008716.jpg

2018年1月10日)に、東京・新国立劇場 中劇場にて『近心中物語』が開幕した。本作は、作を手掛けた秋元代が、近門左衛門による世話物の中から三篇を選び、秋元独自の物語性を盛り込みながら再構成したもの。蜷幸雄演出で1979年に初演されて以来、古典題材を扱いながらも、歌舞伎でも浄瑠璃でもない、現代劇でありながらも新劇とはまったく異なるものとして、注を集めてきた。蜷も常に冒険的な創作に挑み続けてきた本作の演出に、今回は劇団☆新感線いのうえひでのりが挑む。

中心となるのは、対的な男女二組の究極のに打たれたようにに落ちる忠兵衛を演じるのは、堤真一宮沢りえ。人間の等身大の悲しみや苦悩を背負った与兵衛とおを、池田成志と小池栄子が務める。このほか、市川弥、立石子、小野らが集った。

『近松心中物語』舞台写真_2

あらすじ
時は元大坂新町と言えば、一夜の悦楽を追いめる男たちが集まる廓がある。
具商屋の婿養子・与兵衛池田)が、折り合いの悪いお今()に追い出され、ある廓に身を沈めていた。もともと気弱で、うだつのあがらない亭だが、女房のお小池)にとっては、所帯を持ってもなお、い焦がれる相手。行方知らずのダメ亭を案じ悲しむを見かねて、お今が自ら与兵衛を連れ戻しに新町にやってくる。「二度とこの男を廓に近づけないでくれ」と周囲に念押ししながら、連れ戻される与兵衛

そんな与兵衛とは対照的に、廓に縁のなかった飛脚屋屋の養子忠兵衛)は、店の丁稚が拾った封書に一分のが入っていたため、親切心から、その差出人の槌屋三郎小野)を訪ねて新町に足を踏み入れてしまう。そこで偶然出会った飛脚仲間の八右衛門(市川)の強い誘いも振り切り、店を立ち去ろうとする忠兵衛。だがその時、店には、出先から戻って来た遊女宮沢)が・・・!
何かに打たれたように、立ちすくみ言で見つめ合う二人。その間から、忠兵衛は憑りつかれたようにを追いめ、店の中へと消えて行く。
兵衛、与兵衛とお男女二組の運命は・・・?あてのない逃避行へと向かう二組の男女の情念の行く末は―?

『近松心中物語』舞台写真_3

開幕にあたり、演出のいのうえ、出演者を代表して宮沢からコメントが届いている。

いのうえひでのり(演出)
いのうえは、あの“近”をどう見せてくれるのか・・・」という皆さんからの言のプレッシャーをヒシヒシと感じながら、日々稽古に臨んできました。何と言っても『近心中物語』は、まさに「蜷スペクタクル演出」の頂であり、「蜷歌舞伎」とも言える様式美がありました。そこはあえて抵抗せず、リスペクトしながら、なりの形で継承したいと考えています。物語軸は、二組のカップルが心中へと向かうまでのシンプルストレートな話。
とてもスピーディな展開に笑いもあります。それを気心の知れたくんやりえちゃんたちと一緒に、たちのリズムとやり方で、新しい『近心中物語』が作れたのではないか、と思っています。

『近松心中物語』舞台写真_4

堤真一屋忠兵衛役)
を貫くために死を選ぶ」という決断が、現代のお客様に果たして納得していただけるのか・・・。それが稽古前に考えていた課題でした。物語自体もシンプルで、出会ってすぐにに落ちて、身請けのためにに手を付けて、心中へと突き進むという三段跳び的な唐突感もある展開(笑)。もちろん、りえちゃんが美しいので、一惚れの設定には一番説得がありますが(笑)。忠兵衛の心情面では、自身の中でロジックをきちんと持って、忠兵衛の心の動きに真実味をしっかりと見せられるよう心がけて稽古を積み重ねてきました。いよいよ開幕です。いのうえさんと信頼できるメンバーたちと創る現代演劇としての『近心中物語』を皆さんにお見せしたいですね。

宮沢りえ(遊女役)
(作)秋元代さんの台詞はとても綺麗でストレートいのうえさん演出の独特の“魅せる”表現の仕方もあり、稽古に入る前までは、実は少し、気恥ずかしさも感じていたんです。これを自分のものにするには、相当のパワーが必要だと覚悟していました。でも、稽古を重ね、さんたちと台詞を重ねていくうちに、これは人生の中で、心から血を流しながらも清らかなのように出てくる言葉なのだと、自然に腑に落ちてきました。忠兵衛純愛を、私たちの演技で感じてもらえるようにしたいですね。また、最初に創られた蜷さんをリスペクトしながら、私たち全員が同じ熱量で新しい物語を成立させれば、お客様の記憶に深く刻まれる作品にできる、と思っています。

シス・カンパニー演『近心中物語』は、2月18日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて上演。

公式HPhttps://www.chikamatsu-stage.com/

『近松心中物語』舞台写真_5

(撮影/宮川舞子

008716.jpg