キャリコネ

 製紙業界は、ここ数年、荒波にもまれている。

 成熟産業となっており、将来の大幅な成長は期待できなかったが、一方で需要には底堅さがあり、もっとも安定した業界の一つと見られていた。

 ところが3年前、リーマンショックのあおりを受けて需要は大幅に低迷。さらに昨年の東日本大震災によって、東北地方を多くの工場を置いている業界全体が大打撃を受けた。いま、再建に懸命だ。

 将来への不安もあるのだろう。海外進出も積極的に進めている。

 そうしたなか、中国では王子製紙の工場排水用のパイプライン建設計画をめぐり、1万人を超すデモが起きた。

 治安部隊との衝突で数十人の負傷者が出ている。厳しい状況の一方で、デモの矛先が地元政府に向けら、工場への直接のデモはないこと
もあり、会社側は比較的冷静だ。

 とかく「ぬるま湯」というイメージの強いこの製紙業界。そこで働いている社員たちの本音は、どんなものなのか。キャリコネに寄せられた口コミを見てみると、驚くべき発見があった。見事なまでに、このイメージ通りの声にあふれているからだ。



給与も良く居心地の良い“楽勝”な会社

 業界の2強は、日本製紙と王子製紙だ。まずは日本製紙の社員の口コミから見てみよう。

 報酬の額や査定制度について、

 「仕事の内容からすれば、妥当もしくはそれ以上と言える。社宅が完備され、会社が住居費の一部を肩代わりしてくれる形であるのが大きいです。査定制度の運用状況については、少なくとも私個人は不当な査定をされたことは一度もありません」

 と言うのは、製造部門の30代後半の男性社員だ。年収は750万円だと言う。営業を担当していた20代後半の元社員の男性も、職場環境をこう振り返っている。

 「人間関係がすごく良かったと思う。今は別の会社に転職したが、外から日本製紙の人間を思い返すと、みんなある程度『余裕』があるというか、いわゆる『イイ人』という印象」

 この元男性社員によれば、「良い意味でも悪い意味でも争いがないのが特徴」だそうで、心地よい職場だったと振り返っている。

 一方の、王子製紙は、どうだろか。こちらも似ている。

 「報酬については文句はありません」

 と言い切るのは、30代前半の研究開発の男性社員だ。年収780万円というから、確かに高水準だろう。

 しかも、仕事で工場を定期的に見回ると、そこで働いている人よりも、「自分の報酬が少ないことが多い」というから、工場労働者のようなブルーカラーに対してもかなり手厚い会社だと想像できる。

 派遣社員として働く30代前半の女性も、こう言っている。

 「年功序列の昔堅気な社風で、しっかりまとまっていて真面目。残業もあまりなく、お役所のような雰囲気」

 そうであれば、なんとも「楽勝」な会社だ。



業界3位以下の会社でも体質は変わらず

 こうした意見が、必ずしも業界トップの2社に限らない。3番手以下の会社でも、こんな感じなのだ。

 「会社の順法精神は高く、非常に好ましい」

 と言うのは、三菱製紙の資材部門の男性社員(48)だ。年収は1100万円と恵まれている。研究開発の男性(33)もこう言う。

 「比較的、従業員の労働環境としては良い方ではないでしょうか」

 こちらも年収は695万円だから厚遇だ。

 板紙・段ボールメーカーのレンゴーもすごい。20代後半の法人営業の男性社員は、こう断言している。

 「これは逆にこの会社を評価するべき点であると思うが、基本的に人を切るということをしない。裏を返せば、もっと従業員を削減できる余地があるのではないかと思われる」

 請負として働いていたらしい30代後半の女性も、絶賛している。

 「みなさん礼儀正しい人が多いです。あとびっくりするほど社内綺麗好きです。デスクにものを置かないで帰宅するよう徹底されています。残業もなるだけしないようにと、新しい雰囲気の発展的な会社だと思う」

 考えてみて欲しい。ここは、デスクに物を置かなくてもすむほど、仕事が楽で、ヒマなのだ。しかし、給与はしっかりしている、ということかもしれない。

 なんと素晴らしい業界だろうか。製紙業界という、世間からはさほど注目されない場所に、こんなにひっそりと、天国のような職場が隠れていたのだ。


【製紙の内需と輸入のグラフ】

 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年6月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。

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