約半年前,セガゲームスのスマホ向けRPG「チェインクロニクル3」(iOS / Android / PC。以下,チェンクロ3)の物語に焦点をあてたインタビューを第1弾第2弾と掲載した。それらでは第3部のメインストーリー第1章〜第3章まで触れていたが,そろそろ新しい物語も出揃ってきたし……ということで,2018年初頭の最前線を追う“ストーリーインタビュー第3弾/第4弾”を実施してきた。本稿ではそのうち,第3弾の様子をご覧いただく。


 今回はチェンクロの2017年の振り返りからはじまり,昨年末に始動した主人公帰還篇,2月15日に開始される「オーバーロードII」コラボについて話を聞いてきた。お相手は本作の総合ディレクターの松永 純氏,シナリオチームリーダーの西 次郎氏,そしてコラボシナリオを担当したシナリオライターの白沢戌亥氏だ。それにしても,主人公達とアインズ様はどのように相容れるのだろうか……?


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■2017年は,第3部の試みが浸透した年に

4Gamer:
 御無沙汰しております。約半年ぶりのストーリーインタビューとなりますが,本日はよろしくお願いします。

松永 純氏(以下,松永氏):
 はい,今回もよろしくお願いします。

西 次郎氏(以下,西氏):
 よろしくお願いします。

4Gamer:
 まずは昨年のチェンクロについて聞かせてください。今振り返ってみて,2017年はどんな1年でしたか。

松永氏:
 2016年11月に始動したチェンクロ3でしたが,物語が動きだし,主人公達が互いに交差する本格的なストーリー展開は,2017年に入ってからとなりました。5人の主人公の物語も,1人ずつ主題が異なっていましたので,全体が動き出すまでにさらなる時間が必要でした。

 そのため昨年は,第3部の新たな物語がプレイヤーの皆さんにようやく浸透させられた年だったと考えています。そして,それぞれの物語が一区切りを迎えた第5章と,第1部・第2部の主人公の帰還により,2つの大きな盛り上がりを生み出して,2018年を迎えられたのが良かったです。

西氏:
 正直,2017年は早かったですね。本当にあっという間でした。必死に走り続けていたら,1年が過ぎてしまっていたという感じです。私も昨年については,ヘリオス,アリーチェ,エシャル,セレステ,アマツという新しい5人の主人公達が,プレイヤーの皆さんに段々と受け入れてもらえていった1年だと思っています。なので,あっという間でしたが,たしかな手応えを感じられた1年でした。

松永氏:
 帰還篇をやるタイミングについては,第3部の物語が盛り上がってないときに隊長が戻ってくるのは嫌でしたし,逆に第3部が盛り上がった後に「いまさら過去の主人公はもういらない」と言われるのも嫌でした。そのため,両方のピークを合わせて持ってこられたことに一安心しています。

4Gamer:
 主人公の帰還はテコ入れじゃないぞと。

松永氏:
 ええ,もちろん違います(笑)。主人公の帰還は第3部開始時のPVにも情報を含んでいましたし,前々から決めていたことです。

4Gamer:
 第5章の勢いを感じ取ったプレイヤーなら,多くが理解していると思います。詳しくは後ほど聞かせてもらいますが,第5章は期待を遥かに上回る面白さでしたので。

松永氏:
 ありがとうございます!

4Gamer:
 もう少し昨年の話を続けますが,2017年は「年代記の塔」や「アリーナ」といった新規コンテンツの拡充にも力が注がれていましたよね。これらの手応えはいかがでしょう。

松永氏:
 昨年の新規コンテンツの拡充ですが,これはいろいろな傾向のコンテンツを立て続けに実装しようという試みでした。正直,手応えはまだまだですね。

 というのも,カジュアルなもの,ハイエンドなもの,どれか1つを追加するだけでは偏ってしまって,人によっては物足りなさを感じると考えていたからです。なので,実装のスピードを優先させてもらった部分があります。

