連続テレビ小説「わろてんか」(NHK 総合 〜土 8時〜、BSプレミアム 〜土 あさ7時30分〜)
20週「ボンご乱心」第111回 2月13日(火)放送より。 
脚本:吉田智子 演出:鈴木

110話はこんな話
キースアサリ大野拓朗、前野哉)がコンビ別れすることになった。

ときどき、揺さぶりをかけてくる
唐突にシリアスな雰囲気ではじまった。

風太「おまえらコンビ別れしてくれ」
カチカチカチ・・・と時計の音だけが小さく聞こえ・・・
キースアサリ「えーー」のに従業員たちがズッコケ
てん「どないしたん?
たか子の題歌。
すごい流れだ。ズッコケはこれで3回か。
「わろてんか」、こんなふうにときどき、揺さぶりをかけてくる。

風太100年先の漫才のことを考えて、大阪東京キースアサリ、ふたりを分けて、客倍増を狙っていた。
てん(わかな)はそれに反対するが、マンマンで北村笑店の歴史をみんなで振り返ると(ちょうど、万丈藤井隆〉が会社の25年史を編纂中)、吉は常に革してきた人だったことが思い出され、てんも迷い出す。さらに、高橋一生)にまで風太の判断が正しいと言われ・・・。

あれれ、リリコとシロー広瀬アリス松尾諭)コンビを作り上げたてんが吉のようなで、風太保守かと思っていたら、
うでもなかった。
どうやら、このふたりはガッガチに生き方の針を決めているわけではなく、そのときそのときの状況や感情で、のようになったり保守のようになったりしながら生きている。それをひとは設定が定まっていないと思うかもしれないが、人間、そんなにしっかりしているものでもない。たいてい迷いながらより良いをみつけていくものだ。
それに、どっちに転ぶかわからないほうが面い。とくに朝ドラはだいたい落とし所は決まっているから(今回の場合、コンビ別れ反対!といったってコンビ別れすることになる流れは見えている)、そこに行き着くまでは、のらくらよくわからないほうがいい。「わろてんか」は予定調和にならないように、定まらずに揺さぶりをかけようと努めているドラマなのだと思う。

予定調和に終わらなかったことはこれ。
いつもは土曜日の視聴率が低いが、先週10日は20台だった。逆に月曜日17台に(これは祝日だったからだろう)。
そして、火曜日に、キースアサリ漫才をたっぷりめにやって、まとめに入るのも意外な感じだ。

やっぱり濱田岳は黙っているほうがいい
なんも言わずに哀愁を漂わせるのが濱田岳の魅だ。
冒頭、一生に一度のお願いと苦渋をにじませた表情といい、アサリにつれなくされてしまったときの困り顔といい、コンビ別れを承諾したキースアサリに、頭を下げるときの涙目といい、引きつける。
ところが、「わろてんか」では、111話のような表情はしく、毎日、ほぼ怒鳴ってばかりだ。なんでやねんと思うが、得意のちょっと悲しげを封印し、怒鳴りつづけるのは、ほんとうに大変だと思う。だからこそ、ただの怒鳴る人ではなくて、理して虚勢をっている男のしょうもなさが滲むのだろう。

去勢る男たち
コンビ別れを拒否していたアサリだったが、キースにも説得されてしぶしぶ受け入れる。
そのとき、キースに「飽き飽きしてたとこや」とか「願ったりったりや」とかうそぶく。
キースもおわかれ漫才の日に「今度はもうちょっとましなやつに決めたわ」と笑い飛ばす。
素直じゃない男たちがらしい。
こうすればすっきりまとまるのに・・・と思うところを、視聴者の思うように決して進まない「わろてんか」も、じつに素直じゃない面倒くさいドラマなのだと思う。それをいかに受け入れるか、視聴者の度量が試されている。あ〜しんど。
(木俣

イラスト/まつもとりえこ