101ベンチャー企業」と名乗り、画期的な取り組みに挑む小湊鐵道について、石川社長に話を聞いた。

大正創立の小湊鐵道に脚光

千葉県市原市鉄道会社「小湊鐵道」は今年の正月、創立100周年の感謝を込めて、沿線の由緒ある神社でお祓いを受けた105円が入った「お祝い袋」を利用客先着3000人にプレゼントした。

小湊鐵道は1917(大正6)年創立。房総半島の里山に連なり、養老渓谷を経て上総中野駅(大多喜町)にいたる全長39.1キロメートルの地方鉄道だ。開通後は戦争、マイカー時代の到来による利用者の減少などを乗り越えてきた。

近年、画期的な取り組みで注を集めている。

逆開発、里おこしでグッドデザイン賞

小湊鐵道はここ10年ほど、沿線に住む有志と協し、地域の「里おこし活動」を行っている。

2008年頃に、保線の社員らが移動で使っていたレールバイクの快感を味わって欲しいという思いから、トロッコ列車を計画。その昔に同線で活躍したSLモチーフに、グリーンディーゼルを搭載してよみがえらせ、2015年に「里山トロッコ」の運行がスタートした。

をさえぎる客ガラスを取り外し、天井太陽をさえぎらないようガラスりにしており、開放感抜群だという。

2017年には、養老渓谷前の「逆開発」がスタート

観光地として便利な開発を進めるのではなく、もともとあった豊かな自然を取り戻すというプロジェクトで、アスファルトや機質な建築物を極少なくし、に戻す。

これらの活動が高く評価され、同鉄道2017年度グッドデザイン賞を受賞。審委員は次のようにコメントしている。

鉄道は地域を再生させるためのインフラ足りえるか。地域の逆開発に向けて、鉄道そのものをより簡素にしながら、地域と一体に歩もうとするデザイン

SATOYAMAというコンセプトは使い古されている感もあるが、あえて抑えたデザインで、地域に歩調を合わせつつも、沿線住民自らが、暮らしの中にある鉄道風景の質を高めていこうとするデザイン思想が優れている。」

催:益財団法人日本デザイン

社長「省くことで、本来の良さが出る」

なぜ、「逆開発」というユニークな取り組みを始めたのか。小湊鐵道石川社長に話を聞いた。

沿線では今から約5000年以上前の縄文時代から、たくさんのヒト自然と共に豊かな里山Lifeを送ってきました。それはこの土地で確かに育まれ、今でも残っています。

「その愉快さを世界シェアしたい!」そんな思いからはじまりました。

そんなこんなで10数年前から沿線住民とともに、「藪刈り」や「催の芸術祭」、「周辺の清掃や刈り」「クリスマスシーズンライトアップ」「トロッコ列車の運行開始」や「沿線への菜の花種まきプロジェクト」「み会」などを行う中で、気が付いたことがあるという。

くことで、この場所の本来の良さがでる!

そうして、2017年に「逆開発」をスタート。今後は5~10年をかけて、徐々に森林化を進めていく計画だという。

出典:「小湊鐡道」Press Release

出典:「小湊鐵道」Press Release

24年ぶりに乗降客が増加、地域の繋がりも

おこしを始めたことで、に見える効果が出ているという。里山トロッコの運行開始後に利用者が増加し、同社では24年ぶりに乗降客が増加したそうだ。

地元の方々との協働作業により、地域の問題の共有・活動の共有が深まりました。

今では地元のグループが18団体約300名となり、自称「勝手連」としてそれぞれが体的に活動しております

提供:小湊鐡道 地元のボランティアなどが野田掘りを整備

提供小湊鐵道「里おこし活動 野田掘を整備」

「チャレンジ精神を取り戻し、里おこしを」

101ベンチャー企業」というコピーに込める思いを、こうる。

お陰様で昨年創立100周年を迎えることができました。今でもローカル線ですから、計画当時は今でいうベンチャー企業そのものであったと思います。

ですから、当時のチャレンジを今こそ取り戻し、そもそもの会社設立の的である「里おこし」に社員一丸となって取り組んで参りたいと考えています。

出典:「小湊鐵道」Press Release グッドデザイン賞受賞記念里山トロッコ乗車整理券

出典:「小湊鐵道」Press Release グッドデザイン賞受賞記念里山トロッコ整理券

小湊鐵道市原市)は、地質学上の時代名になる見通しの「チバニアン」の根拠となる「磁場逆転地層」の最寄。古くしてなお新しい小湊鐵道に乗って、ぜひ出かけてみてはいかがだろうか。

創立101年目のローカル鉄道が駅前を「逆開発」!千葉・小湊鐵道の社長に話を聞いた