 ですので,個々のコンテンツについてはまだまだ磨く余地があると思っています。今後は内容や難度や遊び方など,ブラッシュアップに力を注いでいきたいです。

4Gamer:
 それではDMM.GAMESでの提供を開始した,PCダウンロード版についてはどうでしたか。

松永氏:
 提供の開始からこれまで,新規のプレイヤーさんのみならず,既存のプレイヤーの皆さんにも利用してもらえています。PCダウンロード版はあくまで,同じサーバーで遊べるマルチプラットフォーム展開としていたので,前回のインタビューでもお話しさせてもらったとおり,皆さん各々のプレイスタイルに合わせて使ってくれているようです。

4Gamer:
 仕事中の液晶ディスプレイでのログイン消化が捗っています。そしてなんといっても,昨年末は第1部・第2部の主人公が物語に合流する「帰還篇」が始動しましたね。

西氏:
 帰還篇については,プレイヤーの皆さんからも多くの反響をいただけました。それらの声は僕らにも届いてくるほどの熱気になっていたので,本当に有難いと思っています。開発陣もそれを受けて,よりモチベーションを高めて制作に取り掛かれていますよ。

松永氏:
 チェンクロはこれまで,第2部の配信やその最終章であるクライマックスチャプターズ,心機一転の第3部スタートいった,数々の山場を迎えてきました。しかし,帰還篇はそれらと比べても反響が大きく,引退していたユーザーさんもたくさん戻ってきてくれて,これまでずっと続けてくださっていたユーザーさんと一緒に盛り上がってくれている状況があります。本当に嬉しく思っていますし,ここから先の展開にも満足してもらえるよう,気合いが入りますね。


4Gamer:
 年末年始はキャンペーンもすごかったですよね。いろいろな施策がありましたが,なにより「第1部・第2部酒場の無料10連ガチャ」です。160連の無償提供ですよ。あれのおかげで今まで欲しかったあのキャラ,このキャラをたくさん仲間にできました。

松永氏:
 僕達もやって良かったなと思っています。チェンクロは“物語を読んでもらう”のが最も大切なことですので,より多くの人達に各キャラのストーリーを読んでほしかったんです。とはいえ実のところ,プレイヤーさんの中には第2部までのストーリーを完結まで進められていない人がそれなりにいるんです。ですから,「この機会にぜひともやってください! お願いします!」の意を込めています。

4Gamer:
 たしか,第1部・第2部のメインストーリーを進めやすくするキャンペーンも同時開催していましたね。

松永氏:
 当然のことですが,僕たちは常に“絶対に面白いシナリオを!”の想いで物語を作っています。しかし,ストーリーは第1部,第2部,第3部……と,普通のゲームではありえない長さになっています。できることなら第2部を終わらせてから第3部や帰還篇に臨んでほしいのですが,さすがに「面白いから読んでみて!」と言って遊んでもらうには,あんまりなボリュームになってしまいました。

4Gamer:
 手軽に遊べるとはいえ,気軽に読み切れるかというと……おそらく苦笑いで濁しちゃいそうです。

松永氏:
 僕も友人から「この本,すごい面白いから読んでみて!」と言われて,何冊もの本をドンッと渡されたら,困ってしまいます。それってやっぱり,新刊を買って読むのとは違いますよね。なので,面白いから読んでという勧め方だけではなく,プレイヤーさんにとってより分かりやすいご褒美を用意したほうがいいだろうと考え,無料ガチャや進行応援キャンペーンを実施したんです。結果的に,年末年始をとおして第2部のクリア者は大幅に増えました。

4Gamer:
 すでに第2部を終わらせているプレイヤーにとっても嬉しかったと思います。私も「聖都と九領はまだピックアップが違う。まだ引くタイミングじゃない」と時期を見計らっていますので。

西氏:
 そういうプレイヤーさんもいるだろうなーと思っていました(笑)。じっくり吟味して,お目当てのアルカナをぜひゲットしていただきたいですね。


■1+1を200に。どちらの主人公達も100%以上の魅力で

4Gamer:
 ここからは「帰還篇」について,より詳しい話を聞かせてください。手始めに,帰還篇の構想はいつ頃から考えられていたのでしょう。

松永氏:
 最初からだよね。

西氏:
 第3部の企画段階からでしたね。

松永氏:
 詳しい時期で言うと,2年くらい前からです。とはいえ「帰還篇」であったり,「絆の軌跡」であったり,どのように展開すべきか,それを考えはじめたのは2017年の春過ぎでした。それ以前はそういう外伝抜きで,第3部のメインストーリーに「主人公をドーンと登場させよう!」と話していましたので。

