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その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第19回は、自動車部品やベアリングを手がけるシェフラージャパン。男性ではまだまだ少ない長期の育児休暇を取得した加藤眞吾氏に話を聞いた。

外資企業だから当たり前のように長期育休をとれると思っていた

 まだまだ取得率の低い男性の育児休暇。2016年度の男性の育休取得率(厚労省調べ)は3.16%にとどまっており、厚労省が目指す2020年までの13%にはほど遠いのが実態だ。「子育てはそもそも女性のもの」という考えの人も多いため、上司や未婚者の理解も低く、制度があっても、なかなかとりにくいというのが本音であろう。しかし、子育てを夫婦で共同するため、長期育休を取得する男性も現れている。

 2016年に3ヶ月の育休を取得したのは、シェフラージャパンでシャーシ関連のベアリング技術を担当する加藤眞吾氏。奥様が出産後すぐに職場復帰せざるをえなかったため、上司に半年前から相談し、出産直後から育休を取得した。首も座らず、寝返りも打てない、生まれてすぐの我が子の子育てに関わったわけだ。「制度があるのも知っていましたし、外資だからみんな育休とるだろうと思ってました。でも、フタを空けてみたら、通常は1ヶ月程度。男性で3ヶ月育休とるのはまだ珍しいと言われたんですよ(笑)」(加藤氏)とのこと、期せずして同社初の長期育休取得者となった。

 子育てに関わった感想を聞くと、「生まれた直後から3ヶ月間だったので、本当に濃厚な時間を過ごすことができました。うちの子は私といっしょでもいやがらなかったし、リザーブした母乳もちゃんと飲んでくれました」(加藤氏)とのこと。長い時間をいっしょに過ごすことで、子育ての喜びも大変さも体感できた。

 睡眠時間も確保できない中、赤ちゃんのお世話をこなすだけではなく、保活にも主体的に参加した。「保育園の資料を揃えたり、あちこちの説明会に参加して、2人で決めました。妻の代理でやっているのではなく、自身で情報収集をしたので、保活が大変なことも実感できました」と語る。唯一、会社に残した仕事だけが心配だったが、上司と同僚がカバーしてくれたため、安心して育休をとることができたようだ。

育休取得率は平均の5倍!ドイツ譲りの休暇制度とプロセス改善も

 もとよりシェフラージャパンは外資ということもあって、休暇制度は非常に充実している。2014年度からは制度の実効性を上げるべく働き方改革を進めており、2018年は有給休暇を年度内に使い切る「ゼロキャリーオーバー」、社員全員の月間残業時間を32時間以内にすることを目標としている。

 昨年は、本人や家族の病気・通院のために最大20日間利用できる「クオリティワークライフバランス(QWLB)休暇」を導入し、有給休暇は旅行や資格取得などのために計画的に使える。シェフラージャパン 人事部 森佳子氏は、「親会社のあるドイツでは医者の診断書があれば休みが取れる『シックリーブ』という制度が一般的で、QWLB休暇もこれに当たります。このQWLB休暇に、有給休暇、5日連続で取得可能なリフレッシュ休暇を使うと、最大45日間も休みを取る機会があります」と語る。もちろん、制度だけあっても、現場にしわ寄せがいってしまうので、ドイツ譲りのプロセス改善で仕事の見える化やチームでの推進を進めているという。

 今回取り上げた育児休暇は就業規則に盛り込まれていたが、実際の男性の育児休暇は2014年から始まった。その後、4年間の男性の育休取得率を調べたところ、平均は15.2%。通常の5倍近くも高い取得率だ。今後は子育てのみならず、介護の問題も深刻になるため、「お互い様」の文化をもって充実したワークライフバランスを進めていくという。

 「子育て=女性」となっている現在、男性側が子育てでイニシアティブをとれないことは多い。肝心なところを奥さんに任せてしまったり、「やっぱり頼りにならない」といったレッテルを貼られることもあるが、本来は夫婦対等で共同して進めていくもの。森氏は、「加藤さんの後に育休をとった男性からは、『育休をとったことで、妻と対等でいられます』と言われました。スタートの時点から、きちんと夫婦でシェアしていくマインドセットができたということなので、今後も男性にはどんどん育休をとっていただきたいです」と語る。


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