借金、好きな人いますか?

新年早々、バカなこと聞くなと言われそうです。借金は致し方なくするもので、できるだけ借りたくない、できるだけ早く返したいとご相談に来る方がほとんど。

特に住宅ローンのような大きな金額の借入となると、借入額を減らすために貯蓄のほとんどを頭金に充てたい、借入残高を減らすために繰上返済をしたいと考える方がたくさんいます。ですが私は、借金とは言っても住宅ローンだけはどんどん利用しましょうと言いたいくらい大好きです。
○住宅ローンを利用すべき理由その1

ズバリ、金利が低いということ。金利とは文字通り、お金の利用料のことで利息とか利子ともいいます。「借り賃」といった方がピンとくるかもしれません。通常、1年借りた場合の借入残高に対する割合で表示されます(例えば1%の金利で借り入れて3,000万円の借入残高がある場合、1年間の利息が30万円ということ)。

2017年12月現在の変動金利の利率は2.475%。過去に9%近くまで高かったことがあると考えると、現在の金利が破格の低さであることが際立ってくるかと思います。金利は金融機関によって異なりますが、変動金利の利率が0.477%、35年固定金利が0.74%という金融機関もあります。

金利が破格だとしても借金は借金……なぜ借りるべきなのか、と突っ込まれそうです。答えは簡単。手元に現金を置いておくべきだからです。緊急時に現金が足りない、子供の学費が足りないといったような場合にいざ借りようとなると、カードローンや教育ローンを利用することになります。

公的教育ローンの金利は2018年1月現在1.76%。住宅ローンの金利にもよりますが、貯蓄のほとんどを頭金につぎ込んで手元の資金がなくなり、高い金利で借り入れることになったり、奨学金を利用して子供が返済に苦しんだりしている家庭が多いのも事実です。特に子供が自立するまでは現金を手元に置いて教育費の心配をなくしてほしいと考えています。

○住宅ローンを利用すべき理由その2

以前に源泉徴収票の見方に関する記事で所得税の控除についてご説明しましたが、住宅ローンを契約すると税額控除の一つである住宅借入金等特別控除(以下住宅ローン控除)を適用することができます。

実際に住んでいること、などの要件を満たすと、借入から10年間、毎年末の借入残高の1%相当額が所得税から差し引かれます。差し引かれる金額の上限は一般住宅の場合で40万円。そんなに所得税払っていませんが……という場合には住民税からも差し引くことができます。つまり、借入額が多いほど税金が減るということです(上限はありますが)。

また、借入残高の1%相当額分の税金が減ることを考えると、住宅ローン控除が適用される借入からの10年間は借入残高を減らすべきではありません。つまり、繰上返済すべきではないでしょう。特に借入金利が1%未満の場合、単純計算でも1%との差の分だけ手元に残るということです。よく分からないまま投資に手を出すよりもずっと確実に手元資金を増やすことができます。

○住宅ローンを利用すべき理由その3

住宅ローンを契約するときに一緒に契約するのが団体信用生命保険。最近では大きな病気に対する保障のある団体信用生命保険もありますが、共通するのは契約者が万が一亡くなった場合には借入残高がどれだけ残っていようと0円になるということ。万が一の場合には、家をまるごと資産として家族に残すことができます。もちろん、残された家族がローンを支払い続ける必要はありません。家賃のような毎月の出費がなく、しかも住み慣れた家に住み続けられるというのは、本当に安心なことです。

極端な話ではありますが、例えば500万円の繰上返済をした翌日に亡くなった場合、返さなくてもよかった500万円を返してしまったということになります。家が、残された家族のものになることは変わりなくても、手元の資金が減ってしまいます。住宅ローンは生命保険代わりになることを考えても、やはり繰上返済はあまりおすすめできません。でも、どうしても借金に抵抗があり早く返したいと思う場合は、繰上返済をするのはせめてお子様の教育費の支払いを終えてからにしてはいかがでしょうか。

住宅ローンを契約できる方は、社会的な信頼のある方だけです。「借金」とひとくくりにして敬遠するのではなく、権利だと考えてうまく利用してみてください。とはいえ、この話は低金利の今だからこその話。高い金利で借りている方には当てはまらないのでご注意くださいね。

○国分さやか

お金の教室 おさいふほんわか心もほんわか 代表
創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。"得をする方法を知りたい!"という一般生活者が多いものの、実は金融知識の不足から損をしている場面、しかも損をしていることにすら気付かない場面があまりに多い現実に問題意識を抱く。これを解消することを決意し、金融教育に携わる仕事を希望してFPの資格を取得。金融資産が増やすことだけでなく、幸福度数も増えることを大切にしている。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義などで活動中。

2013年
・第4回日本一のマネー講師決定戦E1グランプリにてグランプリ受賞
・第4回FP向上のための小論文コンクールにて奨励賞受賞
2014年
・三省堂より初めての出版(その後、学研出版等より計5冊の出版)
・日本FP協会電話相談員
・資格の学校TAC専任講師
2015年
・NHKラジオ「午後のまりやーじゅ」「ごごラジ!」お金のコーナー担当
2016年
・日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター

<保有資格>:CFP、FP技能士1級、相続アドバイザー2級、小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種
(国分さやか)

画像提供:マイナビニュース