4Gamer:
 現今の内容を見ると,その案は取りやめにされたようですが。

松永氏:
 チェンクロ全体の展開としては,いきなり過ぎるかなと思ったんです。

西氏:
 もっと盛り上がるための取っ掛かりがほしかったんですよね。いきなり帰ってくる形でも,プレイヤーの皆さんに驚いてもらうことはできたと思います。でも,驚きと盛り上がりは必ずしもイコールではないので。

松永氏:
 先ほどの話もそうですが,ストーリーの全体を追い続けるのはわりと大変なことです。第3部をはじめていく中で,それを強く感じて。ストーリーに主人公をポンと投げ入れるだけでは,プレイヤーさんの心境やゲーム全体を盛り上げきれないなと思ったんです。

 だから昨年実際にやったように,大々的にキャンペーンとして打ちだし,導入となるストーリーを個別に用意し,皆さんにより楽しんでもらうための立て付けを考えることにしました。

4Gamer:
 帰還篇と絆の軌跡は,どちらを先に構想されたんですか。

西氏:
 ほぼ同時期ですね。帰還篇の形式を詰めていこうという段階で,「2部大陸に残っていた宿題の答え」を出せるかもしれないと思ったので,これらを合わせることにしたんです。

松永氏:
 各大陸の話は前からやりたかったんですが,第3部を盛り上げていく中で「じゃあ,いつやるべきか」が難しくて。でも帰還篇をやろうと決めたときに,それでファンの皆さんの意識と,うまくかみ合うんじゃないかなと考えました。帰還篇も,海の向こうで起きる物語です。物語のカメラの焦点が“ユグドの外の世界”にフォーカスしている間に,これまで温めていた2部大陸の5年後を描くのであれば,ファンの皆さんにも「そうそう,ここの話も待ってたよ!」って思ってくれるかなと。

4Gamer:
 ああ,なるほど。プレイヤーに物語全体をどのように見てもらうのか,そういった大きな視点の考えがあったんですね。整合性もあって,納得です。

松永氏:
 そしてあわよくば,ヘリオスと分かれた後のカインの動きも描きたかった。これが帰還篇と絆の軌跡のプロットになります。


4Gamer:
 しかし,プレイヤー自身が主人公に投影される従来のフォーマットでのシナリオ制作は,かなり久しぶりになりますよね。

松永氏:
 ええ,本当に久々でした。

4Gamer:
 長年やっていたことのはずなのに,意識のズレや苦労もあったり?

松永氏:
 ありました。無茶苦茶ありました。皆,当時の感覚を取り戻すのに苦戦したよね(笑)。

西氏:
 はい,担当されたシナリオライターさんもそうだったと思いますが,チェックする側の僕達もめちゃくちゃ苦戦してました(笑)。

松永氏:
 シナリオの仕事をしていて,初めてでした。違和感を見極めるという,不思議な仕事をしたのは。

4Gamer:
 違和感ですか。それってどのような?

松永氏:
 できたシナリオを一読すると,まず違和感があるんですよ。普通はそれって“違う”ってことなんですけど,今回はユーザーさんに違和感を楽しんでほしいという狙いがあったので,「これは懐かしいという意味での良い違和感なのか?」「それともやっぱり違うという違和感なのか?」を,うーんって悩みながらブラッシュをしました。

4Gamer:
 む,むずかしいですね。

松永氏:
 例えば主人公の選択肢もどこまで遊んでいいのか,逆にどこまで遊ばなければいけないのか,それらの温度感を取り戻すのに苦労しました。

4Gamer:
 第1部・第2部と比べると,第3部の物語の構成はまったく違いますもんね。

松永氏:
 主人公が主体になるシナリオは,メインキャラクターたちのドラマに,どうしてもお約束が多くなります。主人公はあくまでプレイヤーの視点であり,フィーナやピリカは物語を引っ張る狂言回し役でもあるので,ドラマ性のために群像劇の視点で描いている第3部と比較すると,どうしても淡白になりがちなんです。だから「シナリオの濃さはこれくらいでいいんだっけ?」みたいな疑問が次々と浮かんだりして。結局のところ「そうそう,これが持ち味だったなー」などと思い出しつつ,調整していきました。

