソウル
所属:太平洋ディビジョン
オーナー:KSV eSports / Nighthawk Progaming
チームカラー/ゴールド/
公式サイトhttps://www.facebook.com/SeoulDynasty/

 チームリーダーryujehong選手やZUNBA選手など,「Overwatch World Cup」には韓国代表として参戦したプレイヤーを含め,アジア太平洋地域最強と謳われたLunatic-Haiメンバーを中核にするチーム。プレシーズンでも3試合すべてに勝利したチームSeoul Dynastyだけだ。その実と下評の高さで優勝補の筆頭であるのは間違いなく,このチームから1勝を得るために,ほかのチームがどのような戦術を練ってくるのかが楽しみなところ。


〇Shanghai Dragons

本拠地:中国上海
所属:太平洋ディビジョン
オーナーNetEase
チームカラー//
公式サイトhttps://weibo.com/ShanghaiDragons

 中国の大手ゲームブリッシャとしても知られるNetEaseがオーナーとなるために,おそらく中国内の最強選手が集められたと思われるShanghai Dragons。しかし,際大会での成績はパッとしないうえ,プレシーズンでも期待どおりの成果を残せず,少し不安定な状況にある。最近ではコーチが辞職しており,これから半年以上に渡る慣れないアメリカでの生活も,少なからず影を与えていくと思われる。

リンク「Overwatch League」公式サイト


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