建築の専門雑誌『建築知識』が、発売中の2018年1月号でまたまた猫特集を組んでいます。待ってました!

【画像】猫チャート

 同誌は2017年1月号でも猫を特集。品切れが続出し、その後『猫のための家づくり』として書籍化もされました。今回の特集号はそれに続く猫特集の第2弾。

 もくじに目を通すと第1章「部位別で分かる猫の長生き住まい」、2章「細部までこだわる猫の長生き住まい」と、丸二章に渡って猫ちゃんにとっての快適な家について解説。猫の長寿のために必要な環境づくり、猫にも人にもやさしい家具の紹介など、建築専門誌ならではの項目が並びます。

 続く第3章は「毎日できる猫の健康管理と防災」となっており、こちらでは猫の健康チェックのハウツーなどを掲載。猫とのふれあいの中で自然に病気のケアや予防ができるよう、手厚いサポートをしてくれます。

 またしても愛猫家にとって1家に1冊な雑誌に仕上がったわけですが、なぜ2年連続で全力の猫特集を組んでくれたのでしょうか。『建築知識』編集長・三輪浩之さんに特集の意図を語ってもらいました。

●猫のやる気スイッチを押す

――2度目の猫特集ですが、やはり前回は反響が大きかったですか。

編集長:各所で話題にしていただいたこともあり、2017年1月号「猫のための家づくり」は4万部を完売することができました。企画にご賛同いただいた読者のみなさまに本当に感謝申し上げます。

 猫が通り抜けられる穴の大きさや、2匹の猫がすれちがうことができるキャットウォークの幅など、細かな数値を誌面に出したことに評価をいただけたと考えております。大幅加筆して書籍化した建築知識特別編集版『猫のための家づくり』も順調に版を重ねております。

――なぜまた猫を特集しようと思ったのですか?

編集長:前回の特集では、猫の完全室内飼いが定着しているにもかかわらず、多くの家が猫対応になっていない住宅事情をふまえて、猫ファーストな家のつくりかたを紹介させていただきました。今回の特集は猫ファーストをさらにパワーアップさせるべく、猫が健康で長生きする家をテーマにしました。

 平均15歳程度と言われる家猫の寿命をさらに5歳のばす、それを健康な状態で実現するために「家=建築ができることは何か」を考えた特集です。

――特集を重ねることで新たに見えてきたことはありますか。

編集長:猫は家族の一員であり、人間が猫の健康・長寿のために安全・安心な環境を用意するのは当然です。しかし企画を進めていくうちに、その安心・安全な環境が猫にとって実は心地よいものではなく、退屈な世界であることが分かってきました。

 適度な刺激を得られず、やる気も芽生えないような生活では、不健康になるばかりでなく、粗相などの問題行動も増えるようなのです。これは飼い主である家族にとっても喜ばしくありません。

 猫に長生きしてもらうためには、猫が頑張る気持ちや好奇心を持ち続けてもらわないといけないのです。そこで誌面では猫が日々楽しみながら頑張れる、刺激を得られる建築的な仕組みを多数紹介することにしました。つまり猫にも家族の一員として「おまえも頑張れ」というわけです。

――なるほど、猫の気持ちをそんな視点で考えたことはありませんでした。

編集長:猫の「やる気スイッチ」を押すことができれば、ストレスの発散、健康の維持ができ、結果、長寿につながるという考え方は、「環境エンリッチメント」という理論にもとづくものです。これは日本では動物園などで行われているもので、なるべく野生に近い環境を用意してあげることで動物たちのストレスを軽減し、問題行動も予防するという取り組みです。

 室内で暮らす猫は、行動範囲に制限があるものの、安全を保障され、毎日満足できる量の食事を定時にもらえます。人と暮らす猫なら当たり前に受けている恩恵です。でも、野生にそんな環境はありえません。

 そこで誌面では、「キャットステップを可動式にして、時に高さを変えてみる」「通風孔をあえて猫の居場所付近に設けて外部の臭いをかがせてみる」「脱走防止をほどこしたバルコニーで外を感じさせる」……など、単調な日常に刺激を与えるための工夫を多数掲載しています。より自然な環境に近づくように、樹木のかたちをそのまま生かしてキャットタワーをつくった事例も載っています。

――日常のちょっとした変化が、猫にとっても良い刺激になるんですね。

編集長:ちなみに、いつもは一定量まとめて与えている食事を、たまに小分けにして手渡しで与えるだけでも、猫にとっては刺激的な生活になるようです。手渡しでの食事は、人と猫の信頼関係を深めることにもつながります。猫が万一病気にかかった場合は、人の手で薬を飲ませる必要がありますから、環境エンリッチメントを通して日ごろから信頼関係を築くことが、もしもの事態に直面したときのスムーズな対応にもつながるのです。

――今回の特集では猫の健康面の特集にもかなりの紙面を割いていますね。

編集長:「健康で長生きする家」がテーマなので、そこも力を入れました。監修いただいた獣医師や研究者の見解では、猫には個体差があるので、「猫に良いとされるもの」は一概にはいえないんです。そこで愛猫がどんな家を望んでいるかが分かるように、猫を6つのタイプに分け、本編で紹介する事例とのマッチング度をチャートで示しました。

 京大の猫研究グループのみなさまに監修していただき、タイプは「ネコ」「カメ」「ハムスター」「ゾウ」「イヌ」「トリ」の6つに分けました。どのタイプに当てはまるかはイエスノーチャートで判定します。タイプ別に当てはまりやすい猫種も掲載しています。

 編集部でも実際にチャート判定を試してみましたが、ある編集部員の猫は「ゾウ」タイプで「一見、穏やかでフレンドリー。実は結構小心者」。私の猫は「ネコ」タイプで「ちょっぴり気むずかしいツンデレ。猫のなかの猫」。かなり正確に言い当てているなという実感があります。

――興味はあるけど、まだ読んでいないという人もいるかと思います。どんな人におすすめしたいですか。

編集長:建築の専門誌ですので、建築に関わる人はもちろんのこと、家を建てる予定がなくても猫と暮らしている方にはぜひ読んでいただきたいですね。

 特集の後半部分は猫の健康管理について詳しく紹介しています。猫はどんな病気にかかりやすいのか、日々の暮らしのなかでどんなところ(体の部位や排せつ物)をチェックすれば、早期に異変に気づいてあげられるかなど分かりやすく解説しています。私は肥満度チェックを自分の猫にしてみましたが、ギリギリセーフでした。

 また、DIYでできる可変式のキャットタワーの作り方も掲載しています。壁への固定など、DIYならではの苦労はありますが、猫が喜ぶのを想像すると、楽しく挑戦できると思いますよ。

『建築知識』2018年2月号