4Gamer:
 長く遊んでいるプレイヤーにとっても,昔のシナリオフォーマットで物語を体験するのは2年くらい前のことでしたし。制作側からすると,さらにもっと前の話になるんですよね。

松永氏:
 そうですね。しかも,帰還篇は大団円を目指して物語を畳んでいった,第2部クライマックスチャプターズよりも前の雰囲気にしたかったので,あれ以前の記憶となるともっと薄れていたんです。

4Gamer:
 それは大変だ……。ちなみに私は「帰還篇きたー!」と思いつつ,「いやでも3年くらいやってたしな」と思いつつで,年末にプレイしました。

西氏:
 どうでしたか?

4Gamer:
 自分でも驚いてしまうほど,面白かったんです。

松永氏:
 ああ,良かったです!

4Gamer:
 久々ってだけでこんなに面白いのか,などと言うと聞こえが悪いかもしれませんが,スマホゲームって普通,新しいものを積み重ねて,前へ前へ行くサービスじゃないですか。これが主流であり,ベターなのは確かです。そんな中で「懐かしさが武器になる」という体験をできたんですよ。

西氏:
 そう言っていただけると,本当に嬉しいです。きっとそれが,これだけ長くサービスを続けてこられてきたチェンクロの強みなんだと思いますから。

4Gamer:
 古いけど新しいというのか,4年半という長期サービスを可能にしているゲームだからこその試みというのか,とにかく珍しい体験をさせてもらえました。

松永氏:
 ありがとうございます。1つ1つを地道に積み重ねてきた結果で,特別に斬新なことはしてないんですけどね(笑)。

4Gamer:
 帰還篇では主人公,フィーナ,ピリカのビジュアルも5年後Ver.になりましたが,これらのデザインは担当イラストレーターである,toi8さんにお任せしたんですか。

松永氏:
 「頼れる感じのフィーナ」など,それぞれのキャラの成長の方向性はザックリとお伝えしましたが,どういう風に仕上がるのかはtoi8さんにお任せしました。そうして制作してもらったイラストを見てみたら一同,「カッコいいー!」ってなりました。「これがいいです! 完璧です!」って(笑)。

4Gamer:
 主人公は新たな編成枠「ヒロイックキャラ」として実装されました。今後は誰がこの枠に該当するのか,各々が想像している最中にあると思いますが,現時点で想定しているキャラ総数などは決まっているのでしょうか。

松永氏:
 まだ言えそうにないので,今後にご期待ください。

4Gamer:
 じゃあ,ヒロイックキャラの特殊なアビリティ「義勇軍記」はどうでしょう。私はレベルに上限があるのか,インクは使い切っていいのか,ストーリークリア報酬じゃなくて全達成報酬にならないのか等々,いろいろ悩みがあるのですが。

松永氏:
 そちらも言えることは少ないのですが,そのあたりは運営チームとしっかり相談し,主人公にインクを注ぎ込んでも後悔のないバランスを心掛けてもらっています。インクは貯めるのではなく,どんどん使ってもらうほうが面白いはずなので,「ある程度キャラが出揃うまでは,次のキャラが出るまでにインクを使ってしまっても,ちゃんとまた溜まるようにしてね」と伝えています。もちろん,遥か先を見据えて貯めておくのもなしじゃないですが。

西氏:
 中には「ナックルがいつか絶対にヒロイック化するから,それまでインクを貯める!」なんて期待を持っている人もいるかもしれませんね!

