今年に入ってから、コンビそろって話題を提供し続けているのがオードリーの2人、若林正恭と春日俊彰だ。新春早々、女優・南沢奈央との熱愛が発覚し、メディアをにぎわせたり番組でいじられたりしている若林。一方の春日は、東大受験の話題がこれまたスポーツ紙をにぎわせている。

 特に若林は、これまでの「人見知りキャラ」「女の子苦手芸人」「草食系」とのギャップも相まって、いいネタというか、カモにされている印象すらある。いずれにせよ、コンビのどちらにもニュースバリューがある、という時点で、今のオードリーの安定ぶりがうかがえる。

 そんなオードリーの魅力がもっとも味わえる番組は何か、というと、筆者が一番推したいのが、彼らのレギュラー番組のなかでも認知度が低いであろう、金曜深夜放送のオードリーの『NFL倶楽部』(日本テレビ系)だ。

 アメリカ4大スポーツのひとつ、プロ・アメリカンフットボール(NFL)の試合結果と魅力を伝えてくれるこの番組。オードリーがレギュラーになったのが2010年シーズンだから、もう7シーズン目に突入したことになる。振り返れば、オードリーがM-1で準優勝し、その勢いのままテレビに出まくって一気にスターダムにのし上がったのが2008~09年の出来事。まだ人気者になったばかりの頃から、芸能界で盤石な地位を築いた今でも、オードリーの2人がライフワークとして熱を入れ続けているのがこの番組ではないかと思っている。

 世間的には、暑苦しくて空回りしている春日と、それを冷静に処理する若林、という構図で認知されているオードリー。だが、この番組ではむしろ逆。春日は変わらず空回りしがちなのだが、若林の熱が過剰になるあまり、春日以上に空回りすることも。「人見知り」で「草食系」な若林なんて、この番組には存在しない。とにかく若林が熱すぎるのだ。

 今月2日深夜、アメリカプロスポーツ最大の祭典・スーパーボウル直前の放送でも、番組終盤に突然、「俺はねぇ、ずっと我慢してきたんですけど……ブレイディが好きだぁ!」と叫んだ若林。ブレイディとは、これまで若林が番組において“アンチ”を公言してきたNFL屈指のスーパースター(なぜなら、地位も名誉も手にしていて、奥さんも美人だから)。そのブレイディを「すごい」と評することはあっても、「好き」と語ったことは、これまでなかったはず。実際、4日に行われた今年のスーパーボウルでは、そのブレイディの一投が勝敗を決する最後のプレーとなり、9日深夜に放送された『NFL倶楽部』では、そのプレーを振り返りながら、「最後の0秒まで(勝敗の行方が)わからないのは、ブレイディだから。それを俺らは何度も見てきているからね」と、しみじみとコメントした若林。前の週の熱い叫びがあるからこそ、より印象的なひと言になっていた。

 また、番組では毎週、「若林の熱視線」というコーナーでNFLのプレーをマニアック解説。この番組におけるオードリーの役割は本来「MC」のはずなのだが、進行はアナウンサーに任せ、しっかりと解説業までこなしてみせている。先月には、この「若林の熱視線」を書籍化した『オードリーのNFL倶楽部』(文藝春秋)が発売。すぐに増刷が決まったというから驚かされる。

 オードリーが好きな人であっても、「NFLには興味ないから」とか「深夜だから」「(NFLシーズンだけに放送される)不定期番組だから」と見ていない人が多いのではないかと思われるこの『NFL倶楽部』。だが、オードリーファンにこそ見てほしい。というのも、この番組で見せる2人の関係性こそが、「オードリーの原点」だからだ。

 学生時代、ともに同じ高校のアメフト部でプレーしていた2人。若林は、関東代表にも選ばれる選手だった春日を見て、「いつか、こいつとコンビを組もう」と思ったといわれている。その後、実際にコンビを組み、結成当初にやっていたネタのひとつがアメフトのショートコント。それどころか、春日の決めゼリフである「トゥース!」も、もともとはアメフトで集合の合図として使われる掛け声だ。この『NFL倶楽部』では番組冒頭の合図として使用され、若林もしっかり声を張っている。

 芸能人が、あるスポーツの魅力について語ることは許せても、解説までしてしまうと「ちょっと待てよ」と思うことも珍しくない。だが、アメフトとNFLに関しては、オードリーの2人の7シーズンにわたる継続的な取り組み、そして「若林の熱視線」の信頼性もあって、不思議と嫌な感じがしない。今季の放送も残りあと数週間。試合自体はもう終わっているので、あとはオードリーのスーパーボウル珍道中がメインになるはず。むしろここからオードリー色がさらに濃くなると思うので、ぜひ一度、熱すぎる若林に熱視線を送ってもらいたい。
(文=オグマナオト)

日本テレビ系『NFL倶楽部』番組公式サイトより