11日に放送された『害獣vs職人の技 ゲキタレンジャー』(フジテレビ系)の放送内容が、いろいろと物議を醸している。

■なぜ鉄腕DASHでやったばかりの企画を?

 

 まず気になったのは、番組序盤で扱った「石垣で外来種グリーンイグアナを撃退」という内容が、つい20日ほど前に『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の「グリル厄介」という同じようなコンセプトコーナー(「グリル~」は最後に料理人が調理)でやったばかりの内容と、ほぼ同じだということ。しかも木の上で日光浴してるイグアナ小高い丘から探す様子や、イグアナ情報を聞きにいった小学校まで同じ。

 ここで、どちらがパクった々いうつもりはない。そもそも、この手の企画自体、昔からあるし、『電波少年シリーズ(同)や、『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)ではよくやっていた、ある種定番ともいえる企画だ。決して『鉄腕!DASH!!』が生み出した企画とはいえないだろう。この番組に限らず、それを言い出したら今の民放はパクりパクられの応酬で、その率の違いはあるものの「パク」っていない局など、もはやないのかもしれない(ここ数年の各局ゴールデンの「テレ東化」は凄まじいものがあるが)。

 そもそも、「ゲキタレンジャー」と名付けられて登場した坂寛氏(ライターとして人気の方)は『鉄腕!DASH!!』で「協」としてクレジットされている方で、石垣イグアナを捕まえるということ自体が、この方の大事な、言うならば「持ちネタ」だ。だから探し方や場所が同じになるのは必然でもある。

 坂氏は2年ほど前にグリーンイグアナを捕獲して食べる記事を書いているし、そういう意味では坂氏本人が、自身の「持ちネタ」で出演してるのだから、ある意味「元祖」とも言える。

 では何が問題か?

 やはり問題はなのは、パクリどうこうではいにせよ、20日前に『腕~』で放映していたのに、そっちでもネタ提供してる「元祖」の坂氏を担ぎ出してまで同じ内容を『ゲキタイ~』でぶつけてきたことだろう。しかも同じ日曜の同じゴールデンで、1時間ズレはあるが、もはや裏番組と言ってもいいほどのでだ。

 これにより、『腕~』に「協」とクレジットは出ているものの、ほとんどの視聴者はそこまで知らないので、本来「元祖」であるはずの坂氏が『腕~』での内容をパクったと誤解されかねない。これはネタ提供者に対する配慮が少々足りないのではないだろうか。

 企画段階でどちらが先だったかはわからないが、坂氏が『ゲキタイ~』序盤で肩慣らしがてらに捕獲していたプレコ(これも沖縄増してる淡外来)も、やはりグリル厄介の初回で1年ほど前に取り上げていたものだし(おそらくこれも坂氏がネタ出し)、どうしても連想してしまう。

 

■「被害者」は誰か?

 

 そしてそれ以上に気になるのは、この番組だけではなく、近頃流行りの「外来種(害獣)駆除」を掲げた番組に共通するのだが、その対を過剰に「悪」に仕立て、「敵」とすることで、その問題の根本をぼかしたまま思考停止したように「駆除」「撃退」に突き進むような見せ方だ。

 筆者も好きな『池のぜんぶ抜くシリーズテレビ東京系)でも正直、外来種に対しての扱いや印付けで気になる点は多いのだが、今回も「害獣」「緑の悪魔(=グリーンイグアナ)」「キングオブ害獣(=鹿)」「半グレ鹿」と、とにかく巨悪に仕立て上げる。

グリーンイグアナ」を見かけたことのある民の方々にインタビューしている際も「被害者」というテロップ赤字で強めに入る。これらの方々は「噛まれたり(尻尾で)かれたりしたら結構なケガをするんで、そういう被害が出ないかという不安はある」とか「も長くて(もしも教室に出たら怖い」とか、実際に攻撃をされたわけではない。

 いや、もちろんの生態系を崩しているわけだし、不安に襲われているという意味で「被害者」ではあるし、そこは否定されるべきではない。実際発情期のイグアナはナーバスで攻撃してくることがある。

 しかし、このインタビューの際も「リアル撃退ドキュメント」というテロップがずっと出ており、ドキュメンタリー的な面を煽るわりには、「危険極まりないイグアナに悪になってもらうための弱者が存在してほしい」という意図を感じてしまうのだ(『池の~』でも、触ったことで抵抗し噛み付いただけのアカミミガメに対し、その子どもが「駆除して欲しい!」と訴えたことで駆除が始まる演出に、強い違和感を覚えた)。