松永氏:
 その期待は……ちょっと辛いかな(笑)。今からゴメンなさいしておいたほうがいいかも。

4Gamer:
 そういう愛もなくはないですからね(笑)。もう一方,絆の軌跡シリーズについてですが,ここでは2部大陸の5年後の様子が描かれました。こういった物語が一段落していた舞台で,新たな騒動の種を作るのは苦労しませんでしたか。

西氏:
 絆の軌跡を始めるにあたって,担当されたシナリオライターさんと最初に話し合いをしたのはそこでした。先ほど少し話しましたが,2部大陸に残された宿題で分かりやすいものとしては「薄命の大陸の民はどうなったのか」「ヴァレリオはその後どうなったのか」などです。ストレートにそれらの宿題を解決していく,バラバラのエピソード形式という選択肢もあったと思います。でも,それだけではチェンクロのシナリオとしては物足りないよねという結論に至りまして。

4Gamer:
 ええ,懐かしい顔ぶれが出てくるだけのファンサービスとは言えない,ガッツリとした物語になっていましたね。


西氏:
 泣けるものあり,笑えるものあり,ハラハラするものありと,それぞれの大陸のお話しを1本のお話として面白い,それぞれの大陸の個性を出せる物語にすることは大前提として,さらに絆の軌跡シリーズとしての統一感を出すことにしました。そのほうが,プレイヤーの皆さんにより楽しんでもらえるだろうと。

4Gamer:
 その結果でしょうか,騒動の裏側に“ヴァレリオ財団”なる存在が暗躍していましたね。ケ者の大陸はちょっと置いといて……(笑)。

西氏:
 そうですね。後日談的なカインの動向と,ヴァレリオ財団の登場で,絆の軌跡全体に1本の軸をとおして統一感を出しました。それにただ「懐かしいね」だけで終わらせないためにと,各大陸には既存のキャラクター以外に,新世代のキャラクターを登場させています。5年後の新しい世界の中で,どのようなキャラがどのような活躍をしているのか,それらを新キャラに込めていったんです。

4Gamer:
 第3部全体にも係ってくると思いますが,第1部・第2部キャラの5年後を描く際,「どんなキャラだっけ?」「どんな風になったの?」といった情報の整理はあらかじめされていたんでしょうか。

松永氏:
 整理はしていません。物語に登場させようと考えたキャラから順に,5年後の姿を想像し,キャラを起こしていきました。こういったキャラの変化には「強くなった」「偉くなった」「変わらなかった」など,いくつかのパターンが挙げられますが,チェンクロ3では型にハメないよう“5年後の姿が納得できるものであればいい”としています。

4Gamer:
 設定ありきのキャラほど動かしづらくなりそうですし,物語の展開を阻害してしまう可能性を考えると,そのやり方が最適なのかも。

松永氏:
 ええ。だから物語をより面白くするためにも,各キャラの5年後は登場するタイミングが決まってから,担当ライターを含めて相談しています。


4Gamer:
 それと本シリーズは帰還篇をもってエピソードが出揃ったわけですが,財団はまだまだ関りがありそうですし,マップ上にも「外海」がありますしで,今後もなにか提供されるのかなって。

松永氏:
 絆の軌跡は,ただ話を終わらせるために書いたのではなく,まだまだ世界が広がっていくんだぞという気合を入れて書いたものです。今後もユグド大陸の外に目を向ける機会があったら,出番があるかもしれません。

4Gamer:
 頭の片隅で覚えておきます。そして,次の第7章“英雄の旗の下に”ではサブタイトルからして,主人公達がどこかの地に集結するのだろうと予想していますが。いかがでしょう。

松永氏:
 はい,集結します。さすがにあのタイトルでみんなバラバラだったら嘘なので(笑)。そして,あらかじめお伝えしておきたいのは,第1部・第2部の主人公と第3部の主人公達はどちらが上か下か,そういう話には絶対にしません。僕達は2つの盛り上がりを,1つのより大きな盛り上がりにするために,帰還篇を制作してきましたから。

4Gamer:
 主人公が新主人公達を“食って”しまわないのかという懸念もなく?

松永氏:
 ええ,どちらかの良さが減ってしまうということも決してありません。チェンクロの5年にわたるストーリーの熱さが,ひとつになる瞬間を楽しみにしていただければ!

西氏:
 1+1が2以下になってしまっては,やる意味がありませんからね。もちろん,2でもまだ物足りないので……今後は1+1が200になると思ってください!

