優秀な人材の確保が難しくなっていることや同業他社との競争激化で、人材派遣業者が悲鳴をあげている。2017年の「労働者(人材)派遣業」の倒産は、前年から2割増の76件発生し、2年連続で前年を上回った。東京商工リサーチが2018年2月8日に発表した。

人材派遣業の倒産を原因別でみると、最多は「販売不振」(業績不振)の50件(前年比25.0%増、16年は40件)で、全体の65.7%を占めた。深刻な人手不足を背景に、人材派遣業は追い風が吹いているとみられがちだが、同業他社との競争に加えて、派遣スタッフの確保や単価交渉力などで、大手と小規模事業者とで業績に格差が広がっていることがうかがえる。

人材派遣の倒産、前年比24.5%増、負債総額も35.2%増

2017年の企業倒産は全体で8405件(前年比0.4%減)とバブル期並みの低水準だったが、人材派遣業の倒産は24.5%増の76件(2016年は61件)、負債総額も35.2%増の60億2000万円(16年は44億5100万円)と、いずれも2年連続で前年を上回った。

負債10億円以上の大型倒産が1件(16年はゼロ)だったのに対して、負債が1億円未満は59件(前年比18.0%増)と全体の77.6%と増勢。小規模事業者の倒産が目立った。

従業員数別でみると、5人未満の55件(前年比44.7%増、16年は38件)が最多。次いで、5人以上10人未満が14件(27.2%増、11件)、20人以上50人未満が5件(25.0%増、4件)と、いずれも増加した。

東京商工リサーチは、「大手人材派遣などの営業攻勢を受け、業績不振から抜け出せずに事業意欲を喪失し、破産に追い込まれる小・零細規模の事業者が多いことをうかがわせた。労働者派遣業は派遣先(企業)の技術や業務内容など、派遣先との緊密な関係が重視される。いったん失った営業窓口の挽回は難しいだけに、業績不振に陥った企業の再建は極めて難しい」と指摘する。

倒産件数を地域別にみると、関東が2016年の25から39件に増えたほか、近畿が6件から17件、北海道が1件から2件の3地区で増え、なかでも東京都は9件が21件に、大阪府は3件が11件に増えるなど、大都市圏での増加が際立った。

人手不足から、人材派遣業には追い風が吹いている印象が強いが、企業が正社員登用を増やしている結果、派遣登録の人手不足が進み、人材を確保しやすい大手の競争力が強まる傾向にある。それだけに中小事業者は生き残りに向けた消耗戦が続いている。

人材確保に悩み、法改正に対応遅れ......

人材派遣を営む中小事業者にとって、もう一つの難関が法改正への対応だ。改正労働者派遣法は2015年に施行され、経過措置期間が終了する18年9月29日までに、事務所の最低面積や基準資産額(資産の総額から負債の総額を控除した金額)や現預金額などの資産要件をクリアしなければ、事業が継続できなくなる。

こうした資産要件の達成が、競争力が劣勢で、業績改善が進まない中小事業者には「重荷」となっている。

一方、改正労働者契約法では労働契約が更新されて通算5年を超えた場合、無期労働契約に転換できる「無期転換ルール」を定めている。2018年はその適用がはじまるが、これらを踏まえ、多くの企業が人材派遣からアウトソーシングサービスへの切り替えを進めていることもある。

人材派遣業の倒産が増えているのは、小規模事業者ほど、こうした変化への対応や派遣労働者の確保が難しくなっているため、とみられる。

人材確保が難航…… 人材派遣、中小事業者が苦戦