 つまり、言うのも馬鹿らしいが、ドキュメントというならば大前提としてこのイグアナなど外来種を野に放ち、野生化させてしまったのが人間である(民のかという意味ではなく種としてのヒト)いう、謙虚さともいうべき線が欠けている。綺麗事だけでは済まないが、やはりグリーンイグアナ自体が「被害者」であるという線はもっと必要だと思うのだ。

「鋭いで生態系を破壊する」とグリーンイグアナを紹介しているが、そのは木に登り生きるために進化したもので、「生態系を破壊する」ためのものではない。

 他の番組でもよくあるが、例えば「アリゲーターガー」を紹介する際、過剰に牙をアップにして、まるでジョーズのように人間をバクバクと襲うようなイメージを押し付ける。外来種として本来いるべきでない場所に存在させられてしまっていることがまず問題なのであって(それも逃した人間が原因)、それ以前に、野生で生きるためのその術や姿形(牙やがあること)自体を罪として過剰に怖がらせたり否定するような見せ方には疑問を感じる。

 

■鹿が「半グレ」?

 

 三重で、皮や農作物を食べ、を枯らしたりを荒らす鹿の食を取り上げた際も、「半グレ鹿」という紹介の仕方をしていた。実際、食馬鹿にならない被害だし、鹿は放っておくと山を丸裸にしてしまう恐れもあるので、管理や適切な駆除が必要だ。ネットでは「鹿がかわいそう」とか「鹿の住処を奪っておいて」とヒステリックな意見も見られたが、現地で生活している人にとって、それは綺麗事にすぎないし、そもそも鹿がいてもおかしくない場所を切り開き、アスファルトを敷き詰めた上で暮らしてる人が多い現状において、々一人ひとりがすでに鹿などの生物の住処を「奪って」いるようなものだ。

 だが、それを踏まえても、ただの鹿を「半グレ」と呼ぶ演出は疑問だ。バラエティ的に、ただの「鹿」で弱いのはよくわかる。だが、バラエティとしてもドキュメントとしても、どっちも「強い」のをめるのは理がないだろうか?

 ゲキタレンジャーとの名前で登場して、現地で師として活躍する古田氏の跡取りとして登場したさんも、放送後にTwitterで「半グレ鹿」という表現が使われたことを残念であり、駆除した鹿を「食べることによって私達の命を繋いでいる事を一番に伝えて欲しかった」と投稿している。

 それぞれ登場した「ゲキタレンジャー」(=この番組で理やり括られてるだけで、それぞれは立に活動されてる方々)は、各対に対して各々真剣に向き合い、その思いをっていた。

 それは(申し訳程度に)差し込まれてはいるのだが、にもかかわらず「半グレ鹿」とか「緑の悪魔」とする演出が過剰なので、それぞれ現地で向き合っている方々の矛盾して見えてしまうのだ。

 ちなみに、この駆除した鹿は調理され、ジビエとして販売されているらしいのだが、これに対する否定的なネットで多く見かけたのも驚いた。先ほどの古田氏の跡取りのさんが言う通り、駆除した上でその命を頂き、命をつなぐという考え方は至極まっとうなものだと思うのだが、それを残酷だと捉えてしまうのは、々のから普段、いかに他の生物の命を奪っているという概念が消されているか、ということだろう。

 飲食店でネズミゴキブリを見かけないのも、かが駆除(=殺)しているからだし、ハンバーガー1つ食べるにしてもかがの命を代理で奪って(=殺して)いるからだ。

 こういう番組は、それらのことを考えるいいきっかけだと思うのだが、一方的に「悪」を決めつけ、ゲーム的な感覚で駆除なり捕獲なりを見せるだけの演出になってしまっているのがとても残念である。

 狩猟を刺するような番組は実際楽しいし、好奇心も刺されるし、面い部分が多いのは確かなのだが、外来種々とか、被害々などといった「正義」っぽい動機付けをここまでしないとダメだのだろうか?

 影が大きいメディアだけに快楽(捕獲シーンを見る)のために、雑に正義(外来種だから殺せ)を振りかざすような見せ方は安易にすべきではない時期に差し掛かっているのではないか。半端な善悪を押し付けて「解決」とするくらいなら、よっぽど「なんか変な生き物が入って来ちゃってるから捕まえてみちゃったー」というユーチューバー程度の見せ方のほうがまだ潔いし、各々でその先を調べるきっかけになるとすら思ってしまう。それくらい今の外来種ネタの動機付けは安易に見えるのだ。

 半年ほど前まで、ヒアリ発見をこの世の終わりのように報道していたが、今や続報も見られなくなった。この種のネタが食いつきがいいのはあるのだろうが、せっかく盛り上がっているジャンルだし、地上波ならではの面さを出せる分野だと思うので、是非ともこの火を消さないためにも今後の善に期待したい。
(文=太郎

フジテレビ公式Twitter(@fujitv)より