松永氏:
 盛ったねー!(一同笑)。

西氏:
 ……ちょっと盛りすぎたかもしれません(笑)。でも,そのくらいの気持ちでいるのは事実ですよ! どちらかの出番が食われてしまうことを心配している方々がいましたら,それは今後の物語を追っていただければ,自然と解消されるはずです。第7章ではどちらの主人公達も100%以上の魅力で活躍していきますので,ぜひご期待ください。



■「やりたいコラボリスト」から満を持して

4Gamer:
 チェンクロ3では2月15日より,TVアニメ「オーバーロードII」とのコラボイベントが開始されるとのことで。お決まりの質問ではありますが,きっかけはなんだったのでしょう。

松永氏:
 チェンクロチームではかなり昔から,「オーバーロード」を“やりたいコラボリスト”に挙げていたんです。それこそ2015年のTVアニメ1期の放送以前である,小説投稿サイト「Arcadia」や「小説家になろう」で人気に火がついた時期からです。RPG的な設定のダークファンタジーという世界観との親和性もそうですが,なにより作品自体のパワーがすごいんですよ。


4Gamer:
 TVアニメよりも前というと,相当前から張っていたんですね。

松永氏:
 「いつかやりたいねー」の想いに反して,TVアニメ1期のときはうまくきっかけを掴めませんでした。しかし,TVアニメ2期が放送されると聞きつけたうちの担当者が,これまたものすごい早い段階で「コラボしたいんです!」と先方さんに掛け合ったんです。そしたらご了承をいただけて,ようやくコラボが叶いました。

4Gamer:
 随分前のことになりますが,個人的には「ログ・ホライズン」とのコラボを思い出しました。

松永氏:
 まさに,その頃の流れからですね。両作品は書店だと同じ棚に入っていたりして,「ログ・ホライズン」の新刊を買うときに,「次はオーバーロードやりたいねー」と話をしていたんです。

4Gamer:
 タイミングの問題だったと。まさに満を持してですね(笑)。

西氏:
 コラボシナリオのライティングの担当を決めるときも,多くのライターが以前からこの作品を愛していたがために,誰が担当するかで(精神的な)殴り合いをしました(笑)。その結果,愛の深さでシナリオ担当を勝ち取ったのが,白沢さんだったんです。

白沢戌亥氏(以下,白沢氏):
 恐縮です(笑)。

4Gamer:
 世界観については少し質問がありまして。オーバーロードは私も学生時代にWeb版を読んでいて,TVアニメや書籍版にも目をとおしたりと,それなりにファンなんです。だからか,コラボの話を聞いたときにまず「敵対するのかな?」と思ってしまい。

松永氏:
 オーバーロードの内容はダークな部分がありますからね。現在放送中のTVアニメ2期から先の展開はとくに。ですがもちろん,チェンクロ3の主人公達とは敵対しません。

西氏:
 コラボシナリオは,主人公達とギルド“アインズ・ウール・ゴウン”のメンバーが仲間になり,1つの目的に向かって協力していくという内容になっています。

白沢氏:
 小説やアニメのファンの方々はもちろん,オーバーロードを見たことがないという人にも興味を持ってもらえる物語を目指しました。それと原作を知っている人ほど思わず「あっ,それはまずいまずいよ!」と言いたくなるような,ナザリックギャグに力を入れさせていただきました。

西氏:
 シナリオは全4話の構成で,期間中に随時公開していきます。

白沢氏:
 第1話と最終話はボリュームちょっと多めで仕上げています。

4Gamer:
 シナリオの方向性はどんなものでしょう。どこの誰と絡むのか。

白沢氏:
 賢者の塔のアリーチェ達です。彼女達がひょんなことから,ナザリック地下大墳墓にヒュッと飛んでしまうんです。

4Gamer:
 あれ,むこうからヒュッとではなく,こっちからヒュッとは珍しいですね。

西氏:
 オーバーロードは登場するキャラクターもそうですが,世界観の練り込みもすごいので,コラボをやるとなるとやはり,「ナザリック地下大墳墓を出したいよね!」という話になりまして。今回はむこうの世界にお邪魔させていただく形となりました。

松永氏:
 コラボは毎回全力ではありますが,これはとくに気合を入れなきゃいけないケースですね。コラボ側の世界にお邪魔するのはこれまでだと「サクラ大戦」などの例がありますが,キャラのみならず,僕達の持ち場ではない世界観を描くには細心の注意が必要となります。

