2018年3月3日(土)から東京国際フォーラムを皮切りに、名古屋、大阪と上演予定のミュージカル『ジキル&ハイド』。人間の持つ“光と影”、“表と裏”を、フランク・ワイルドホーンの壮大かつ流麗な音楽によって展開される本作は、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説「ジキル博士とハイド氏」を原作にした超人気ミュージカル。今回は、ジキルとハイド役として本作に3度目の出演となる石丸幹二と、娼婦のルーシー役に初めて挑む笹本玲奈から本作にかける意気込みを聞いた。

人が変わると舞台の仕上がりも変わる(石丸)

――2016年から2年振りの再演となりますが、オファーがあった時の心境を教えてください。

石丸 2016年の上演で満足度の高い作り込みができた作品だったので、それをさらに2年間寝かせ熟成させたことでどんなものに仕上がるのだろうと純粋に好奇心が湧きました。そして、玲奈ちゃん(笹本)がルーシー役と聞いて、彼女のルーシーの姿を想像してフムフムと楽しくなっていました。

笹本 石丸さんにそう言っていただけて、光栄です(笑)。『ミス・サイゴン』のキムや、『レ・ミゼラブル』のエポニーヌなど、私は少女の役を演じさせていただくことが多かったので、今回、ルーシー役に挑戦する機会をいただけてとても嬉しいです。ルーシーのソロナンバー「あんなひとが」と「新しい人生」は大好きな楽曲で、自分のコンサートでも歌ったり、アルバムに収録していたんです。だから、今回は役として歌うことができるのでとても幸せですし、プレッシャーも感じています。

――石丸さんが妄想した笹本さんのルーシーはどんな姿だったのでしょう?

石丸 柔軟で、妖艶な玲奈ちゃんらしいルーシーですね。“私は不幸なの”とこれ見よがしなルーシーではなく、重くて辛い過去が見え隠れするようなルーシー。

――なるほど。

笹本 ルーシーもエマも原作にない設定なので、自由度の高い作り込みができるんですよ。だから石丸さんがおっしゃったように自分らしく演じようと思っています。そう心がければ自然と、マルシアさんやめぐさん(濱田めぐみ)のルーシーとは違ったものになるんじゃないかと思います。

石丸 きっと僕もこれまでとは違ったアプローチになるだろうし、どの再演とも違った作品になるだろうね。筆や絵の具が変わるように、人が変わると舞台の仕上がりも変わるから。

ジキルとハイドに隠される3つの顔

――石丸さんは本作の作曲家・ワイルドホーンさんからジキルとハイドの役について直接指南があったんですよね?

石丸 ジキルとハイド、そしてハイドの存在を知ってしまったジキルと3つの表情があると教えてもらいました。特に、3つ目の、ハイドの存在を知り、人生の砂時計が落ちてゆくジキルが一番人間くさいので、そこをしっかり作って欲しいと指南いただきました。

――今回、3度目の出演ということで、改めて課題はあるのでしょうか?

石丸 一度経験したことに時を経て向き合うと、そのものの見え方が変わったりするじゃないですか。その変化を見つめ直しつつ、前回、モヤモヤしたままだったところは作り直そうと思っています。

――ジキルとハイド役の石丸さんは出ずっぱりのような印象があります。体力勝負の一面もありますよね?

石丸 まったく、そうなんですよ。誰がいけないって、そうやって曲を並べたワイルドホーンですよ(笑)。

――常にベストなパフォーマンスを発揮するための秘訣はありますか?

石丸 毎日よく食べて、よく寝る。あと、役者として矛盾する言い方になってしまうのですが、完璧なステージを目指しつつ、放出するエネルギーを98%に留めておくことです。すべてを消耗してしまうと、翌日のステージで力が発揮出来なくなるんですよ。もちろん、体力を底上げして、より高いパフォーマンスをしようと思っていますが、自分の持っている限界ギリギリ手前を目指して毎日臨むのが満足のゆく公演を続ける僕なりの方法です。

――笹本さんは本作が出産後の復帰作になるとのことで、身体を調整していると聞きました。

笹本 私、困ったことに丸顔で。平和な顔をしているんですよ(笑)。なので、もう少し絞って、身体を作りたいなって思っています。

石丸 もう十分だと思うけどね。

笹本 いえいえ! 私は形から入りたいタイプなんです。最近はなるべく役の印象に近づけるよう服装も変えたり、日常から心がけています(笑)。

歌の中にも芝居心を持たせる(笹本)

――先ほど、ワイルドホーンさんの話が出ましたが、やはり音楽が魅力的な作品ですよね。

石丸 一度聞いたら忘れられないメロディーラインのオンパレードですよ。

笹本 そうですね。

石丸 ただ、どの曲も歌唱力が必要でね……、レベルの高い楽曲ばかりなんです。ですから、聞き応えあるものになりますし、歌が好きな方だったらこんな素敵なミュージカルはないでしょうね。

――なるほど。

笹本 私もやっぱり難しいと思います。キーが高くて、音域が必要なんですよね。そういえば以前ワイルドホーンさんが「日本の上演は歌だけではなく、お芝居としても成立している」とおっしゃってくださって。

石丸 それは嬉しいね。

笹本 歌の難しさに持っていかれてしまうと、お芝居の部分がおろそかになってしまうので、歌の中にも芝居心を持たせる努力も忘れないようにしています。

――ジキルとハイドの歌い方で演じ分けていたりするのでしょうか?

石丸 たとえば、「対決」というジキルとハイドの人格が行き交う歌があるのですが、それぞれリズムを変えて歌い、キャラクターが変わって見えるようにしています。

笹本 そういう意味ではルーシーも二面性を持っている役なのでリズムや歌い方で変化をつけられる気がしています。

石丸 たしかに! そういう発見をお互い稽古場で見つけられると楽しいね。

笹本 そうですね!

この春はジキルとハイドが目白押し!

――ところで、4月27日から三谷幸喜さんが作・演出を務める舞台『酒と泪とジキルとハイド』が再演となります。不思議な巡り合わせですね。

石丸 『ジキル&ハイド』を三谷さんらしくアレンジした内容なんですよね? 僕も観てみたいと思っていたんですよ(笑)。

――三谷版でジキル役を務める片岡愛之助さんと石丸さんはTVドラマ『半沢直樹』で共演されていましたよね。

石丸 そうですね。愛之助くんは芸達者でおもしろい人なので、彼が演じているジキルも楽しみです。今年の春はジキルとハイド一色になりそうですね(笑)。

――では、最後に上演に向けて意気込みを聞かせてください。

笹本 お客様が過呼吸になるくらいスペクタクルな作品にしたいと思っています。そして「ルーシー役を演じてたのって笹本玲奈!?」と驚いていただけるような人物を作り込もうと思いますので、期待していてください。

石丸 キャストが変わったことで新しい、不朽の名作『ジキル&ハイド』をお見せできると思っています。どうぞ皆さんの目で確かめにきてください!

取材・文:大宮ガスト  撮影:中田智章

公演情報
ミュージカル『ジキル&ハイド』

■日程:2018年3月3日(土)~18日(日)
会場:東京国際フォーラム ホールC
音楽:フランク・ワイルドホーン 
脚本・詞:レスリー・ブリカッス 
演出:山田和也 
上演台本・詞:高平哲郎
出演:石丸幹二、 笹本玲奈、 宮澤エマ、 田代万里生、 畠中洋、 花王おさむ、 福井貴一 ほか
料金(全席指定・税込):S席13,000円、 A席9,000円、 B席4,500円
■公式サイト:http://www.tohostage.com/j-h/

(左から)笹本玲奈、石丸幹二