小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれたライトノベルが原作のテレビアニメ「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」で、主人公のサトゥーの声優を務める堀江瞬さん。昨年放送されたテレビアニメ「ナナマル サンバツ」で初主演を務め、「十二大戦」「アイドルマスター SideM」などに出演するなど大活躍中の若手声優だ。声が「コンプレックスだった」といい、親に反対されながらも声優を目指したという堀江さんに「デスマーチ(過酷な労働状況)でした」という声優を目指す日々や、アニメ「デスマーチ」について聞いた。

 ◇コンプレックスだった声を武器に

 活躍中の堀江さんだが、声優になるまでの道のりは平たんではなかった。「中学生の時に自分の声をからかわれたことがあり、自分の声を意識するようになった。でも、声がコンプレックスだったので、嫌いだったんです。高校生の時、進路を選択することになり、このままでいいのかな? 何かチャレンジしたい!と思い、コンプレックスだった声を武器にできないか?と考えました。それで、声優があるじゃないか!と。でも、親に反対されたんです」と話す。

 高校卒業後、大学に進学し、親には秘密で声優養成所に通った。秘密だったこともあり、大学に通い、アルバイトをしながら、自ら受講料を支払った。堀江さんは当時を「執念でやっていました。あの頃が僕のデスマーチですね(笑い)」と振り返る。声優になったことを親に報告したのは、堀江さんが演じたキャラクターのキャラクターソングのCDが発売された時だった。「事後報告でした。『自分で責任とれるなら、やっていいよ』と許しを得ることができたんです。今となっては『今度、あのアニメに出るんですよね?』などと連絡があったり、応援してくれています」とうれしそうに語る。

 現在は、活躍中だが「吹き替えもやりたいですし、朗読、舞台にも挑戦したい。いろいろな場を経験して、表現力をつけていきたいです。やりたいことを挙げればきりがないですね」とさらに活動の幅を広げようとしているようだ。

 ◇一人二役のように切り替える

 アニメ「デスマーチ」は、愛七ひろさん作、shriさんイラストのライトノベルが原作。プログラマーのサトゥーこと鈴木一郎が、異世界に迷い込み、冒険することになる……というストーリー。堀江さんがライトノベル原作のアニメで主人公を演じるのは初めてで、「『キノの旅』でラノベにハマり、ラノベを読んできました。主人公を演じるのは、たくさんあるやりたいことの一つです」と喜ぶ。

 堀江さんが演じるサトゥーは、現実世界で29歳のプログラマーの鈴木一郎がゲームのような異世界で目覚めると、15歳くらいのサトゥーになっていたという設定。堀江さんは少し声が低い鈴木一郎、少年のような声のサトゥーの両方を演じている。鈴木一郎のモノローグの後、サトゥーがしゃべるシーンもあり、「一人の役だけど二役なようなところもあります。大人の声でしゃべったと思ったら子供の声になる。流れを大事にしたいので、なるべく止めずに収録したいと思っています。大変です。特に第1話は、せりふの量も多く、大変でした」と苦労も多いという。

 堀江さんは、少年のような高い声のイメージもあるが、「普段は声が高いので、これまで大人っぽい声でガッツリやることはあまりなかった。でも、地声で歌うと低い声になるんです。地声は本来、高くないのかな? 低い声が出しにくいわけではないのですが、切り替えが難しいんです。29歳を演じるのは、疲弊した雰囲気が難しいですね」と明かす。

 ◇“普通の29歳”であることを意識

 演じる中で意識しているのは、鈴木一郎が「現実世界ではごくごく普通の29歳」であることだ。「現実世界ではごくごく普通の29歳。一般社会で教養を身につけているから、異世界でも物事を俯瞰(ふかん)して見ることができる。中身は29歳なので、そこを大事にしようとしています。そこがブレると鈴木一郎とサトゥーが同じ人ではなくなってしまうので」と話す。

 堀江さんは“座長”でもある。「座長だからこうしなきゃ!と考えないようにしています。自分が楽しめば、一丸となって楽しもう!という雰囲気になると思っています。若いキャストも多く、引っ張ろう!というより、楽しんで頑張ろう!となれば」と考えているという。

 「デスマーチ」の見どころを「バトルは迫力がすごいけど、異世界でとことん観光しているのが魅力的。異世界に迷い込んで何がしたいかというと、冒険もしたいけど、グルメも楽しみたい。そんな妄想が詰め込まれています。いくつも楽しみがあります」と語る堀江さん。難役に挑戦した堀江さんの演技も含めてさまざまな楽しみ方ができそうだ。

テレビアニメ「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」で主人公・サトゥーの声優を務める堀江瞬さん