白沢氏:
 作品の設定や空気感などを考慮して,互いに踏み込んではいけないラインはとくに大切にしました。そのうえで,自分なりに出来る範囲まで書いていったつもりです。

4Gamer:
 ギリギリを攻めたと。

白沢氏:
 チラチラと出てくる“アインズ様の中の人”の本音は頑張っています。プレイヤーや原作ファンの皆さんには,“あの”ナザリックに女子高生達が来てしまったというドタバタ感を楽しんでほしいです。

西氏:
 でも当初は,コラボシナリオの主人公がアリーチェということで,ダークファンタジーとはかけ離れた少女達をどのようにすり合わせていくのか,アイデア出しに時間がかかりましたよね。

4Gamer:
 「賢者の塔の4人娘(+1匹)」と「ナザリックの幹部」って設定だけでも,さまざまな状況が思い浮かびますが,実際に調理するとなると大変そうな。

白沢氏:
 「お子様お断り!」とまではいきませんが,そんなオーバーロードの世界に,魔法少女的な存在を落とし込むのにはかなり苦労しました。「魔法を使える少女」と「魔法少女」は別物ですし,執筆中は四苦八苦でした……。

4Gamer:
 期待が膨らみます。では,コラボで提供されるコンテンツも教えてもらえますか。

松永氏:
 分かりました。まずはコラボシナリオを楽しんだり,SSRキャラのお試しをしたりできるコラボクエストがあります。そのほか,ナザリックの幹部達が手に入るコラボガチャや,探索と錬金でコラボ武器を提供していきます。

4Gamer:
 登場キャラはどうなるのでしょう。

松永氏:
 まずはもちろん,ギルドの長である「アインズ様(アインズ・ウール・ゴウン)」がSSRで登場します。しかし,階層守護者達については,開発にも運営にも熱烈な原作ファンが多く,レアリティを決める議論が白熱してしまいました。コラボガチャにおけるSSRの提供は毎回「大体3体くらい」なので,誰をSSRにし,誰をSRにするかで喧々諤々でしたよ。

4Gamer:
 その結果,SSRを勝ち取ったのは。

松永氏:
 アインズ様の側近である守護者統括の「アルベド」と,TVアニメ1期で活躍の場があり,バトル的にもカッコよく見せられる「シャルティア・ブラッドフォールン」の2人です。

4Gamer:
 順当だと思います。ただ,おそらく一番揉めたのは,そろそろアニメで大一番の活躍を迎える「コキュートス」だったのでは(※インタビュー実施日は2018年1月25日)。

松永氏:
 そのとおりです。「出したい!」「出したい!」との声がものすごく上がりました。ですが,SSRに人外が2体いるのもなと……(笑)。コキュートスに関しては「めっちゃ強くしてもいいけど,SRで!」という話になりました。

4Gamer:
 アインズ様も人外ですもんね。これまでのチェンクロにおけるガイコツ系キャラというと,「骸骨剣士スカレット」「骸骨騎士ガシャ」「骸骨弓士カラ」くらいでしたか。

白沢氏:
 実はその3体のキャラストーリーも僕が書いていて。

4Gamer:
 それはまた。ガイコツ系にはよくよく縁があるようで。

白沢氏:
 “チェンクロ ガイコツライター”と呼んでください(笑)。

松永氏:
 アインズ様とコキュートスは,3Dモデルもよく見ていただきたいです。既存のキャラにはあまりいなかった造形でいて,新しいシェーダーを取り入れたりと,ちょっと工数をミスったかなというくらい作り込んでいます。もちろん,ほかのコラボキャラにも力が入ってます。全イラストがマッドハウスさんの描き下ろしですし,ボイスも新録させていただきました。

西氏:
 シャルティアは魔法使いで,近接戦闘に優れているタイプです。スキルで変身すると真紅の全身鎧を装備します! こういったデザインは原作ファンの方々にぜひとも見ていただきいですね。

4Gamer:
 変身というと“ヤツメウナギ”のほうではなく?

