アニメ『ポプテピピック』が、ニコニコ動画では2日足らずで万再生どころかあっという間に二万再生え。
これはニコニコ動画史上ダントツ1位さだ。
けれどもほとんどの視聴者は、傑作とは言わず、口をそろえて「クソアニメ」と答えるはずだ。

前代未聞の24分、様々な元ネタを持つパロディ満載
大川ぶくぶ原作の『ポプテピピック』は、ポプ子ピピ美という2人のキャラが織りなす、不条理マンガ
と言っても吉田戦車榎本俊二吾妻ひでおなどと異なり、アニメ・ゲームパロディが非常に多く、かつ2ちゃんねる的なオタクサブカル文化への明確な煽りも含んでいる。
ナンセンスしきっているわけではない、独特な構造だ。
出版元の竹書房公式で「クソマンガ」と呼称。たくさんのファンに、をもってけなされ続けてきた。

アニメ序盤はこの「クソマンガ」っぽいギャグを、パロディ混じりでいい具合に見せる構成。
ただし、事前告知で報じられていた声優が出てこない。
本来はポプ子役が小松未可子ピピ美役が上坂すみれ
蓋を開けてみるとポプ子江原正士ピピ美大塚芳忠という、ダンディすぎる声優に。
ここは原作者が希望していたネタなので、ファンも納得のサプライズだった。

一番の問題は中盤から。
30アニメ自体は24分弱)のアニメであるにもかかわらず、半分の時点でエンディングが流れ始める。
そのあと、二周が始まった。
声優は、ポプ子三ツ矢雄二ピピ美日高のり子(高ははしご高)という、『タッチ』のコンビ
アニメはというと、一周全にそのまま。
30で同じアニメを二回放送したのだ。ファンいわく「声優リセマラ」。

動画SNSの感想による「バズらせ」特化の試み
さすがにこれには、ネット各所で賛否両論
確かに新ではある。
けれども「アニメ作品としてプラスなのか」と言われると、悩ましい。少なくとも傑作とは言いがたい。映像技術における実験的作品、というわけでもない。
的に言われ続けてきた「クソマンガ」に対しての「クソアニメ」という褒め言葉には、ぴったりだ。
これによって『ポプテピピック』はWebで、今期トップレベルで話題になることに成功した。

賢い作品だ。
ナンセンスじゃない。ネットバズらせるための仕組みがあちこちに練り込まれ、よく計算されている。
アニメ本編がどんなに面かろうと、吹き替えがどれだけ巧みだろうと、強制的に二周を見せられたら、さすがに同じくらいの感動は起きない。
この体験を、かに言いたくなってしまう。フラストレーションは、SNSニコニコ動画コメントに吐き出される。
「なんでだよ」「ふざけるな」「クソアニメ」と言いたくて仕方なくなる。
褒め言葉も文句も、ネットにあがればその時点で立な宣伝。
何より「一回でこんなひどい(褒めとけなし半々)ことをしたからには、二回どうするんだろう」という引きができている。

加えて、エンディングテーマをかつて発表していた人ではなく、赤羽根健治武内駿輔が歌う、という飛び道具を撃ってきた。
これにはアイマスファンは、度肝を抜かれた。
赤羽根健治は『アイドルマスター』のプロデューサー役。武内駿輔は『アイドルマスターシンデレラガールズ』のプロデューサー役。
こんなところで初共演させられてしまったのだ。これには赤羽根健治本人も驚いたとTwitterで言っている。

作中のワンコーナーを「SUSHI食べたい」のMVでおなじみのAC部が作るという、これまたネットユーザーツボを突くネタをぶっこんできた。
AC部の絵柄とアニメーションは、極端にクセが強い。
AC部が作った時点で『ポプテピピック』じゃなくて「AC部」なのだ。
作品を作る上では、かなりずるい。
かしこれも、ニコニココメントではしく賛否出ており、狙いは大成功している。

WEB配信にもものすごくを入れており、あらゆる配信サイトを網羅しているのはもちろん、ニコニコ動画AbemaTVなどSNS形式のところではきっちり地上波同時配信している。
これなら、日本中の人間がネタバレどうこう言わずに済む。

クソアニメ」という褒め言葉
本作を『ウゴウゴルーガ』と較するも見られた。
雰囲気は似ているが、計算して整理された作りは、『ウゴウゴルーガ』の鬼才が集まってバブリーに好き勝手やった実験的なノリとはちょっと違う。

おそ松さん』のナンセンスさとべるもあがっていた。一期二期の第一話のパロディてんこもりメタネタ盛り合わせナンセンススタイルは、とても似ている。
しかし『おそ松さん本編が持つ、「人間うまくいかないことばっかりでやりきれけど、これでいいのだ」という赤塚不二夫ブルースのような頑丈な軸は、今のところ『ポプテピピック』にはない。
むしろ人生論は意識的に排除している。

おそらく2話こそが本番だろう。
原作が持つ狂気的なスピード感を、今後どういう手法で再現するか。
どこまでネットバズらせる仕掛けを用意するか。
がんばるぞい」は使えるのか。

ある程度しっかりした理念がないと、作るのがめちゃくちゃに難しい作品なのだ。
クソアニメ」という保身に走ることなく、「全クソアニメ」と褒められる作品になってほしい。

たまごまご)

大川ぶくぶ『ポプテピピック』不条理ナンセンスマンガであり、二次創作的パロディ・メタネタの文法を踏まえた作品。LINEスタンプはとんでもなく売れているそうだ