イエス・キリストの聖誕祭であるクリスマスは12月25日であるが、一部のキリスト教圏では新年を迎えた1月6日に、東方の三博士がイエスを訪問したことを記念する「公現祭(エピファニー)」が祝われる。フランスの有名なお菓子であるガレット・デ・ロワが食べられるのも、この公現祭の日だ。また、スペイン語圏やポルトガル語圏、イタリアでは、公現祭の日に子どもたちにプレゼントを与える習慣もあるが、ポルトガルのある村では、子どもたちに与えてはいけないあるものを与える奇妙な風習が残っているという。


■5歳児に喫煙させる異教の儀式

 英紙「Daily Mail」(7日付)によると、ポルトガルの村ヴァーレ・デ・サルゲイロでは公現祭の2日間にわたって、焚き火を囲んでのダンスやバグパイプの演奏、「王」に選ばれた村民が大量のワインとお菓子を村人に振舞うという催しの他に、目も疑うような伝統が実践されているという。なんと、親が年端も行かぬ子どもたちに「タバコ」を与え、喫煙を奨励しているというのだ! ポルトガルでは18歳以下のタバコの購入は禁じられているが、親が子どもにタバコを与えることに関しては何ら法的な拘束がなく、公現祭の日には下は5歳からゆらゆらとタバコをくゆらせている光景が広がっているというから驚きだ。

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 地元住民らによると、公現祭における喫煙の習慣は数百年も続く伝統であり、キリストの出現を祝うものとのことだが、誰もどのような経緯でこのような伝統が始まったかは分からないという。地元でコーヒーショップを経営する35歳のギリェルミーナ・マテウスさんも、村の伝統として公現祭の日には自身の娘にタバコを与えているという。

「この伝統については説明できませんが、子どもたちに害はないと思います。だって、子どもたちはちゃんとタバコを吸ってるわけじゃないんですよ。煙を吸って、すぐに吐き出しているだけなんです。それに子どもたちがタバコを吸えるのは今日と明日の2日間だけですし、それ以降はタバコを欲しがることもありませんよ」(マテウスさん)

 ヴァーレ・デ・サルゲイロの祭りについて研究書を出版しているホセ・リベイリーニャ氏も、この喫煙の伝統のルーツは正確には分からないというが、おそらく自然や生命の再生を祝福するためのものだったのではないかと分析している。また、同村が位置する地域はキリスト教以前の異教徒の時代の伝統を多く残しているといわれており、ローマ帝国時代から、冬至の頃になると村人らは支配者らの目を盗んで異教の習慣を自由に行っていたそうだ。また、ヴァーレ・デ・サルゲイロが首都リスボンから450kmも離れた「忘れられた場所」にあることも、このような伝統が生き残った原因であるという。

 古典ギリシア語で気息を意味する「プネウマ」は、他に聖霊や霊魂といった意味もある。北米インディアンの間では、タバコは占いや魔除けといった宗教的儀式に使われていたといわれており、これを持ち帰ったヨーロッパ人が古代ギリシア以来の思想とタバコの魔術的力をミックスしたことで、公現祭の伝統として残ったのかもしれない。

 とはいえ、世界各地からは、いくら伝統でも子どもたちに喫煙させるなぞ言語道断との非難が噴出している。ローマ支配下では、隠れて行っていたために生き延びた伝統が、こうして世界中に知られたことでいずれ幕を閉じるかもしれない。やはり異教の儀式は隠れて行わなければならないようだ。
(編集部)


※イメージ画像は、「Thinkstock」より

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