松永氏:
 そっちはビジュアル的にちょっと(笑)。

4Gamer:
 さらに事前リツイート特典やクエストクリア報酬では,プレアデスの戦闘メイド「ナーベラル・ガンマ」のSSRアルカナが手に入るとのことで。

松永氏:
 はい。彼女はTVアニメ1期では多くのシーンに登場しましたし,ファンからの人気も高いキャラクターなので,本コラボの全員プレゼント枠に選ばせていただきました。それにドギツい性格の女性ですから,そういう意味でもインパクトがあると思います。

4Gamer:
 階層守護者のアウラ,マーレ,デミウルゴス,今回はいない主要メンバーのセバスを差し置いて,ナーベがSSRに。いや分かっていますが,ファンの代弁までに(笑)。

松永氏:
 ファンの方々には申し訳ありません……(笑)。


4Gamer:
 SSRナーベを全凸分の5枚手に入れるのは,これから始めるプレイヤーにも簡単でしょうか。

松永氏:
 普通にゲームを進めてもらえれば,それほど苦労なく手に入ると思います。また今回は「セバス・チャン」,アインズ様の冒険者の姿である「モモン」,ほかのプレアデス達を出せなかったので,もしも次回のコラボがあったら,ぜひ制作したいです。

白沢氏:
 そのときはボイス録り下ろしで「パンドラズ・アクター」もぜひに。

西氏:
 システムの対応さえできれば,アインズ様は☆6とかでもよかったかもしれませんね。

4Gamer:
 じゃあ,天魔にしちゃいましょう。

松永氏:
 一応,「最強のアインズ様を皆で倒すシナリオ」とかも考えたよね。

4Gamer:
 それでは諸々含めて,今回新たに挑戦したことはあったりしますか。

松永氏:
 先ほどチラリと触れましたが,チェンクロ3では少し前から,3Dモデルの制作に新たなシェーダーを導入したため,今回のコラボキャラも今までにない雰囲気のテクスチャで仕上げています。アインズ様の武器「スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン」も特殊仕様で,テカテカしますよ!

4Gamer:
 なるほど。

松永氏:
 ……。

4Gamer:
 ……あっ,すみません。素面のリアクションを返してしまいました。

(一同笑)

西氏:
 テカテカはちょっと細かすぎましたね(笑)。言葉だと伝わりづらいのですが,モデルで見ていただければ「これのことか!」と思っていただけますよ。

松永氏:
 リッチな感じは見て分かる思うので,とにかく期待していてください!


4Gamer:
 ときに,私はまだ管理職になったことがないのですけど,ディレクターである松永さんや,シナリオチームをまとめる西さんは,アインズ様から管理職の悲哀を感じ取ったりするのでしょうか。

西氏:
 答えにくい質問ですね(笑)。えーと……シナリオチームのメンバーにどう話をして,どう接すれば,より良い仕事をしてもらえるのか,心の中で自問自答しながら日々頑張っております。松永さんはどうです?

松永氏:
 普通にあります(笑)。

西氏:
 4Gamerさんにはこの後,第3部の各ルートの担当ライター達にも会っていただくわけですが,個性豊かな面子が揃っているので,その,いろいろ感じ取っていただけるかなと……!(※その様子はインタビュー第4弾にて)。

4Gamer:
 途端に会えるのが楽しみになりました。それでは最後に,コラボ情報のまとめをお願いします。

松永氏:
 はい。チェンクロ3とTVアニメ「オーバーロードII」のコラボは,2月15日から2月28日までの2週間にわたって行います。録り下ろしボイスを使ったTVCMも,1月下旬から放送中です。この機会にチェンクロ3を始めるという人も,全員プレゼントのSSR「ナーベラル・ガンマ」を使えば,ゲームをスムーズに進められるようになっていますので,プレイしていただけると嬉しいです。

4Gamer:
 コラボにアニメに,人間メイスのエグさが光る書籍第12巻の答え合わせともども,両作品の今後に期待しております。それではインタビューは一旦終了です。この後はストーリーインタビューの主題となる,“第3部のメインストーリー第4章〜第6章”について,担当ライター陣から話を聞かせていただきましょう。

松永氏:
 僕と西と白沢君を含めると計7人ですか。多いですね。

西氏:
 インタビューというより,座談会になりそうですね。

4Gamer:
 前回以上に濃いダシが出てくるのは間違いないですね。

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